テーマ:借金
2007-01-31 13:27:11

魔の給料日⑥

魔の給料日シリーズ最終回!!


読者の皆様お待たせいたしました。


アクアの、夫の運命はいかに??



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約束の時間の約5分ほど前、


アクアと夫は井上さんの事務所前に着いた。


時間的にはパーフェクトである。




しかし、夫はすぐに車から出なかった。


少しこわばった顔をし、それから深呼吸をした。




それなりの気負いがあったのだろう。



「アクア、車のエンジンつけておくから。


適当にして待ってて。ちょっと長くなるかも知れんけど…」


「うん、わかった。頑張って。」


「うん、行って来るわ。」



外は小雨が降っていた。


まるでアクアたちの気持ちを投影してるかのようである。


夫は車を出ると背中を丸め、小走りで向かいの事務所に入っていった。



『大丈夫だろうか?』


不安が押し寄せる。


そんなアクアに気付いてか気付かないでか、


小さな杏里はテレビを見ながらご機嫌に過ごしていた。





「すいません、水野ですが…」


「あっつ、奥へどうぞ。」


夫が井上さんの事務所に訪れた時にはすでに阪本さんも席についていた。


予想通りである。


異様な緊張感に包まれた小さな個室。


戦いの火蓋は気って落とされた。




夫はなかなか帰ってこなかった。


事務所に入ってから一時間ほど過ぎていたと思う。


杏里は暇をもてあましてとうとうぐずり始めてしまった。



『遅いなぁ。杏里はぐずりだすし、それにもう時間がない。


今帰ってきたとしても会社に18時半までに帰って全てを仕分けるのは無理や…』



事務員の退社予定時刻は18時半である。


それまでに何とか処理をしたかったのだがそれも難しくなっていた。


夫は夫なりに今、眼の前の事務所の中で戦っていることはわかっている。


しかし、アクアも余裕がない、


苛立ちが少しずつ膨らみ始めていた。




『あかん、このままじゃ爆発しそう。』



大きなお腹で助手席に1時間座り続けるだけでも苦痛なのに、


そのうえ杏里の面度も見ているのだ。



「杏里、お腹すいた?


コンビニに行ってパンでも買おうか?」


アクア窮屈なスペースから外に出ることにした。


ずっと待っていたところでいつ帰ってくるかもわからない。





小雨の降る外の空気は排気ガスや空気中の埃なんかが


雨で浄化されたようでとても気持ちよかった。





コンビにはそこから目に見えるほどの距離に位置していた。


『少しくらい車を離れても大丈夫だろう。』


アクアはなるべ雨がかからないように杏里を抱きかかえると


小走りでコンビニへ向かった。






少しの外出はアクアにも杏里にもとてもいい気分転換になった。


イライラした気持ちがリセットされたようだ。





杏里は嬉しそうに車の中でパンを食べている。


少し気持ちが落ち着いたところでアクアは覚悟を決めた。


『会社に電話を入れないとな…』


事務員の退社時間はもう目前だった。




「お疲れ様、アクアです。」



「お疲れ様です。」



「ごめん、今いいかな?」



「はい。大丈夫です。」



「ごめんな、連絡遅くなって。もうすぐあがる時間やんな。」



「あっ、大丈夫です。」



「実はちょっと時間がかかってて、


今社長と一緒やねんけど帰るまでに


もう少し時間がかかりそうやねん。」



「そうですか、


じゃあ先に帰っておきますね。」



何かを察していたのだろうか?


嫌な声も出さずさらっとウケ答えてくれる事務員達。


そんな彼女達に心底感謝をした。


それも普段のコミュニケーションあってのものだと思う。


いつも彼女達はアクアの見方でいてれた。




しかし、営業マンはどうだろう?



夫と、社長とそれほどまで気持ちで繋がっているだろうか?


今はただ、最低限の信頼を維持する術として


彼らの退社までに給料を用意するしかない。





責任が重くのしかかる。




電話を切って一息ついた頃、やっと夫が帰ってきた。


「ごめん遅くなって。」


夫の顔に少し笑顔が戻っていた。



「どうやった?」


「満額じゃないけど


借りることが出来たわ。」





『良かった…』




ものすごい安堵感が押し寄せて言葉にならなかった。


かき集めて用意したお金と借りたお金を合わせると


何とか社員達の給料を用意することが出来たのだ。



夫の顔も緩んでいる。



二人でこうやって笑い会えたのは本当に久々だった。



「さあ、いこっか!」



夫は急いで車を会社へ向かわせた。




今回の出来事は


『お金の回らない苦しさ』


を夫の胸に焼き付けるいい機会になった。




『何とかなる』



その言葉がいかに不確実であるかを彼自身体験したのだ。


今回は確かに何とかすることが出来た。


しかし、夫は事務所の中で相当絞られたようである。



「もう今回が最後」



と念を押されてきたようだ。



「今回が最後」



その言葉が脅しではないことを彼は理解しただろう。



そう、問題は次からなのだ。





基本的な問題は何も解決されていない。


ホッとできるのもつかの間だった。


しかしアクアは信じていた。



夫さえ本気になれば売り上げも資金繰りも好転していくはずだと…



夫はこれを機に再起することが出来るのだろうか?



