2007年05月06日(日)

ITエンジニアの年収

テーマ:システム開発業界

連休中、溜まっていたフィードの「未読」を片付けていると、ITエンジニアの年収に関する情報がいくつかあった。考えてみれば、このブログでは、収入に関する記事はあまり書いていなかった(筆者が惨めな気持ちになるからだろう)。しかし、「これからプログラマを目指す人たちへ」などと銘打っているからには、少しは触れておいたほうがいいかもしれない。


まず目を引いた情報は、「@IT年収MAP 」というサービスだ。自分の年齢と年収(適当でも良い)を入力して検索すると、年齢×年収のグラフに、2万人のITエンジニアのデータがプロットされる。会員登録すれば、スキルなどの条件でより細かく絞り込むことができるようだ。あわせて、「ボクらの生きざまSHOW! @IT年収MAP セルフレビュー 」というブログ記事(カテゴリ)も見てみると面白い。「ITエンジニア35歳定年説は本当か?」とか、「何歳までにチームリーダーになればいいの?」といった、年齢に着目した利用例もある(※)。


また、@IT自分戦略研究所には、「あなたはどの位置にいる? スキルと年収の関係を探る 」、「IT系は本当に給料が安い? 2万人の年収比較! 」といった記事があった(前者は@IT年収MAPと同じデータを分析したもの)。年収の「相場」といったものは、なかなか分からないものだ。このように多くのデータに基づいた情報は一見の価値がある。


あとは、検索で見つけたものだが、テクノブレイン(アデコ)の「エンジニア仕事マップ 」も紹介しておこう。職種の説明と一緒に時給、年収の相場が分かるようになっている。派遣向けのサイトだが、この業界の仕事の内容と給与について知りたい人にはよい情報だろう。


最後に。こうしたページを見ると、ある程度、自分に近い条件の人の収入を知ることはできる。しかし、自分のスキルや仕事の内容が、他人と全く同じであることはありえない。あくまでも参考程度に考えるべきだろう。そして、仕事をして得られるものはお金だけではない、ということも忘れないようにしたい。







※このサービスに限らず、こうしたアンケートデータへのアクセスを Web API 等で公開すれば、面白い分析をしてくれる人が出てくるかもしれない。



■関連記事
プログラマは誰でも同じ?
続・プログラマは誰でも同じ?
プログラマ35歳定年説に思う



ITアーキテクト x コンサルタント 未来を築くキャリアパスの歩き方
克元 亮
ソフトバンク クリエイティブ (2006/08/30)
売り上げランキング: 44257
おすすめ度の平均: 4.5
5 コンサルタントとITアーキテクトの違いが分かった。
4 事前知識"0"でも大丈夫
5 個々人のキャリアに特化した良書


勝つDBエンジニアのキャリアパス
斎藤 直樹
翔泳社 (2006/07/19)
売り上げランキング: 170511
おすすめ度の平均: 5.0
5 悩めるDBエンジニアのバイブルです。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006年10月22日(日)

なりすます能力

テーマ:システム開発業界
ずいぶん昔のことである。私はA社のプロジェクトに、「協力会社」の SE として参加していた。そのA社の人に、

「あなたの会社ではどんな新入社員にどんな研修をされているのですか?」

と聞かれたことがある。私はちょっと焦って、

「さぁ。中途採用だったもので、研修は受けていないんですよ」

と答えた。

しかし、それは嘘だった。なぜそんな嘘をつくかって?

そこでは、私は表向きは協力会社であるB社の社員ということになっていたが、実はそうではなかった。自分の会社からまずB社に派遣され、そこから更にA社に送られていたのだ。当然、B社の新人研修の内容など全く知らなかった。


SE やプログラマが、他社に派遣(出向)されることはよくあることである。酷いときには、多重派遣が行われることもあるようだ(※1)。

私のケースでは、A社のプロジェクトに参加してはいたが、B社の管理下で動いていたので、多重派遣ではなかったはずだ。にもかかわらず、B社から「社員のふり」をするように言われていた(※2)。何だか知らないが、大人の事情があったのだろうか。

モノ作りにしか興味のなかった私は、そんなことはどうでもいいと思っていた。しかし、おかげで、初対面の人に会う度に「名刺を切らしておりまして」などと言って恐縮する羽目になってしまったのである(※3)。


冒頭の会話を聞いていたB社の若手社員は、

「中途採用だなんて、よく咄嗟に答えられましたねぇ」

などと感心していた。

技術者にも、そんな会話能力が必要なことがあるという話である。まぁ、嘘が上手いからといって、褒められたものではないのだが。





※1
多重派遣は違法だが、この業界では当り前に行われているようだ(参考リンク: IT業界のタブー「偽装請負」に手を染めてませんか(ITpro) )。技術者の不勉強が問題だという指摘もあるが、他業種の「労働者」はちゃんと勉強しているのだろうか?

