2008年12月20日(土)

日銀、“禁じ手”CP買い決断

テーマ:政治

優良といわれる大企業の、目先の危機回避のため、日銀は大きな賭けに出た。記者会見する白川総裁の細い顔は、さらにげっそりとして見えた。


わずか0.3%の政策金利を、さらに0.1%にまで下げたうえ、優良企業が短期の運転資金調達に発行する「CP」なるリスク債券を買い切るという“禁じ手”にまで踏み込んだ。


トヨタなど超優良企業でさえ危うくなっている現下の経済情勢のなかで、「CP」市場が極端に冷え込み、資金調達がままならない。ならば、日銀が銀行からCPを買い切って、最終的なリスクを負えば、銀行がCPを買いやすくなり、カネの流れの目詰まりが解消するという理屈だ。


「CP」と言っても、つまるところ無担保の割引手形である。相手がいくら大企業とはいえ、民間企業の信用リスクを負うこんなやり方を、日銀はできることなら回避したかっただろう。


財務省や経産省からCP買い切りへの打診があり、それを拒否すると、財務省は日本政策投資銀行によるCP買取策をまとめて、強いプレッシャーをかけてきた。慎重派の白川総裁の心にのしかかる圧力は、いかばかりだったろうか。


そこに強烈な追い討ちがかかった。米国FRBが17日、実質ゼロ金利政策に踏み込み、日米金利差が逆転、円は一時1ドル87円台まで急騰した。


自民党内からは「米国は迅速なのに、日本は遅い」と苛立ちの声が上がる。円高の進行と株急落を恐れる財務省や財界から、日銀に無言のプレッシャーがかかる。経済界出身者ばかりでかためられた審議委員たちの多くは「政策変更」に傾いた。結局、今回の金融政策決定会合で反対にまわったのは、みずほフィナンシャルグループ出身の野田忠男ただ一人だった。


しかし、0.3%という超低金利を0.1%に下げても、織り込み済みの19日の市場にさほど大きなインパクトはなく、今後も「円高の歯止めになるが、効果は限定的」という市場関係者の見方が強い。


また、CP買い切りで、かりに大企業が直面する目先の危機は乗り切れるとしても、世界的にモノが売れない長い不況のトンネルに入っているとすれば、今後、いくたびもの危機の大波がやってくることが予想される。そのときに、日銀はさらなる打つ手を持っているかと考えれば、気分はさらに暗くなる。


0.1%にまで下がった金利にはすでに下げ幅の余力はなく、CPなどで民間リスクを無制限に抱え込めば、万一、企業が倒産したときに日銀の財務内容が悪化し、日銀券への信頼性が損なわれる。


ならば、かつてのように、銀行が日銀に預ける当座預金の口座に、銀行から手形や債券を買ってじゃぶじゃぶとカネを流し込む「量的緩和」をすればいいかというと、これも必ずしも「銀行から企業への貸し出し」に結びつかないことが経験則で分かっている。


なんら景気回復の起爆剤が見い出せないまま、不況の海をさまよいはじめたこの国の経済は、とにもかくにも国を運営する政治への信頼感がよみがえらない限り、希望の灯りが見えてこない。


雇用、年金、医療、介護など、人の命と最低限の生活を守る仕組みができ、この国で安心して生きていけるという空気になれば、国内消費は必ず回復する。「貿易立国」とはいえ、輸出に過度に依存する経済の危うさは痛いほど分かったはずだ。


行政の仕組みを変え、予算配分の仕方を変えて、「人間」への投資をすれば国力は自ずから蘇るだろう。


今回の決定で、日銀ができることは限りなく少なくなった。その分、国の抱える経済リスクは大きくなった。ここからはまさに、政治の正念場である。


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