68年ぶりという超スーパームーンの日にふと思い出した

シュティフタ―。

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高校生の時、「晩夏」が好きで好きでたまらなくて。

何度も繰り返し読みました。

 

「晩夏」の主人公は自然科学者で、

自然界の描写とそれに対応するかのような人間の心の描写がすごく丁寧。

空や雲の移り変わり、家の間取りの描写、農作物、庭の植物、美術、食事、服装、音楽、働き方、人間の変化…

どこを読んでも素晴らしくて、うっとりとページを繰り続けて。

シュティフタ―は、日本でいうと寺田寅彦さんかしら?と勝手に考えたりしてます。

 

静かで穏やかな毎日。

小さいもの。

平凡なもの。

そんなものの中にある美しいもの。

 

小学生の時、父が買っていたレコード雑誌に載っていた「水晶」を読んだのがシュティフタ―初体験。幼い兄妹が雪山で遭難してしまい(水晶とはこの雪山の氷のこと)、お母さんがもたせてくれてたポットにはいった濃いコーヒーを飲みながら雪山で一夜をあかすってところが、子ども心にぐっときて、強い印象をうけました。命を奪ってしまうかもしれない冷たく暗い氷の世界が、朝が来て助かった時にはキラキラキラキラ輝く素晴らしく美しいものに。

 

学生の時にちょっと調べたシュティフタ―自身については、なんだかちょっとがっかりしてしまった(なぜかは忘れましたが…なんか女性関係のことだったような…)ので、そこからぱたりと読まなくなってしまっていたのですが、今日ふと思い出した「石さまざま」。そうだ、バジョーフの「石の花」やホフマンには「砂男」なんてのもあるし、鉱物から喚起される幻想文学世界ってあるなあって。

 

自然と人間の関係は不思議。今は「スピリチュアル」といわれているようなことも、もうちょっと時代が進んだら科学的に解明されたりするんだろうなと考えたりしてます。

 

それにしても好みって、小さいときからあまり変わらないなあ。