初釜(後編) | 茶と湯

初釜(後編)

初釜(前編)
http://ameblo.jp/arigatoman/entry-11750085436.html
の続きです。

懐石料理とお酒を頂いたあと、昆布巻そっくりの羊羹を頂きまして、中立ち(休憩)です。

ここまでが前座という壮絶なストーリーです。

この後、濃茶(ドロドロに練ったお茶を3人で回し飲みます)と薄茶(皆さんが普通に御召し上がるお抹茶です)を頂きます。

濃茶ですが、和物唐物という、おいそれと見られないお手前でした。

とても緊張するのもでありますし、本来茶室へはメモやカメラは興が覚めるため禁じられているのが原則です。
私は事前に先生とご同席各位のご了承を得ていましたが、お手前中はそれでも撮影は。。。。
する勇気がありませんでした。

ということで、濃茶を頂いたあと、みんなでお道具の拝見します。
左から、お茶入れ、お茶勺、お仕覆

お茶入れとお仕覆は250年前のものとのこと。

このようなお道具、博物館に収蔵されていて、ガラス越しに見ることになるわけです。
お茶の世界では、お道具はお道具、そのお道具が生まれてきた使命のままに実際に使い、愛でるのです。

歴史に直接触れる。その当時のあるがままの状態で。

そんなことが許される場所をお茶室以外に知りません。






濃茶が終わり、次に薄茶となりますが、小休止でキセルとタバコ盆が回ってきます(もう、吸う人がいないので、形だけですが)。





先生が茶筅を「コン」と茶碗にあてて音を鳴らすと、「お菓子を召し上がれ」の合図。
お菓子をとりながらまわします。





お皿に盛られたお菓子を自分の懐紙をお皿代わりにしていただきます。





このお茶碗、600年前(室町時代)のものです。
触るときには緊張します。

こういう逸品を扱うときは、下に懐紙を敷いて、大切に大切に扱います。





こちらの茶杓は伊達政宗公の茶坊主が削りだした茶杓。
伊達政宗公も手に触れた可能性あるわけで、こういうものは、素手で扱ってはいけないとのことで、袱紗(絹の布でお茶席には必ず持ってはいるもの)に乗せて丁寧にていねいに扱います。





歴史を伝えよう、お茶の心を伝えようという、先生の思いをひしひしと感じます。

この国の文化。それを作った人。それを守ってきた人。
そのリレーが、間違いなく600年も続き、この茶席がある。


そう思うと、続けることって、大変だけれども大事だと思いました。

私自身、器用でも利口でもないので、お稽古をやめてしまおうかと思うこと度々ですが、なにがあっても、上手く行かなくても、淡々と続け、後世に伝えていく。
それにはとても意味があるのではないかと感じました。

日本人に生まれてよかった。

先輩方ありがとうございます。