全ては夫に託すしかない。



そう思われた。





しかし、意外な人の出現により



自体は又変わっていくこととなるのだ。




テーマ:借金
2007-01-29 11:54:29

魔の給料日⑤

ほんまにダラダラと長くなっております今回のシリーズ


次回くらいでまとめたいと思っているので


あと少しお付き合いくださいませ…



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とにかく時間がない。


夫とアクアは時間を有効に使う為、別々に自分の出来る準備を始めた。


夫は知人に以前教えてもらった質屋に行くという。





夫の一つの成功の証でもあったロレックス。




その金色の光が今日はやけに寂しく見えた。




「質流し(質屋でそのまま商品として流してしまう)にはせーへんから。


又これで金ひっぱらなあかんかもしれんしな。」



アクアの目線に気付いたのか夫はそう一言残して家を出た。


感傷に浸っている場合ではない。


アクアにもやるべき事がたくさんあるのだ。



「よし!」


気合を入れて携帯を手に取った。


会社に電話をいれなくてはならないのだ。


それぞれの事務所では事務員がアクアからの連絡を首を長くして待っている。


給料日に、自分たちのする仕事の指示を与えてもらわないことには動きが取れない。





時間はお昼を回っていた。



当然15時までに処理をしなくてはいけないと思っている彼女達に


一刻も早く状況を伝えなければいけない。



最近の経理状況をなんとなく把握している事務員達。


その彼女達に連絡をするのは少し気が重くもあったが


躊躇なんてしていられなかった。







「ごめんな、今日給料の段取り私がするわ。


資金の関係で今ちょっとお金を動かされへんねん。


夕方になると思うけど



今日中にはちゃんと渡せるようにするから!」





なんだか意味のわからないような説明を


アクアは自分なりに明るくさっぱりと事務員に伝えた。




その気持ちが伝わったのだろう。


彼女達も


「わかりました。お願いします。」


と明るく返してくれた。


そんな彼女達の気持ちを裏切らない為にも


何とか今日を乗り切らなくてはならない。


アクアは急いで外出の準備と給料の計算を始めた。




自分達の給料をのぞいてどれだけのお金が必要なのか。


金種(札、円の種類)ごとにどれだけのお金が必要なのか。


あらかじめ算出しておかなくてはならない。




そうこうしているうちに夫が帰ってきた。



「お帰り。」




「ただいま。


とりあえずお金に換えてきたから。


45万になったわ。」




100万円の使い込んだロレックスは意外にも45万円に化けた。


ロレックスは換金率がいいのだそうだ。



それでもまだまだ足りない…


後はできる限りカードでキャッシングをするしかなかった。


キャッシングをすると来月までに返済をしなくてはならない。


それまでに確実な回収があるわけでもない。


それでも目先の目標に必死になっていたアクアたちは


来月のことなんて考えられずに居た。


今を乗り切ることだけに必死だったのだ。




夫とアクアはそれから銀行を回って出来る限りのお金をかき集めた。


そうこうしているうちに時間は過ぎていく…


間もなく時刻は16時になろうとしていた。




「ちょっと時間があるな。」




井上さんの事務所まで車を飛ばせば30分ほどである。




「そうやな…」


「ちょっとコーヒーでも飲んでいこうか。」


「うん。」




どうしてもコーヒーが飲みたかったわけではない。


ただ、どうしても一息ついておきたかった。




『本当にお金を借りることが出来るのだろうか?』



貸してもらえる自信があったとはいえ、


確実ではないその返答に夫自身心なしか不安と焦りを感じていたのだ。




その気持ちはアクアも同じだった。




「多分、阪本さんも来てるやろうなぁ。」



夫はコーヒーを飲みながらつぶやいた。



この話し合いで今日の、


イヤこれからの会社の運命が決まるといっても過言ではない。



夫は井上さんを納得させることが出来るのだろうか?



決戦の時は迫っていた。



テーマ:借金
2007-01-24 11:51:10

魔の給料日③

今回で、この


「魔の給料日シリーズ」も締めくくりです!!


