天下分け目の前哨戦、静岡に学者知事誕生か | 永田町異聞

天下分け目の前哨戦、静岡に学者知事誕生か

人間の集団は面白いものだ。舛添幹事長、東国原大臣で解散という、漫画シナリオが消えたとたん、党幹部や派閥領袖たちが「結束」を声をそろえて訴えはじめた。


クビ切りを免れた細田幹事長は「永田町界隈にいても票にならない。地元へ帰れ」と、麻生おろし勢力を意識してあらん限りの声で檄を飛ばす。


平成研会長の津島雄二は甲高く「一枚岩でいこう」。清和会会長の町村信孝は、天皇の北米訪問(3~17日)に絡め、粛然としていわく。


「天皇陛下が海外で公務に励んでおられる間、国内の心配をされることがあってはならない」


とってつけたような発言だが、正攻法しかないことに気づいたのだとしたらご同慶の至りだ。


とりあえず、7月5日投開票の静岡県知事選、7月12日投開票の東京都議選に勝つことに全力をあげ、総選挙に向けてはずみをつけたいということなら、さらによくわかる。


ところが、この二つの選挙、ともに苦戦が予想される。その結果によっては、派閥領袖らが密談し、万策が尽きた観のある麻生首相を引きずりおろす方向に舵を切るかもしれない。


明後日にせまる静岡県知事選は、東京都議選にも影響を与えかねない重要な選挙だ。


民主党などが推薦する川勝平太候補は、告示の2週間前に出馬を表明し、大きく出遅れたが、自公推薦の坂本由紀子をしのぐ勢いのようだ。


もともと民主党にとって、難題を抱えた選挙だった。元民主党参院議員、海野徹に出馬取りやめを小沢一郎が求めたものの、不首尾に終り、票割れの懸念をかかえたスタートだった。


川勝を担ぎ出したのはもちろん、小沢だ。連合との関係が芳しくない海野では、危ないと見た。海野は2004年の参院選でも、2007年の静岡市長選でも負けている。候補者調整よりも、川勝平太という人物の持つ馬力に賭けたのだろう。


川勝は「新しい歴史教科書をつくる会」や産経の正論路線に賛同する、保守色の強い歴史家であり、一方で新自由主義的な経済学者でもあると見られている。


一筋縄ではいかないユニークな理論家といえるだろう。「川勝経済史学」は、それなりに世界に知られている。


とくに、ヘーゲルやマルクスの「時間軸」世界史観に対し、「空間軸」という視点での東洋的な史観を指摘したところが面白い。


難しいことはともかく、税金無駄遣いをやめ、天下りを禁止し、地方分権を進めるという点で、民主党の政策と一致し、学者からの転身を決意した。


選挙戦では、川勝は出遅れた分を、学者に似合わぬエネルギッシュな演説を武器に、猛烈な勢いで取り戻し、官僚出身の坂本由紀子候補を脅かしている。


過去に自民党政権の政策にも関わったことのある実力候補者、川勝の地方政治へのチャレンジは、宮崎のタレント知事をあろうことか国政選挙の顔にしようとする自民党の人気取り戦略へのアンチテーゼと見ることもできよう。


それにしても半分だけ幕が開いた東国原劇場は、どう収拾をつけるつもりなのだろうか。下手をすると、東国原にとっても、自民党にとっても、国民観衆のブーイングの嵐を受けるステージに終わりかねない。


ご面倒でしょうがワンクリックしてください、ランキングが上って読む人が増えるそうです↓↓

人気ブログランキングへ