※2
法律的なことはよく分からないが、A社が「B社」という社名に対して金を払ったのだとすれば、詐欺罪になるかもしれない。もっとも、B社の社員以上の仕事をすれば、訴えられる筋合いはないとも思うが・・・。いずれにせよ、気持ちのいいものではないので、こういうくだらない指示はやめて欲しい。

※3
聞くところによれば、偽の名刺を持たせる会社もあるようだ。



■関連記事
プログラマの出向事情





平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学
M.スコット ペック M.Scott Peck 森 英明
草思社
売り上げランキング: 17,872
おすすめ度の平均: 4
4 怠惰とナルシシズムからの脱却⇒個人の成長
5 国家としての悪に対する方策が「徴兵制」。驚くが納得。
2 内容にどうしても首肯できない部分あり

AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2006年09月11日(月)

プログラマ35歳定年説に思う

テーマ:システム開発業界
「プログラマ35歳定年説」という言葉がある(30歳説、40歳説もあるが、数字そのものはあまり問題ではない)。加齢によるスキルダウン、体力ダウンを連想させる言葉だが、むしろ、会社組織的な背景が強いようだ。

システム開発業界では、「彼はまだプログラミングしかできない」といった言葉をよく耳にする。つまり、この業界の中では、プログラミングは一般的に「簡単な仕事」とされているのである。本当はそんなに簡単なわけではないのだが、他の仕事はもっと難しいということだろう(※1)。

開発の仕事を、「簡単だとされている」順に並べれば、テスト、プログラミング、設計、要求分析というように、ウォーターフォールと呼ばれる製造工程を逆流するような順番になるだろうか。もちろん、プロジェクト・マネージメントのように、別の次元ではもっと難しい仕事もある。

それぞれの仕事には、違ったスキルが必要なので、本来、こうやって「順に並べる」のは間違いだろう。しかし、現実には、同じ人がこれらの仕事を順に経験していくことが多いようだ。入社直後はテストやプログラミングから始め、徐々に難しい仕事を任されるというわけだ。つまり、プログラマから、SE、マネージャへと「出世」していくのである(※2)。

また、プログラミングは、与えられた設計書に従って行われる。このため、プログラマという職種には、どうしても「指示される側」という印象がある。日本人は、指示系統と年齢の逆転を嫌うので、自然と、プログラミング=若い人の仕事という図式が出来てしまう(※3)。


もちろん、全てのプログラマが「出世」コースを歩むわけではない。このことは、プログラマという職業にとって、皮肉な状況を作り出す。

有能なプログラマは、物事を論理的に考え、無駄を嫌い効率化を好む。また、コミュニケーション能力等にも秀でている(コーディングだけがプログラマの仕事ではない!)。会社としては、そういった人物を有効活用しない手はない。プログラミングばかりやらせているのはもったいないので、積極的に「出世」させる。35歳にもなれば、少なくとも SE と呼ばれる方が相応しくなっているだろう(※4)。

反対の理由で、無能なプログラマは出世しない。つまり、彼らはずっとプログラマのままなのである。35歳になっても定年にはならない(賢明なら早いうちに自ら職種を変えるのだろうが、あいにくそういう人は少ない)。最初からスキルがないので、加齢によるスキルダウンの心配も無用である(※5)。

つまり、プログラマと呼ばれる期間は、プログラマとしてのスキルが高い人ほど短くなり、低い人ほど長くなるという皮肉な状況になる。


そう考えると、プログラマ全体としてのスキルは、どんどん低下していく運命である。このままでいけば、開発効率や品質の低下は必至だ。

実際、プログラミングの「難しい部分」を、プログラマ出身の SE やプロジェクト・リーダーと呼ばれる人々が引き受けなければ、納期に間に合わない、品質を確保できない、というケースは少なくない(当然、彼らの負荷は異常に高くなる)。