って言いたいことろなのだが


意外に、思った以上長引いてしまった。


後何話か続きそうである。


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すんなりと行かなかったとはいえ、


もうこれで最後になるかもしれないとはいえ、


とにかく井上さんからいい返事をもらえたことで


アクアも夫も何とか前に進む気力が沸いてきていた。




その時である。




井上さんから電話がかかってきたのは。





「井上さんからヤ。」



その夫の声を聞いてアクアは嫌な予感がした。


何か良くないことが起こる。


そんな胸騒ぎがした。


夫も同じように感じたのであろう。


少しためらいながら電話に出た。





「もしもし、はいお疲れ様です。


はい、良いですよ。」




夫の沈黙がやけに長く感じる。


『神様、お願い!!』


アクアは祈るような気持ちで電話を握る夫の姿を凝視していた。


その夫の顔が落胆に変わるのはとても…早かった。






「ちょっと、待ってくださいよ。


今更そんなこと言わんといて下さい。




ほんま、お願いします。




もう井上さんしか頼めないんですよ。」




「わかってます。


ほんまに申し訳ないと思うけど、


そこを何とか…


お願いします。


助けてください。」




『嘘やろ?』


隣で聞いているアクアも崩れ落ちそうだった。


今ここで井上さんに断られたらどうすれば良いというのだ。


どう考えてもアクアに代案なんてない。


頭の中が真っ白になった。




「はい、わかりました。」



そういって夫は電話を切った。



「なんて?」





「うん、急に



やっぱり用意できへんって。


勝手にそんな大金持ち出されへんって言うねん。



とりあえず、又かけるって



一旦電話を切らはった。」





「…。」





あまりのショックで言葉が出てこない。


夫も下を向いたまま動かなかった。





『もう、ダメだ…。』





沈黙が流れた。


すると夫は何かが切れたようにこう言い出した。








「なあ、アクア。


俺達給料も払われへんかったらもうおしまいやな




会社もつぶれる。


後は借金が残るだけや。



もう、逃げよう。


それしかない。


どっか遠い所に逃げよう。」






夫の顔は笑っているのか無表情なのかよくわからなかった。


でも、冗談で言っているのではない。


それだけは伝わってきた。



『逃げる?それも良いかもしれない。』



ふとアクアの頭にもそんな打算的な考えが浮かんだ。


そう思って下を向くと視界に大きなお腹が入ってきた。


その大きなお腹は必死に何かを伝えようと主張している。


そんな風に見えた。




『お母さん、逃げないで!』





そうだ、アクアには二人の子供が居るのだ。


小さな杏里と、


もうすぐ世に誕生しようとしている命の運命は


まさに両親の手にかかっているのだ。




今ここから逃げ出したら


アクアはどうやってこの子を世に送り出してあげればいいのだろう?


戸籍を持たない子をどうやって立派に育てていけるだろう?




そんなことは出来ない。



この子たちには何の責任も無い。



この子達をアクアは守らなくてはいけない。



アクアは母親なんだ。




「たけしくん。


アクアは嫌やで。


絶対にここでは逃げへん。



大体今逃げたらこの子達どうするんよ?」




「何とか…なるって。」





「何とかってどうなんとかなるん?



しっかりして!




たけし君はもうすぐ二児の父になるねんで!


たけし君が欲しいっていってた二人目やんか!


そんな情けないこと言っててどうするの?


何とかしよう。


何とか少しだけでも貸してくれるように頼もうや。


後は、アクアのカードで20万ならキャッシングできる。


たけし君のカードでも少しはキャッシングできるやろ?





やれるだけかき集めよう。




何とかやってみようよ。




今逃げたらもう、





何もかも終わるねんで!」




夫は何かを考えるように暫く黙り込んでいた。


そりゃ逃げるほうが楽に決まってる。


きっと、ここにいたるまででも何度も逃げたくなる事はあったのだろう。



『でも、お願い…伝わって…』




アクアは祈るように夫を見つめた。



テーマ:借金
2007-01-23 13:13:45

魔の給料日②

とうとうやってきた給料日


夫はお金を用意できたのだろうか??


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給料日の午前。


水野家には嫌な空気が流れていた。


夫の会社は給料を振込でなく手渡しで支給していた。


普段、給料日になると支給額を個別に銀行窓口で引き出し、


それを給料明細と同封して処理をしていた。


こうすることによって、


小銭の過不足無く処理することが出来るのだ。



そのためには銀行の窓口が利用できる時間。


15時までには何とかしなければならない。



残された時間は後数時間しかない。


はたして間に合うのだろうか?


