Like Arrowing Stone

だから生きぬけ。つまり最後まで行きつくんだ。
そのとき、はじめて理解ができる。
途中じゃわからない。――P・K・ディック


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第157回芥川賞は『影裏』に決定。

 

この小説は、第122回文學界新人賞を受賞した作品。

(ちなみに俺も応募していたが、かすりもしなかった(汗))

 

とある医薬品会社に勤める男が主人公で、物語は彼と元同僚の日浅という男の交流を軸に流れていくのだが、この日浅の存在感が独特で、小説に不穏な影を投げかけている。

 

日浅は「巨大なものの崩壊に陶酔しがち」な傾向を持っている。

そして「決まって一人の人間としか付き合わない」という性質があるという。

さらに最後に明かされるが、父親との関係が上手くいっていない。

父親は幼少期のとある経験以来、息子を不気味に感じているのだ。

 

最後まで読んで、この日浅という人間の性質を知ってから冒頭に戻って読み直すと、また色んなことに気づけて面白い。

日浅の苛立ちがよくわかるし、個人的には最初読んだときは複雑に感じた時系列(※時間の跳躍が頻繁に起こる)も整理できて、より小説の構造が明確になった。

 



 

 

少し心配なのは、日浅の「巨大なものの崩壊に陶酔しがち」な傾向のこと。

これが東日本大震災のことを指しているのは明らかで、その傾向について主人公が語る場面があるのだが、震災以後、全体主義に傾いた今の日本では、受け入れがたい発言と捉えられてしまう危険性がある。

特に日本では、共感できる作品(だけ)が良い作品であると考えられがちなので、なおさら心配だ。

 

主人公の発言に腹が立った人は、「主人公の考え=著者の考え」と短絡的に結び付けるのをやめて、もっと小説全体が語っていることに目を向けて再読してほしいと思う。

良い悪いは別にして、幸福や不幸をも飛び越えた考え方がこの世には存在しているのであり、これは著者による大変挑戦的な表現だと個人的には思うので。

 

 

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いま、ミランダ・ジュライという人の『いちばんここに似合う人』という短篇集を読んでるんだけど、その中の『水泳チーム』という作品がすごくいい。


「水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教えようとする娘(水泳チーム)」(紹介文より)

これは、この本を図書館で借りようと思うキッカケになった紹介文だけど、期待に違わぬ奇妙で可笑しい小説。

そして、意外なことに、孤独について書かれた小説であり、恋愛小説だった。

以上のようなことが、わずか7ページで実現されている。
素晴らしい。

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昨日の夜こと。
寝る準備をしてたら、羽アリみたいなのが飛んできた。


ん?なんか、あんま見たことないアリのような……



まさか、ヒアリ!?
これで俺もテレビの取材受けられるんけ!?


……と思ったんだけど、お尻にトゲみたいなのが生えてる。
違うな、こりゃ。



調べてみたら、通称「やけど虫」。
本名「アオバアリガタハネカクシ」という毒虫らしい。

間違って叩き潰そうものなら、やけどみたいな水ぶくれになって、痛いやらカユいやら、とんでもないことになるそう。


はは、やっぱりヒアリとは違ったか。
そりゃそうだよな、神戸や名古屋に上陸したらしいけど、ここは大阪。
いかにヒアリとはいえ、イカダ(※)で淀川は渡れんだろうし。


と思ってたら……

危険な「ヒアリ」の女王が上陸、繁殖のおそれか―「キメラアント」連想する声も - Ameba News [アメーバニュース]
http://news.ameba.jp/20170704-792/?device_id=586f6ef47f4744238290d80429c1c68b


終わった。
大阪、終わった。



※ヒアリは集団でボール状になって、川を渡ることができる。水と接するアリは死ぬが、全体として生き残ればそれでいいという、右傾化した生き方。最初にこのアリを知ったのは『ジャングルの少年』という課題図書で、ジャングルで遭難した少年がインディオの少年と出会い、森の中で生き抜くという話だった(と思う)。仲間のチンパンジーも出てきて、その子がアリに襲われて痛みに泣き叫ぶ場面を覚えている。



ジャングルの少年(世界傑作童話シリーズ)
チボール・セケリ著、高杉一郎訳


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