購入方法による利益の配分?(書店、出版社、作家) | 有川ひろと覚しき人の『読書は未来だ!』

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覚え書き的に。
本をどこで買ったら関係各所にどのように利益が渡りますか、ということについてですが……
読者さんのご支援の届き方は、次のような感じです。

・リアル書店
→リアル書店、出版社、作家に利益が届きます。

・ネット書店
→ネット書店、出版社、作家に利益が届きます。

・中古書店
→中古書店にのみ利益が届きます。
→リアル書店、ネット書店、出版社、作家には利益が届きません。

・図書館が購入した場合(学校図書館含む)
→図書館が購入に使った書店、出版社、作家に利益が届きます。

・電子書籍の場合
→電子書籍を取り扱っている販売店舗、出版社、作家に利益が届きます。
→電子書籍を扱っていないリアル書店さんには、届きません。

・取り分
→作家については、例外も多いので一概には言えませんが、定価の10%が印税として収入になることが多いです。(例:1600円の本なら、1冊につき160円)
→書店さんの一冊についての利益も、作家とあまり変わりません。

(取次さんについては、電子やネットについての関わりを私があまり把握していないので、含めていません。中古書店の場合はご支援が届かないことだけは断言できますが)

個人的に私が支えたいと思っているのは、リアル書店さんです。
私が「書店さん」というときは、基本的には「リアル新刊書店さん」のことです。
何故なら、私が駆け出しの作家だった頃、私をPOPなどで地道に支えてくれたのは、リアル書店さんだったから。
当時、書店さんが支えてくれていなかったら、今の私はいないのです。
駆け出しの作家の活動が軌道に乗るかどうかは、リアル書店さんと出版社営業の尽力にかかっています。

もちろん、地方などリアル書店さんが少ない地域でのネット書店の利便性を否定するものではありませんし、すべての本を一律・平等に扱っていただけるという点では、たいへんありがたい販売形態です。
ただ、ムーブメントを作ることにおいては、熱心な書店員さんを抱えたリアル書店さんが長けていると思います。
情報の熱は、生身が一番伝わります。

電子書籍については、何年か前まで、私は一切やっていませんでした。
「紙をめくる」文化が好きであることと、町の書店さんを支えたいという思いからです。
(特に私は、行末の区切りやページのまたぎを気にしながら文章をレイアウトするので、それが崩れてしまう電子にはあまり気乗りがしませんでした。『塩の街』や『キケン』のように、めくりが命という挿絵の使い方をしたりもしますので)

ただ、知り合いの作家さんが海賊版を作られ、差し止めにたいへんな苦労をしたことを知り、電子という窓口も一つは開いておかないと危ないかな、という消極的な理由で、一人勝ちにならないところを版元に選んでもらって配信しております。
正規で購入できる電子商品があれば、そちらを買ってもらえるのではないかという、消極的防犯という感じです。
また、リアル書店さん優遇のために、電子の配信はかなり遅くしてもらうことが常です。
版元の都合にも左右されますが、基本的には文庫化よりもちょっと遅い、くらいの感じを想定しています。
電子に関しては、流通の経路も印税率もよく把握していません
印税率は、紙の本より2~3%いいらしいですが、電子は単価も下がるので、プラマイしたら紙ととんとんくらいじゃないのかなー。せんせい、算数苦手でよく分かんないので適当言いました。

以上、私のざっくりとした認識と、私個人の事例でした。
類似の質問が度重なるので、急いでざくっと書いたものであることをご了承ください( ̄^ ̄ゝ
特に電子については、どこでどのように買えるのか、どうしたら読めるのかも知らないので、ほんとにざっくりです。すみません。