しかし、手渡しで支給していたことはこの状況において緩和材料となった。




もし15時を回ってしまっても、


現金さえ用意できれば今日中に支給することが出来る。


それは手渡しであるがこそなせる業だった。




現金さえ用意できれば…



全ては夫の電話、井上さんにかかっている。


否が応でも夫に託すしかないのだ。


こまごました処理が出来ても、


アクアには大金を用意する術も人脈もないのだから。



そしてその焦りと、もどかしい思いを


強い圧力として夫に投げつけていたのだ。



夫は重い腰を上げ携帯を手に取るとベランダの方へと歩き出した。


少しでも外の光を受けながら気合を入れたかったのだろう。


これ以上井上さんにお金を借りることはたやすいことではない


夫も相当のプレッシャーを感じて居たのだろう。




「こんにちは、たけしです。


井上さん、今電話良いですか?」




「っあ、すいません。実はね。。」




「はい、そうなんです。


今日給料日で、頑張ったんですけどどうしても足りないんですよ。」




「えー、200万です。」




「そんなん言わんと、


なんとかお願いします。」



電話の向こうの声こそ聞こえないものの、


井上さんが即座に状況を察知し、


貸すことを渋っている様子が手に取るようにわかった。


もう何度もこうして借金を重ねているのだから当たり前の反応である。




それでも、何とかして欲しい。



アクアも祈るように夫の後姿を見つめ続けた。


夫自身、給料日当日になってもうこれしか手立てが無いことが重々わかっていたらしく


必死に何度も喰らいついていた。


その結果、なんとか井上さんの承諾を得ることができたのだ。



「なんとか…なったな。」


夫は深呼吸してそういった。


「でも、15時はむりや。


まにあわへん。


15時に取りに来いって言われたからな。」




「うん、わかった。


その辺は何とかするわ。


でも、ほんまに良かった。



でも、井上さん…



貸し渋ってたやろ?」





「ウン…」





「もう、次は無いかもな。


仕方ないよな…」




いつかこんな日が来ることはわかっていた。


それでも、その日が来てしまった現実は


夫にとってもアクアにとっても受け入れがたいことだった。



ギャンブラーにとってお金を貸してくれる存在が、


後始末を手伝ってくれる存在が


本人の病気を治すにあたってマイナス要素である事は


最近になってわかった事だ。



しかし当時のアクアはただ、少しでも周りのものを守りたいと必死だった。


井上さんがお金を貸し続けてくれていたことも、


当時のアクアにとっては必要なことだったのだ。



何とか会社だけは守りたい、


会社さえあれば立ち直ることが出来る



そう信じていた。


そのためにどんどん借金を重ねていたのだ。


それは夫も同じ、いやもっと強く感じていたことだ。


とにかく会社は守りたい。


給料を滞らせるわけには行かない。



その想いが廃人のような夫を動かしていたのだろう。



「とりあえず今からお金をかき集めて準備しなあかんな。


準備、しよっか。」



落ち込んでる暇など無い。


それでも動いていかないといけない。


アクアも自分に言い聞かせるように重い体で立ち上がった。



「そうやな。」


夫もやっと動く気になったようだ。


その時である。



夫の携帯に着信が入ったのは。



その電話は井上さんからだった。



テーマ:借金
2007-01-22 14:14:40

魔の給料日①

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カレンダーを見ると大きなため息がこぼれた。


後5日。


5日後は給料日なのだ。


現在アクアが把握する限り、ここ5日間の金銭回収予定は1件しかなかった。


そしてその回収額は社員全員の給料をまかなうには程遠い額だったのだ。


夫はこの事実を把握しているのだろうか?


きっと目を背けているだろう。


考えれば考えるほど頭が痛かった。


言いたくない現実だが伝えなければいけない。





夫はソファーに座って、


イヤもたれかかってといったほうが良いかもしれない。


とにかく力ない姿でタバコをすっていた。


「なあ、たけし君。次の給料日の件やねんけどな。」


【給料日】


その言葉に反応した夫は少し表情をゆがめながらゆっくりとこちらに顔を向けた。


「もう、そんな時期か…ホンで一体いくら足りへんの?」


さすがの夫も給料が足りないという事実は把握していたようだ。


「うん、次の回収を差し引いても200万ほど足りへんわ。」



「200万か…


なんとかするわ。」



そういって夫は又タバコに手をやった。




【何とかする】


そう言うときは大抵井上さんに頭を下げる時だ。


夫は井上さんのすねをかじって何とかやりくりしていた。


ほかに頼れる人は居なかったのだろう。


バカラの依存性、苦しみをわかってくれる相手は井上さんしか居なかったのだ。


当の井上さんもそんな夫の心情を理解し、


立ち直る為にとできる限りの協力をしてくれていた。


夫にとって井上さんはいわば頼みの綱だったのだ。





しかしいつまでもそんな関係を続けていて言い訳がない。


少しずつ返済していたものの夫の借金は確実に増大していた。


その現実に井上さんも頭を抱えていたのだ。



そんな井上さんの気持ちを夫は気付かずに居たのだろう。


自分がいつか回復できるまで、資金のある井上さんに甘えさせてもらえばいい。


そんな風に思っていたのではないかと思う。


そんな甘い考えで居る人間が本当に回復できるわけなんて無いのだ。




給料日前日。


アクアは気が気ではなかった。


夫の性格上、資金が手元に集まったならアクアに教えてくれるはずである。


しかしそんな連絡が入っていないどころか夫が動いている様子も無い。


目の前でジャージを着たままいつものソファーにもたれかかっているのだ。



時間が無い…



そう思って焦るアクアはせっかちなのだろうか?


