パーキンソン病と遺伝子
2009-11-16 18:07:52
Theme: 医学
今日yahooのトップニュースを見ていたらパーキンソン病の関連遺伝子に関するニュース
が出ていたので、簡単に触れてみたいと思います。
パーキンソン病に限らず、患者さんに神経難病の診断を行うとしばしば「この病気は遺伝するか」という質問を受けることがあります。
子孫にも罹患する可能性がある遺伝性疾患というのは大きな関心事であるのは明確です。
パーキンソン病について言えば、遺伝するパーキンソン病はありますが多くはありません。
先ほどの問いに対する答えは、場合によりますが多くの場合「可能性は無くは無いが低い」と私は説明しています。
遺伝学の進歩により「遺伝性疾患」の概念が広がっており、一般の方には遺伝子と病気の関係が解りづらくなっているように思います。
遺伝子と病気の関係が解り始めた頃の「遺伝性疾患」の認識は、特定の遺伝子異常により特定の病気を発症するという図式でした。
遺伝子異常が無ければ病気になることは無く、遺伝子異常があれば必ず病気になるということです。
現在も一般の方の「遺伝性疾患」のイメージはこれに近いと思います。
この「遺伝性疾患」の逆を考えてみると、遺伝子の全く関係ない病気(「非遺伝性疾患」と呼びます)ということになります。
例えば、インフルエンザなどの感染症は病原体への接触により病気が起きますから、遺伝子はあまり関係ありません。
それでは全ての病気が「遺伝性疾患」か「非遺伝性疾患」に分けられるでしょうか?
例えば癌はどうでしょうか?
癌の中には明らかに家族内に多発して遺伝子が関係しているものもあれば、アスベストなど明らかに外的要因で生じるものもあります。
しかし極端な例はともかく、大多数の癌は遺伝的要因と外的要因の複合により生じると考えられています。
つまり「遺伝性疾患」と「非遺伝性疾患」は完全に独立した存在ではなく、その中間に大多数の病気が属しているわけです。
先ほど感染症が「非遺伝性疾患」と述べましたが、感染症も人によってかかりやすさ・症状の重くなりやすさというのは遺伝子の関連が指摘されており、完全に遺伝子と関連が無いわけでもありません。
突き詰めていくと人間が120歳くらいまでしか生きられないのも究極的には遺伝子で決まっていることであって、死すら「遺伝性疾患」と言えるかもしれません。
話が逸れましたのでパーキンソン病に話を戻します。
パーキンソン病の約5%は親族内にパーキンソン病の患者が多発し、家族性パーキンソン病または"遺伝性"パーキンソン病と呼ばれています。
20人に1人を多いと見るか少ないと見るかは難しいところですが、実際に遺伝子が強く関連している症例はもう少し多いと思われています。
家族の人数が少なくてたまたま発症者が一人だけの場合や、遺伝子を持っていても発症しない場合があるためです。
後者については、パーキンソン病が一般的に中年以降に発症するため、まだ発症時期に達していない可能性が一つ。
もう一つは遺伝子を持っていても必ず病気になるわけではない(透過率と呼びます)可能性が考えられます。
親族にパーキンソン病の人も居らず、知られているパーキンソン病原因遺伝子の異常が無い患者さんを孤発性パーキンソン病と呼びます。
孤発性パーキンソン病の原因はまだ解っていないわけですが、おそらくは前述のように遺伝的要因と外的要因と複合によるものだろうと考えられています。
この遺伝的要因というのは、「ある遺伝子変異があると、無い人よりパーキンソン病になりやすい」というもので、家族性パーキンソン病よりも緩やかな遺伝子とのつながりを示します。
今回のNature Genetics誌の論文もこの遺伝的要因を調べたもののようです。
パーキンソン病の患者さんとパーキンソン病でない人の遺伝子を比較し、パーキンソン病の患者さんになるべく共通するところを調べたところ2か所くらい怪しいところがあったそうです。
その2か所の遺伝子に変異があるとだいたいパーキンソン病になる確率が1.2倍くらいになるようです。
パーキンソン病になる確率はおおまかに0.1%(1000人に1人)くらいの確率なので0.12%くらい。
つまりこの遺伝子変異が病気に直結するわけではないんですね。
