手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
密偵/秋山 香乃
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さんざん迷った挙句、「ミステリ」ということにしてみました。

……時は明治19年。孝明天皇毒殺疑惑を裏付ける証拠が実在した!? 鍵を握る人物は北海道の監獄にいるという。政府の密偵・桐生征二は囚人に身をやつして監獄に潜入するが、そこは重罪犯と思想犯ばかりが送り込まれる場所だった……!

という話なんですが、いかがでしょう。「時代小説」であることには間違いがないのですが、普通に「時代小説」と言われてぱっと連想するたぐいの作品ではないですよね。

スパイアクションの形を借りて、明治期の社会の雰囲気や自由民権運動の興隆と挫折を描き出そうとしたとか、監獄の非人間的な有様に焦点を当てたとか、そういうことのほうが主目的の作品だというようにも思われません。あくまでも、スパイアクションそれ自体が主眼。

同じように明治を舞台にしてはいても、たとえば「新・御宿かわせみ」シリーズ愛読者の口に合うかどうかといえば、ちょっと疑問です。

主人公達が追いかける謎の核となるのが孝明天皇毒殺疑惑だから、この時代設定になっているだけ。極端なことを言えば、そういう作品です。「この時代が舞台であること」と「二転三転するスパイアクションであること」、どちらにより意味があるかといえば、後者のほう。そう私には感じられたので、「時代小説」ではなく「ミステリ」に分類してみます。

いやしかし、一読者の分際で偉そうなことを言ってしまいますけれども、秋山香乃はやっぱりこういう路線ですよ!

「漢方医有安」シリーズとか「からくり文佐」シリーズとか、江戸の市井の人々を主人公に据えた作品、それこそ所謂普通の「時代小説」も最近では手がけるようになっていて、これらも充分に面白いんです。

でも、私の非常に自分勝手な印象を言えば。

秋山香乃が、わざわざ人情ものを書かなくてもいいのになあ。

だって、もう、溢れてるんだもん、そういう小説は山のように。

それよりも、秋山香乃が書かなかったら他には誰も書かないような、そんな小説があるんじゃないだろうか……。

と思っていたところへこの『密偵』!

脱走も不可能な山奥の監獄で、政府の諜報部員と反政府組織の活動家が虚々実々の駆け引きを繰り広げ、入り乱れる男達の野心に思惑、アクションシーンもたっぷりあります。

うんうん。やっぱりねえ、秋山香乃には「これぞ男の世界!」という作品のほうが似合うと勝手に断定させて頂きます(女性作家ですが)。


というところまでが、一般論としての感想並びに紹介です。

実はこの作品、これ自体の評価とは全然無関係な部分ながら、前からの読者にとっては嬉しくてたまらなくなることがありまして。

主人公・桐生征二はヒラの密偵です。従って、彼に任務の指示や命令を出す直属の上司という人も、重要キャラクターとして登場してくる訳なのですが。

その名が藤田五郎警部。そう、斎藤一です!

「あの」斎藤に「あの」キャラクターのままで年を取らせるという離れ業を、作者は見事にやってのけてみせてくれました。

秋山作品の新選組が好きな人にとっては、後日談としての懐かしさも味わえる作品になってるんですよ。そういう意味でもおすすめです。

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