痺れを切らせたアクアは我慢しきれずに切り出した。


「なぁ。明日の給料日どうにかなりそう??」


すると夫の口からとんでもない言葉が返ってきた。


「ぜんぜん考えてない。明日するから…」



ダメだ…


落胆がアクアにのしかかってきた。





給料日当日。


遅めに起きてきた夫がやっと動き出した。


そして大きなため息をつきながらアクアをチラッと見てこういった。


「あの人に頼むから、そうするしかないやろ?」


これでいいんやろ?


とでも言わんばかりの夫の態度。



『情けない…』


そんな言葉しか浮かんでこない。


夫はいつまでこんな生活を送るつもりなんだろう?


夫の気持ちを優先させようとした結果がこれである。


夫には結局逃げる場所がある。


だからそうやっていつまでも逃げることが出来るんだ。


そう思うと無性に腹が立ってきた。




「なぁ。なんで当日なん?


今まで時間あったやろ?


井上さんに借りるにしても当日じゃ向こうも困るし確実じゃないやん?


そんな風に逃げてたらアカンと思う。」





「そんなんわかってるから!


今から電話するから良いやろ!


だいたい俺にどうしろって言うねん。」





結局私も夫もぶつけどころが無かったのだ。



再生に向かってお互いに向上していきたかっただけなのに、


このときの私たちは足を引っ張り合ってもがいていただけなのかもしれない。



苛立ちをぶつけてもどうにもならない。


そんなことはわかっていたけれどとにかく不安でならなかったのだ。


そして、その不安は的中してしまうのだ。



テーマ:借金
2006-11-17 10:03:48

返済

熱が下がってすっかり元気!


とは行かないが、何とか復活しているアクアである。 




皆さんどうもご心配おかけしました…




耳の奥に中耳炎くさい痛みと頭痛が残っているものの


まあ、何とか体力は回復しつつあるので大丈夫だろう。




それでは、今日も本文お楽しみください♪



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約束の日がやってきた。


ママがアクアに返済をする期日である。


夫から嫌な話を聞いて、半分諦めの気持ちが入っていた。


『あれだけ借金を重ねてるんだから、返せなくても仕方ないのかもしれない。』


そんな気がしていたのだ。


正直期待して裏切られるのもイヤだった。


これ以上信用している人に裏切られたくなかったのだ。


しかしその反面、


『返してくれるはず、返してくれないと困る。』


そんな気持ちも拭い去れないでいた。




その日アクアはママの店でランチをとることにした。


わざわざ催促の連絡をするのもいやだったし、


連絡を待つのもじれったかったのだ。


もちろんママには夫が貸したお金の話をするつもりはなかった。


夫から口止めされていたこともあったのだが、


もとからいう気はなかった。


そんなことをいってしまうと、ママを追い詰めてしまう気がしたのだ。



「アクアいらっしゃい!」


ママはいつもと変わらぬ態度でアクアを迎え入れた。


そしてアクアもいつもと変わらずランチをオーダーした。


それはいつもと変わらない少し遅めのランチタイムだった。


アクアがランチを食べ終わる頃には他のお客さんの姿は消えていた。


コーヒーを飲んで暫くすると、ランチタイムのアルバイトさんも帰ってしまった。


残されたのは、アクアと杏里とママの三人である。


なんとなく緊張してママに視線を合わせることが出来なかった。


そんな空気を取り払うかのように、ママは明るく切り出した。





「アクア、こないだ借りたお金やけどな。」









来た 









「うん…」













「ありがとう、助かったわ!