業界自体の歴史が浅いため、こうした問題は、重大視されてこなかったのかもしれない。しかし、本来なら、有能なプログラマこそ、純粋にプログラマとして働いてもらうべきだろう。そして、それを実現するためには、人事や組織、キャリアプランのあり方といったことを見直していく必要があるのではないだろうか。





※1
プログラミングは誰でも出来る仕事ではない。ただ、「上位工程」に比べれば、比較的「簡単な仕事」を用意しやすいのは確かである(下記関連記事も参照)。

※2
会社によっては、いきなり SE やマネージャになるような「エリートコース」もあるようだ。なお、現実には、SE、プログラマのように肩書きがはっきりと分かれることは少なく、SE 兼プログラマや、プログラマ兼テスターというように、同じ人間が複数の作業を行うことが多い。小さいプロジェクトでは、1人で全ての工程をやってしまうこともある。

※3
つまり、年上の人向かって命令しにくい、叱りにくい、といったことである。年上の人を敬うという精神が根底にあるのだろう(それ自体は悪いことではないと思うが)。

※4
もちろん、それは彼らをどう呼ぶかということであって、彼らがプログラミングしなくなるというわけではない。高度な技術を要するプログラミングは、彼らでなければできないからだ。

※5
35歳を越えたプログラマが全て無能だと言っているのではない。言うまでもないことだが、念のため。



■関連記事
SE が嫌い
プログラマは誰でも同じ?
続・プログラマは誰でも同じ?
簡単な仕事を探す難しさ



プログラマの「本懐」 ~アーキテクトという選択
山本啓二
日経BP出版センター (2004/11/25)
売り上げランキング: 17,696
おすすめ度の平均: 4.23
4 プログラマの新たなキャリアアップの道、アーキテクト
4 ITアーキテクトの確立
5 アーキテクチャとアーキテクト


ソフトウエア開発プロフェッショナル
スティーブ・マコネル 松原 友夫 山浦 恒央
日経BP社 (2005/01/20)
売り上げランキング: 16,616
おすすめ度の平均: 4.67
5 ソフトウェア関わる人すべてにお勧め
5 ソフトウェアエンジニアリングとは?
4 「ニセ実力主義」の組織のすべての人へ

AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2006年05月28日(日)

プログラマの出向事情

テーマ:システム開発業界
職業プログラマや SE は、他の会社へ出向(派遣)させられることが多い。私自身もひとつの会社に属していながら、これまで色々な職場で働いてきた。

自分にとって、出向には良い面も悪い面もあった。色々な人に出会ったり、色々な会社の内側を見たりすることは、よい人生経験になったと思う。しかし、自宅から通えないような遠隔地へ長期的に出向させられた場合など、個人生活に大きな影響が出ることもあった。

会社によっても違うとは思うが、この業界に就職を考えている人は、そのあたりの事情もよく知っておいたほうがいいだろう。


社員を出向させれば簡単に儲けが出せるから、会社としては「おいしい」のだろうと言う人もいる。しかし、必ずしもそうではない。人材派遣業としてやっているのなら別だが、システム開発を主とする会社にとって、技術者を他社に出向させることは、あまり良いことではない。

まず、社内のプロジェクトで要員が不足したときに困る。社内に人がいなければ、結局、別の会社から人を派遣してもらうことになるだろう。つまり、他社に人を派遣しておきながら、自社も別の会社から人を派遣してもらう、という不自然な状態になってしまうのである。

また、自社が以前に開発したシステムについて、トラブルが発生したり、バージョンアップの依頼が来たときにも困ることがある。そのシステムについて詳しい人が、全員社内に残っていないということがあるのだ。

他にも、社内で働く人と社外で働く人の条件の違いが不公平感を生むようなこともあるし、社員の教育・育成の面でも、情報セキュリティの面でもよくないだろう。


では、なぜシステム開発会社は社員を出向させるのだろうか。

システムの受託開発では、仕事の受注に応じて、プロジェクトがいくつも立ち上がっては、終わっていく。このため、良く言えば「柔軟」に、悪く言えば「場当たり的」に技術者を異動することになる。

