第三極に対抗馬放つ小沢の読みは? | 永田町異聞

第三極に対抗馬放つ小沢の読みは?

選挙の情報収集と分析にかけては、今の政界で小沢一郎の右に出る者はいないと言っていいだろう。


その男が、総選挙後に手を組む可能性を視野に、無風選挙区にするつもりだったのが平沼赳夫の出馬する岡山3区だ。


平沼を小沢が狙っていたというのは、平沼がその著書「七人の政治家の七つの大罪」で、以下のように明らかにしている。


「平成20年の四月には、民主党の小沢代表からの誘いで食事をともにした。その時に盛んに言われたのも、新党を作ってはどうかということだった」


もちろん、平沼ははっきりと意思を示さなかったのだろうが、小沢は岡山3区での候補者公認を見送り続けた。


ところが、つい先日にいたって急転直下、若手弁護士の、西村啓聡を擁立する方針が決まった。


「平沼グループ」や「みんなの党」などの、いわゆる「第三極」が、民主党にとって重要になってくるのは、民主党優位といわれるなか、予想以上に自民党が善戦し、「第三極」もそれなりの議席を獲得してキャスティングボートを握る場合だ。


小沢は、「みんなの党」の江田憲司(神奈川8区)にも対抗馬擁立を決めており、「第三極」をあてにしないでも政権を取れると、読んでいるように見える。


すなわち、自民党の善戦と、「第三極」の躍進による勢力伯仲は、ほぼありえないと分析しているのだろう。


「第三極」のうち、平沼グループは、小泉龍司(埼玉11区)と城内実(静岡7区)という、優れた候補者がいるが、この二人以外には勝てそうな人物が見当たらない。


そのうえ、城内はポスターに使った女性タレントの写真をめぐりトラブルに見舞われたため、行く手に暗雲が垂れ込めている。


渡辺喜美との関係が必ずしもうまくいっていないとされる江田憲司も、民主党に刺客を送られて苦戦は必至だろう。


次に自民党については、またまた麻生首相が、遊説先で張り切りすぎて墓穴を掘っているようだ。


街頭演説にプロンプターを使うわけにはいかないから、あちこちで国語力のなさを露呈し、失笑を買う。


東京都議選のさい、立候補予定者の激励に積極的に回ったのはいいが、「必勝を期して」を「惜敗を期して」といい間違えたのは、支持者を大いにシラケさせた。


それが東京都議選敗北の原因とはいわないが、似たようなことが、すでに衆院総選挙モードの街頭で起きているし、選挙期間中にも繰り返される恐れがある。


小さなことのようだが、日本を代表する人物の国語力のなさは致命的だ。郵政をめぐる鳩山邦夫更迭劇や、ブレブレ発言に見られるリーダーシップ欠如もあいまって、一国の首相をバカにする風潮は列島を覆っている。


麻生を支えてきた国対委員長、大島理森も最近では距離を置き、側近であるはずの菅義偉でえさえ、このところ急に脱麻生をにおわせ、ポピュリズム的自己PRに走り始めた感がある。みんな自分の身がかわいいのだ。


麻生を励まし続けた官房副長官、鴻池祥肇はスキャンダルが発覚して官邸から逃亡。残るもう一人の政務担当官房副長官、松本純は根っからのイエスマンで、麻生首相のKY遊説を引き止めることができない。


麻生首相が街に出てしゃべればしゃべるほど、自民党はヒヤヒヤしなければならない事態なのに、当の本人が一向に気づかぬどころか、「俺の力」をまだ信じ込んでいるところに、どうにもならない悲哀がある。


小沢は全国をまわり、情勢分析をするなかで、“麻生ファクター”の自民党に与える影響の深刻さを肌で感じ取っているに違いない。


ところで蛇足ながら、麻生自身も平沼に新党結成を持ちかけていたことが先述の平沼の著書に書かれている。


麻生が自民党総裁に選出された翌日、麻生から平沼に電話があった。「たけちゃん、早く新党を作れよ」。


その翌日、首班指名選挙が行われた本会議場で、麻生は再び「あの話、どうなった?」と聞いてきた。平沼が「その気はないよ」と答えると、態度が一変しおそろしく冷たい雰囲気になったという。


平沼はこう述懐している。「同志とも思っていた人間のそんな態度に、寂しさを感じるばかりだった。それまでの付き合いの長さ、深さを考えたら、いきなり、新党を作れ、はないだろう」


首相になったとたん、こんな話をする麻生のジコチューぶりには恐れ入るしかないが、この時点から麻生政権の自滅は始まっていたといえるのではないか。


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