はい、これな!」








「エッツ?」






そいってママは財布から現金10万円を取り出した。


全く期待していなかったわけではないが、やっぱり少し意外な展開だった。


夫の話しを聞いてからその日まで、


アクアはもやもやとしたいやな気持ちをずっと抱えていた。


それが、拍子抜けするほどあっさりとアクアの手元に戻ってきたのである。





正直、ホッとした。


とたん、笑顔もこぼれ出た。





「ありがとう。」


そういってアクアはお金を受け取った。






今考えればそれも計算だったのかもしれない。


ママにとって金銭授受の場をアクアに見られてしまったことは不本意だったと思うのだ。


確かに、友人に手渡している場面を見ることが出来た。


しかし、誰が考えても逆効果である。


アクアに不信感が残ったって不思議のない話だ。


だからなんとかこのお金だけはきちんと返済しておいた方がいい。


そう思ったのではないかと思うのだ。



夫はママに"アクアへの借金”のことを話はしなかった。


そうなると、アクアが夫にこの話をしていなかったと考えることが出来る。


前回書いてはいなかったのだが、思い返してみると、ママはアクアからお金を借りる際、


さりげなく『たけちゃんにはいわないで』らしきことをアクアに告げていた気がする。


夫婦関係が壊れかけていた水野家が、


そう密に話をすることなどないと高をくくっていたのかもしれない。


とにかく彼女にとって、


お互いからの借金の件が明るみに出るのはいいことではなかった。


一つボロがでると後から後から出てくるものなのだ。




その日アクアは意気揚々と自宅に帰った。


まだ夕方だったと思う。


昼過ぎに起きてきた夫はまだボーット家でタバコをすっていた。



「聞いて!今日ママからお金返してもらってン♪」


「へーそうなんや。」


少しびっくりしたように夫は答えた。






「ママ山本君から借りたお金もまだ返してないのになぁ。」










「エッツ?どういうこと?




山本君からも借りてるの?」





「うん、20万くらいやったかな?貸したって聞いてるわ。」







山本君。


彼はトライアングル㈱の店長である。


彼は店長でもあり業績も良かったので少しいい給料をもらっていた。


ママもおそらくそれを知っていたのだろう。





びっくりした、



ショックだった。





でも、もうアクアはこれ以上考えたくなかった。


こうしてアクアは新たに芽生えた不安の芽を自分の中にしまいこんだのだった。



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テーマ:借金
2006-11-14 10:06:56

アテ

のどが痛い…


又風邪かもしれない…


イヤ、間違いなく風邪だと思う orz


今回は発熱しませんように…



それでは本文!


当時夫は本当にママを信用していた。


だから、彼を安心させる事は簡単だったかもしれない。


それでもやはり、安心材料がないと夫はそこまでお金を貸さなかっただろう。


夫を安心させた【アテ】それは一体なんだったのだろうか?


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ギャンブル依存症とは
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ママには3人の子供がいた。


私たちが知り合う一年前頃、末娘は交通事故で帰らぬ人となってしまった。


その事故が起きる少し前、


別の交通事故で


長男は生死の狭間をさまよい、一命を取り留めた。


彼はバイクを運転してたのだという。




詳細はわからないのだが、相手方にミスがあったのだと聞いた。


彼は若いこともあり、今では一見普通の人と変わらないほど元気に生活をしている。


しかし、時々激しい頭痛に襲われたり、体が動きづらくなったりすることもあるようだ。




本当に大きな事故だったらしい。




その事故の影響があり、彼は普通の職業に就くのは難しいのだという。


その為彼は専門学校に通い鍼灸師になるべく勉強をしているのだ。




その事故の処理は完全に終わっていなかった。


慰謝料の支払いがまだなされていなかったのだ。



今回の事故の場合、相手方の保険会社から保険金が支払われることになっていた。


その金額の折り合いがをつけるのにだいぶと時間をかけていたのだ。


今回の事故の場合、被害者は二十歳手前であった。


保険金の計算をする際、


被害者がこの先就職して得られたであろう金額が考慮されるという。


それだけでなく、他もろもろの保障も絡み、



金額的に膨大なものとなっていた。



ママいわく、


一億円以上もの金額だったようだ。


その金額が打倒かどうかはアクアには全くわからないものだったが、


莫大なお金が支払われることについては十分に納得のいくものだった。





息子の今後の為の保険金。





それが、ママのいっていた【アテ】だったのだ。






今回その支払いが予定よりも遅れていた理由は、


ずばり金額だった。


保険会社が提示した金額がママの納得する額ではなかったのだ。


思っていたよりも何千万円も少なかったのだという


(それでも一億円はあったらしい)。


しかしそれもやっと折り合いがつき、来月には必ず手元に入る。




そうママは話していたのだ。



事故があったことは紛れもない事実だった。


それに、夫は以前ママの店で保険会社との話し合いの場を傍で聞いたこともあり


支払いがまだなされていないことも知っていた。


ママのいう話には確実性があったのだ。




何度も言うようだが当時夫の金銭感覚は


バカラによって緩みきっていた。



そのことが今回の根底にあることは否めない。


しかし、信頼の置けるママが


「確実に手元に大金が入ってくる」


といい、


又その話に信憑性があったことが


夫の背中を押したのも事実である。





だからといって、今回のやり取りが正当化されていいとは思わない




なぜなら夫は一つ大切な現実を把握していなかったからだ。





夫は懐には大きな穴が開いていた事を…


そして、その穴からは多額の金銭が流れ落ちていたことを…





夫の懐事情は、思っていたよりずっと悪化していたのだ。



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テーマ:借金
2006-11-13 11:11:47

二度目の借金

とうとう我が家のリビングに暖房器具が設置された。


季節はもう「冬」なのだ。


この冬こそ暖かく過ごしたいと願ってやまないアクアであった。



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ギャンブル依存症とは
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一度目の借金から一ヶ月もたたないある日、