・・と書くとあまり大した事のない内容に聞こえるかもしれませんが、こういった遺伝子要因の解析の積み重ねがパーキンソン病の病態解明につながる可能性があるので大事な研究なのです。
パーキンソン病に限らず、患者さんに神経難病の診断を行うとしばしば「この病気は遺伝するか」という質問を受けることがあります。
子孫にも罹患する可能性がある遺伝性疾患というのは大きな関心事であるのは明確です。
パーキンソン病について言えば、遺伝するパーキンソン病はありますが多くはありません。
先ほどの問いに対する答えは、場合によりますが多くの場合「可能性は無くは無いが低い」と私は説明しています。
遺伝学の進歩により「遺伝性疾患」の概念が広がっており、一般の方には遺伝子と病気の関係が解りづらくなっているように思います。
遺伝子と病気の関係が解り始めた頃の「遺伝性疾患」の認識は、特定の遺伝子異常により特定の病気を発症するという図式でした。
遺伝子異常が無ければ病気になることは無く、遺伝子異常があれば必ず病気になるということです。
現在も一般の方の「遺伝性疾患」のイメージはこれに近いと思います。
この「遺伝性疾患」の逆を考えてみると、遺伝子の全く関係ない病気(「非遺伝性疾患」と呼びます)ということになります。
例えば、インフルエンザなどの感染症は病原体への接触により病気が起きますから、遺伝子はあまり関係ありません。
それでは全ての病気が「遺伝性疾患」か「非遺伝性疾患」に分けられるでしょうか?
例えば癌はどうでしょうか?
癌の中には明らかに家族内に多発して遺伝子が関係しているものもあれば、アスベストなど明らかに外的要因で生じるものもあります。
しかし極端な例はともかく、大多数の癌は遺伝的要因と外的要因の複合により生じると考えられています。
つまり「遺伝性疾患」と「非遺伝性疾患」は完全に独立した存在ではなく、その中間に大多数の病気が属しているわけです。
先ほど感染症が「非遺伝性疾患」と述べましたが、感染症も人によってかかりやすさ・症状の重くなりやすさというのは遺伝子の関連が指摘されており、完全に遺伝子と関連が無いわけでもありません。
突き詰めていくと人間が120歳くらいまでしか生きられないのも究極的には遺伝子で決まっていることであって、死すら「遺伝性疾患」と言えるかもしれません。
話が逸れましたのでパーキンソン病に話を戻します。
パーキンソン病の約5%は親族内にパーキンソン病の患者が多発し、家族性パーキンソン病または"遺伝性"パーキンソン病と呼ばれています。
20人に1人を多いと見るか少ないと見るかは難しいところですが、実際に遺伝子が強く関連している症例はもう少し多いと思われています。
家族の人数が少なくてたまたま発症者が一人だけの場合や、遺伝子を持っていても発症しない場合があるためです。
後者については、パーキンソン病が一般的に中年以降に発症するため、まだ発症時期に達していない可能性が一つ。
もう一つは遺伝子を持っていても必ず病気になるわけではない(透過率と呼びます)可能性が考えられます。
親族にパーキンソン病の人も居らず、知られているパーキンソン病原因遺伝子の異常が無い患者さんを孤発性パーキンソン病と呼びます。
孤発性パーキンソン病の原因はまだ解っていないわけですが、おそらくは前述のように遺伝的要因と外的要因と複合によるものだろうと考えられています。
この遺伝的要因というのは、「ある遺伝子変異があると、無い人よりパーキンソン病になりやすい」というもので、家族性パーキンソン病よりも緩やかな遺伝子とのつながりを示します。
今回のNature Genetics誌の論文もこの遺伝的要因を調べたもののようです。
パーキンソン病の患者さんとパーキンソン病でない人の遺伝子を比較し、パーキンソン病の患者さんになるべく共通するところを調べたところ2か所くらい怪しいところがあったそうです。
その2か所の遺伝子に変異があるとだいたいパーキンソン病になる確率が1.2倍くらいになるようです。
パーキンソン病になる確率はおおまかに0.1%(1000人に1人)くらいの確率なので0.12%くらい。
つまりこの遺伝子変異が病気に直結するわけではないんですね。
・・と書くとあまり大した事のない内容に聞こえるかもしれませんが、こういった遺伝子要因の解析の積み重ねがパーキンソン病の病態解明につながる可能性があるので大事な研究なのです。






