アトピー性皮膚炎とステロイド外用薬のついて、多くご質問を頂いています。

アトピー性皮膚炎とは、皮膚が湿疹状になり、かゆくなる、皮膚の病気です。

アトピー性皮膚炎と他の皮膚炎の大きな違いのひとつに、炎症の期間があります。乳児では2ヵ月以上、幼児以降では6ヵ月以上、炎症が続くとアトピー性皮膚炎と診断されます。つまり、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、症状が長期にわたる性質が、アトピー性皮膚炎の最たる特徴であり、他の皮膚炎と違う点です。

一日単位ではなく、一ヶ月単位で治す病気であり、症状も治療もサイクルが長いことをまずはご理解ください。その上で、その特徴的なサイクルをご家族が理解し、専門医の指導の下、正しい治療をすれば、遅かれ早かれ治ります。

さて、アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症をともないます。炎症が続いている期間が短ければ、皮膚へのダメージは少なくなります。大人になっても残る肌のくすみや黒ずみが代表的なダメージです。皮膚の黒ずみがステロイド剤の副作用だと思っている方が多いのですが、これは皮膚の炎症が続いた後遺症です。身近な例でいうと日焼け(炎症)の後に赤くなり黒くなるのと同じです。こうなる前に正しく炎症を抑える事が大切なのです。

多く頂いたご質問の中にもある「ステロイドは怖い」という先入観や噂から、処方薬の用法容量を守らず使用している患者さんが実に多いのが現状です。ステロイドとは、副腎(腎臓の上端部)から分泌される副腎皮質ホルモンの1つで、人間の体内にすでに存在する物質で、それ自体は有害なものではありません。

結論から申し上げますと、現時点でステロイド外用薬はもっとも有効な治療薬です。また、ステロイド依存や中毒といったことも、専門医の適切な治療を受ければまずありません。怖いのは容量や期間を守らずに自己判断で使用や中止を決めてしまう事です。
アトピー性皮膚炎を火事に例えると、ステロイド外用薬は消火器に例えられます。

まずは正しい消火活動です。炎が上がったら、まずは消防訓練で教わった通りに、火元に向かって消火剤がなくなるまで噴霧します。火事のあとは、火が消えたと自己判断せず、鎮火したかどうか消防隊員に見てもらいます。

次に、間違った方法です。せっかく手元にある消火器を、消防隊員が教えた使用方法を守らず、自己流に使用して炎が消えずに種火が残っています。種火が残っているのに、自分で鎮火したと思い込む。そして、種火から引火しより大きな炎になってまた火事を引き起こします。今度は消火器で消せないくらいの大火事になってしまうのです。


アトピー性皮膚炎は、初期の段階で根治(鎮火)することで、炎症の期間を短くすることになり、将来の美しく健康な皮膚につながります。ステロイド外用薬は治療初期に適正最大量を処方し、経過を見ながら、塗布の頻度を少なくし、弱いステロイド剤に切り替えるいわゆる「離脱」のプロセスが大切で、副作用を抑える結果となります。
ステロイドには多くの種類があり炎症が強い時には、それにあった強めのステロイドを塗り、症状がよくなれば徐々に弱いステロイドに変えていきます。同じものをずっと使うのではなく皮膚症状をその都度、主治医に診てもらい変えていくのが基本です。
ステロイドの副作用が怖いと思っている方の多くは内服薬と外用剤が同じだと思っているからだと思います。外用剤での副作用は毛嚢炎というニキビのようなものや、毛細血管の拡張、皮膚萎縮などで、これらも皮膚科医の正しい指導のもとで使用すれば最小限に抑えられます。
質問に「先生は息子さんにもステロイドを使いますか?」というものがありました。答えとしては、万が一、炎症を伴うような皮膚症状が息子にでるのであれば正しい使用方法で使い、早めに炎症を改善するようにします。

【後編】に続きます。
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