夫はまたもやママに呼び出された。


といっても、彼女はたいした用事がなくても集客や様子伺いをかねて頻繁に呼び出しをかける。


だから夫は何の警戒もなく空いた時間にママの店にコーヒーを飲みに向かったのだ。




それはランチと夜の営業の間の一番暇な時間帯だった。




まだ夜のアルバイトさんも理恵(ママの長女)も出勤しておらず、


店内は夫とママの二人だけだった。


休息もかねてコーヒーを飲む夫は好んでこの時間帯に来店することが多かった。


それはママにとっても好都合だったのだ。




コーヒーを飲んでホット一息ついた頃、


ママは神妙なおもむきで夫に切り出した。



「こないだ借りたお金やけどな、


アテがちょっと遅れててもう少しかかりそうやねんごめんな。」



「うん、わかった。」


出来れば早く回収したいお金だったのだが、


ないものを焦って回収することもない。


仕方のないことである。



「ほんまはもう入ってくる予定やってん、


ほんまに困ったわ。」



そういってママは又、大きなため息をついた。


「そんなに遅れてるの?」


「うん、でもまあもうじき(もうすぐ)らしいけど…


当初と話が違うから、


それじゃあ困るねん。



実はな、たけちゃん私他にもお金を貸してるねん


どうしても困ってるって言うし、助けてあげたかったから。


それもこれも、もうお金が入ってくる予定やったから


ギリギリまで何とかしてあげてん。」



「そうなん、でもギリギリまで貸すなんて、それはアカンで。」



「うん、わかってる。


でも何とかしてあげたかってん。」



もうこのあたりで夫も嫌な予感がしていた。


話の流れがただの愚痴ではなさそうだったのだ。



「実は今日、うちの店の給料日やねん。


それやのに恥ずかしい話、お金が全然残ってへんねん。


たけちゃん、あんたしか頼れる人がおらんねん。


お願いやから100万貸して!」




「100万…」




「100万あったら給料払って当面何とかなる。


当てにしてるお金も来月には必ず入ってくる。



そうなったすぐにお金も返せるから。


お願い!給料だけは遅らすわけにいかんねん。


たけちゃんならわかってくれるやろ?」




コレで二度目の借金以来である。


さすがに夫はためらった。


しかし、目の前でママが頭を下げているのだ


あれだけ自分を気にかけてくれたママが…








夫は心を決めた。






「わかったママ、100万やな。


何とかするわ。


でも、もううちもそんなに余裕ないからこれ以上は無理、


コレがほんまに最後やで。」





「うん、わかってるこれ以上言うことは絶対にないから!


ありがとうたけちゃん!!」




金銭感覚の緩んだ夫は又お金を貸してしまった。


それは、彼女のいう『アテ』に信憑性があったからだった。


しかし、彼はどこかでうすうす感じていたのだ、


これ以上貸してしまったら自分の首を絞めることになることを。


夫はバカラをプレイするお金も手元に残しておきたかったのだと思う。


だから、ママに『コレで最後』と釘をさしたのだ。


その結果、ママはアクアにまで借金を依頼してしまった。


それは計算外だっただろう。




しかし、それほどにまで夫を納得させた『アテ』。


そのアテとは一体なんだったのだろうか?



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テーマ:借金
2006-11-11 10:59:50

一度目の借金

今日の大阪は雨模様。


女のこの日(言い方が可愛いでしょ♪)二日目のアクアは又もやブルーである。


あーー、腰が痛い。


なんで男には出血DAYというものがないんだろうか?


