ダム中止の阻止にうごめく天下りOB | 永田町異聞

ダム中止の阻止にうごめく天下りOB

前原国交相は、公共事業を中止するさい、地元住民の生活再建を補償する法案を年明けの通常国会に提出する考えだという。


もちろん、八ッ場ダムや川辺川ダムの中止に備えた措置だ。公共事業は「動き出したら止まらない」といわれる。国交省は中止など想定しておらず、補償のルールなどなかった。


前原国交相が、ダム工事の中止と、それにともなう地元補償のお手本としている実例がある。鳥取県三朝町に計画されていた中部ダムのケースだ。


平成19年10月10日、衆院予算委員会で前原は、鳥取県の前知事、片山善博が就任1年目にして中部ダム建設を中止させた手法を評価し、冬柴国交相に全国のダム建設見直しを迫った。


中部ダムは27年間、着工されないまま県のウソの説明で計画だけが生きつづけ、水没予定地区の住民は生活設計がたてられないまま翻弄されていた。


県のウソとは、ダムを建設したほうが護岸工事をするより安いという、試算データである。


当初、県が示していたのは、ダム建設140億円、護岸工事147億円という工事費の試算だった。


就任早々の片山知事はこのダムでは治水、利水とも効果が期待できないと直観し、役人に積算のやり直しを命じた。そのさいの言い方がふるっている。


「ウソを言ったらだめだぞ、ウソを言ったら情報公開条例によって罰せられるぞ」


これに恐れをなした役人はすぐに、違う積算データを持ってきた。ダム建設費230億円、護岸工事費78億円。はるかにダムにカネがかかる。これが正しい数字だった。


これによって片山知事は計画の中止を決断、その後、県民に公表しながら地元住民と話し合い、全国で初めて金銭的な補償を実施した。


さて、前原国交相の当面の課題は八ッ場ダムと川辺川ダムを、どのように住民の理解を得て中止に持ち込むかだ。地元住民の背後にうごめく利害関係者が、真の抵抗勢力である。


朝日新聞の27日の記事に、こんなくだりがある。


前原国交相が群馬入りした日、意見交換会を拒否した水没地区の対策委員会メンバーに、国交省八ッ場ダム工事事務所の元幹部から入れ知恵の電話があったという。


「前原さんは切れ者。地元だけじゃなく、自民党とか群馬県とかと一緒にやらないと、とても(中止の白紙撤回は)できないよ」


国交省が長妻昭事務所へ提出した資料などによると、平成15年から3年間に、八ッ場ダムの工事を落札した企業や国交省所管の公益法人に天下りしたOBは77人。


このうち公益法人については役員しか算入していないから、一般職員を合わせると、100人をこえると推定される。


平成18年には33人が落札企業に天下りしているが、この数字に公益法人は含まれていないことを考慮に入れておく必要がある。


何のためにつくるのかということではなく、公共事業そのものが自己目的化している。ダムや道路より、工事とそれに投入される税金が欲しいのである。


前原は野党時代、「緑のダム法案」を国会に提出した。山の保水能力を高め、ダムに頼らない治水を進めるのが目的だ。


既得権にかかわる野党提出議案はだいたい握りつぶされる。あたりまえのように、議論もされないまま廃案になった。


「緑のダム」の実現のために、ここは踏ん張りどころだ。


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