G20サミットで発揮できるか、麻生イニシアティブ
テーマ:政治15日朝からワシントンで開かれる「G20緊急金融サミット」で麻生首相が発言する提案内容が今日の各紙朝刊に掲載されている。タイトルは「危機の克服」というのだそうだ。
政府が事前に文書を配り発言内容を記者発表するくらいだから、会議での提言がいかにセレモニー的であり、政権PR色の強いものであるかが分かる。
提案のポイントは、金融危機で国家破綻に直面している国への融資拡大をはかるため、IMFの出資総額を6400億ドルに倍増することとし、増資が実現するまでの間、日本が外貨準備から最大1000億ドル(約10兆円)をIMFに融資する、という部分だろう。
ドル資金を出すというのだから、世界は歓迎するだろうが、織り込みずみでサプライズはない。日本国民の感情からすると、融資とはいえ「この不景気にまたカネを出すのか」ということにもなる。IMFは資金難に陥っており、今のままでは深刻な危機に直面している国の救援要請に応えられない。
だから、今後、世界経済の悪化が進むにつれ、「ものわかりのいい」日本に、追加の資金拠出の要請があるだろう。「100兆円相当の外貨準備の半分は拠出しなければならないのではないか」という専門家の声もあるほどだ。さすがにそうなると、簡単には決められない。
自民党内には「今回のサミットは政局の潮目を変える格好の舞台」(産経)という期待感があるというが、さてそううまくいくだろうか。
なぜ、今回の金融サミットが儀式にすぎないかといえば、いうまでもなく、ホスト役が任期切れ間近のブッシュ大統領であるからだ。すでに、指導力は限りなくゼロに近い。各国首脳は次期大統領、オバマの頭の中に描かれつつある世界がいかなるものかを想像している。
オバマはブッシュから政権を引き継ぐ準備を進めているが、金融危機対策については来年1月の正式発足まで、できるかぎり関わりたくないようだ。「ポールソン財務長官らが協力を求めても慎重姿勢を崩さない」(日経)という。
オバマにしてみれば、ゴールドマン・サックス会長時代に市場で大儲けしたポールソン財務長官はブッシュとともに経済失政の戦犯であり、今のところは彼らと一線を画しておきたいだろう。
今回の金融サミットでも、もちろんオバマ本人は不参加。代理人としてオルブライト元国務長官とリーチ前下院議員が出席する運びだ。次期大統領代理人とレームダックの現大統領が取り仕切るのだから、成果のほどは知れている。
欧州各国が求める米国流金融システムの規制や、IMF改革など、今後の世界経済のあり方を決める肝心な大テーマについては先送りせざるを得ないだろう。
つまり、実質的に世界経済危機への対応が進むのはオバマ政権ができてからということになる。
麻生首相は事業規模27兆円の追加経済対策をサミットで各国首脳に説明するというが、その目玉が、景気浮揚効果が見込めず悪評紛々の「定額給付金」では、いかにも説得力に欠ける。
日本の存在感をアピールすると意気込んでワシントン入りした麻生首相の米国寄り「麻生イニシアティブ」が不発に終わり、サルコジやブラウンやメルケルらの引き立て役にまわることも十分考えられる。
そうなると「潮目を変える」どころか、「潮に流される」のがオチで、正念場の来年、オバマ新大統領とタッグを組めるかどうか、ますます視界不良がひどくなる。
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