もしも一日だけ夫と体を入れ替えることが出来るなら


なんとか出産を経験させてやりたいけど、やつは死んじゃうかもしれない。


それなら生理二日目を経験させてやりたいなぁ。


なんて鬼のようなことを考えているアクアであった。



さて本文、まだまだママの話を引っ張っているのだが


もう少しお付き合いいただきたい。


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事の真相が明らかになる二ヶ月前ほどの出来事。


それはママの喫茶店でのことだった。


まるであの日 と同じように、


ママは夫の前で大きなため息をついた。




「どうしたん?でっかいため息やなぁ。」


「たけちゃん、あんな、


あんた車に乗ったまま担保に入れられるローンって知ってる?」


それは車に乗ったままドライブスルーのようにお手軽に借りられるローンなんだか、


ただ単に車を担保に入れるローンなんだか結局訳がわからなかった。


しかし、そんな話がママから出てくるなんておかしな話である。


彼女は免許を持っていないのだ。


もちろん車も所有していない。


不思議に思った夫がママに問い詰めてみると


それはママが仲良くしているケーキ屋のオーナーの話だった


そのケーキ屋には、アクア達もママに連れられて何度か行った事がある。


その時ママが涙目で


「(亡くなった)末娘がここでアルバイトしてん。


中学生やったけど昔からの付き合いやったから…」


と話していたのを覚えている。


その分思い入れも強いのだろう。




オーナーは高級外車に乗っていた。


今回はその車を担保に入れる話だという。


どうしても100万円必要だというのだ。


しかしママはこの件に反対だった。




「大体、そんなローン会社の名前聞いたことないねん。


高額な金利取られて絶対車まで取られると思うねん。」


ママは熱く語った。


夫もそんな会社名は聞いたことがなかったらしく、ママの言うことに賛成だったようだ。



「ありがとうたけちゃん、話聞いてくれて。」


その話はその日一旦終了した。




そして数日後、又喫茶店でのことだった。




「こないだの(ケーキ屋)の話やねんけどな、


やっぱりどうしてもお金がいるっていうねん。


それでな、私どうにかしたろうと思って。


ちょっとしたアテがあるからな、


それまで暫く待ってっていってんけどな、どうも急ぎらしいわ。」



「そうなん?」



「それでな、たけちゃん。ほんまに悪いねんけどそのお金どうにかならへんかな?


もちろんそれは私が責任もって払う。


信用して欲しいねん。」




さすがに金額が金額である。


アクアのように二つ返事とは行かなかった。


実際その時にケーキ屋のオーナーに頭を下げられたわけでもない。


了承しないのが普通だろう。



しかし当時会社の通帳には余裕があった。


ママもなんらかのアテがあるといってる。


そして何より夫の金銭感覚に狂いがあったのだ。


バカラに犯されて緩みきった金銭感覚。


それが決め手となったのだろう。


ママに押されて夫は次の日100万円を用意したのだ。






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テーマ:借金
2006-11-10 10:12:10

明らかになる事実

こうして記事を書きながら


『あーあの時は貸してあげられる立場だったんだな~。』


なんて漠然と考えてしまった。


そう考えれば今の生活はわびしいものである。


会社に履いていくパンストがなくて何度素足で出社したことか…


(ちなみにうちの会社は制服である)


携帯代も早く払わないと止められちゃうよなぁ。


国保も払ってないから新しい保険証もらわれへんし。


あーーーーーーーーーーーーー


普通の生活に戻りたい…


大体裏金捨てるならうちの玄関にこっそり捨てて欲しい。


上手に処理してあげるのに (*´艸`*)


以上、愚痴終了。



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ママがあの日アクアを呼び出したのも、計算だったのだろうか?


アクアから金を引き出すタイミングを見計らっていたのだろうか?


いつから?


いつからママはアクアのことをそんな眼で見ていたのだろう?


よからぬ考えばかりが思考回路を支配していく。


思いがけない夫の言葉を聞いて、アクアはパニック寸前だった。



それでも、やはりどこかでママのことを信用せずにいられなかった。


アクアがつらい時あんなに必死になって夫と向き合ってくれたのは


他でもないママだったのだ。


それさえも偽りだというなら


何を信じて生きていけばいいのかわからなくなってしまう。



『とにかくママは困っていたんだ。


プライドか高い彼女はきっと自分が窮地に立たされているなんて言えなかった、


そうに違いない。』



アクアはそう思うことで自分を保とうとした。





ママはプライドの高い人間だった。


見栄っ張りといったほうがいいかもしれない。


"行きつけの○○に行けば自分はVIP待遇を受ける"


なんてことをよく話していた。


その分金遣いの荒さも目に付いた。


ママがそこまで困っていると思えなかったのも、


そんな彼女の一面を見てきたからだろう。




「とうとうお前まで行ったか。」



この言葉は後の流れを簡単に連想させた。


大体誰が考えてもわかる話である。


お金を借りるならアクアより夫のほうが用立てられるのだから。


アクアは何とか思考回路の暴走を落着かせ話を続けた。



「たけし君も貸したんや。」


「うん。」


「いくら貸したん?」


「お前はいくら貸してん?」


「10万」


「そっか…それだけでまだよかったわ。」


「そんな沢山貸してるの?」


「沢山って訳ではないけど…」




「100万と100万」




「200万って事?」


「うん。」


「何で言ってくれへんかったんよ。」


「言ってもしゃーないやん、


ママのプライベートなことやし、


お前も心配事が増えるだけやろ?


まさかアクアにまで借りるなんて思わんかったもん。」



確かに夫の言うとおりだ。


バカラのことだけでもいっぱいになっているのに


その上ママへの貸付話を聞いたところで何も良いことはない。


『アクアにまで借りることなんてないと思ってた。』


これもそう考える方が正しいだろう。


しかし事は起こってしまったのだ。


こうなった今、



事の経緯を整理することが大切だろう。



そう思った。



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