こうした要員の異動は部署内、会社内にとどめるのが理想だ。しかし、実際には会社全体の仕事の量が過不足になるようなことも多いのだ。営業力の弱い中小企業ではよくある話だろう。また、大手は大手で、大規模なプロジェクトを動かすため、やはり要員過不足の波は大きい。

人が足りない場合は、システムの一部の機能や一部の工程を下請けに出す方法もあるし、フリーの技術者や人材派遣会社から集めるという方法もある(スキルが要求されるので、アルバイトでは難しいのだが)。

しかし、人が余っているという場合にできることは案外少ない。そこで、人手不足の同業他社に出向させるわけだ。受け入れる側としても、他社の技術者を入れる方がフリーの技術者を集めるよりも簡単だし、契約面や能力面での安心感もあるだろう。

要するに、出向の大きな原因は、個々の会社が受注する仕事の量が安定しないということなのである。巨視的にみれば、システム開発業界全体が、出向という手段を使って要員調整を行っているとも言えるだろう。


このように、プログラマという職業も、意外と人との出会い(そして別れ)が多いのだ。たまに、「人と接することが苦手だから」という理由でプログラマを志望するような人がいるが、それはあまり正しい判断とは言えないだろう。

クリックお願いします →



■関連記事
プログラマとして歓迎したい人とは



ザ・ベスト 有能な人材をいかに確保するか IT Architects’Archive ソフトウェア開発の課題
ジョハンナ・ロスマン 滝沢 徹 鈴木 憲子
翔泳社 (2005/08/30)
売り上げランキング: 10,236


正社員時代の終焉-多様な働き手のマネジメント手法を求めて
大久保 幸夫 リクルートワークス研究所
日経BP社 (2006/02/16)

いいね!した人  |  コメント(8)  |  リブログ(0)
2006年04月09日(日)

コンピュータの普及はプログラマを育てるか?

テーマ:システム開発業界
気が付けば、Windows 95 の発売から10年以上経っている。パソコンやインターネット環境は一般家庭にもずいぶん普及した。物心ついたときからパソコンに触れているという子供達も増えていることだろう。学校でもコンピュータに関する知識も教えるようになってきている。

私も含め、現在プログラマという仕事をしている世代は、そのような環境では育っていない。だから、今の子供は恵まれていると思うし、羨ましく思う。そして、今後は若いプログラマのスキルはどんどん上がってくだろうと期待したりもする。

しかし、本当にそうなるのだろうか?


考えてみれば、家電にしろ自動車にしろ、製品が世間に普及したからといって、その製品の開発技術が一般の人にまで普及するわけではない。

むしろ、ユーザーが増えるということは、その裏側にある技術が隠され、仕組みを知らなくても簡単に使えるようなったということだろう。例えば、AT車が普及してドライバー人口は増えたかもしれないが、「ギア」の仕組みを理解している人はむしろ少なくなったのではないだろうか。

ソフトウェアも同じだ。ソフトウェアの種類が増え、上手く使いこなせるユーザーが増えたからといって、プログラミングできる人が増えるというわけではないだろう。


また、学校教育についても、必ずしも期待できるものではない。中学校から英語を習っていても、実用的に使える人がいかに少ないことか。

これではダメだということで、小学校から英語を教えようという動きもあるようだが、私はたいして変わらないと思う。語学の習得には、豊富な実践経験が必要だが、学校の限られた時間割の中にそれを求めるのは無理な話ではないか。

経験が必要だという点では、プログラミングも同じである。学校でプログラミングが教えられるようになったとしても、それだけで実用的なプログラムが作れるようになるとは思えない(※)。


コンピュータの普及や情報教育によって、多くの人がソフトウェアに触れるようになったことは確かである。プログラマが何をする仕事か、ということを理解する人も増えているだろう。

しかし、それと同時に、必要とされるプログラマの数も増えているのだ。いかにして優れたプログラマを育てて行くか、ということは、この業界にとって依然として大きな課題のままである。


このブログの順位は? ・・・



※yasuhoの隠れ家さん『「情報」を学習する前に 』によると、情報学習はプログラミングを重要視していないということだから、なおさらである(専門学校なら話は別だろうが)。



■関連記事
プログラミングは体で覚えろ
続・プログラマは誰でも同じ?



先生に教えてほしかったこと
三好 康之
アイテック (2006/02/24)




いいね!した人  |  コメント(6)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。