2008年11月15日(土)

G20開催、麻生首相は存在感アップに躍起

テーマ:政治

世界はいま、政治的にも経済的にも飛びぬけた強国アメリカの凋落を眼前にし、新たな「よすが」を求めて漂流している。これまでひたすら米国に寄りかかっていればよかった日本も、“頼みの親”が病に倒れ、急速に国内不安が増している。


日米同盟の立役者、吉田茂の血統に自信と誇りを抱く麻生首相は、「いまこそアメリカのドルを救い、日本の存在感を示す」と、勇躍、「G20」の開かれるワシントンに乗り込んだ。


アメリカの存立基盤は「ドル基軸体制」だ。貿易取引の決済を自分の国の通貨でできるのだから、極端に言うなら、どんなに借金しても紙幣を刷ればこと足りる。ところが、決済通貨として世界が認めなくなると、たちまち借金大国アメリカは破綻する。


そして、ドルが暴落すれば、5000億ドルをこえる米国債を有する日本や中国なども国家的危機に瀕するだろう。そんな事態を避けるため、日本と中国はドル防衛に協力し、増発が避けられない米国債を買い続けるハメになりそうだ。


ただし、中国はそれを政治的かけ引きに利用するだろう。わが日本はそういう面でのしたたかさがあるかというと、いささか心もとない。


一方、G20の前日、パリのエリゼ宮では、サルコジ大統領が早口でまくし立てていた。「ドルはもはや基軸通貨と言い張ることはできない」。大統領就任早々はブッシュにすり寄っていた男も、金融新体制づくりの主導権を握るべく派手なパフォーマンスに打って出た。


アメリカ発の金融危機はとくに欧州に強いダメージを与え、ユーロやポンドが売られドルや円にシフトするという皮肉な現象が起きている。


これまで「ドルの代替通貨」としての期待感から買われ、上昇してきたユーロだが、下落に転じてからはすっかり信頼感を失っている。ユーロ圏のGDPは9月までの6ヶ月間マイナス成長を続け、ドルよりユーロの暴落が懸念される状況だ。


その原因をつくった米国に向ける欧州首脳の視線がとりわけ厳しいのもうなずける。もちろん、サルコジの強硬姿勢には、日本や中国ほどのドル資産を欧州が持っていないという事情の違いがある。


こうした状況のなか、麻生官邸は「麻生イニシアティブ」を印象づけようと必死だ。各国メディアの高い評価を得て、国内の支持率を少しでも上げることができれば、解散に踏み切る決心がつきやすい。


IMFや世界銀行、アジア開発銀行への資金提供による新興国・途上国救済を打ち出し、ウオールストリート・ジャーナルに「バブル崩壊を克服した日本の経験が有効だ」という趣旨の論文を掲載した。


「女を口説けるくらいの英会話力、それに経済や商売が分かること」(産経)を政治家の条件にあげる麻生首相も、「首脳会談ではまとまった考えを伝える機会が少ない」(首相周辺談、朝日)と、やや尻込みするところもあるのか、論文による“補完”を思いついたようだ。


これで日本の存在感が強まるほど世界は甘くないかもしれないが、ドルを「持てる国」の宰相としては、ドル不足にあえぐ欧州諸国や新興国の注目も集まって、決して居心地の悪い会議ではなさそうだ。


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