手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


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一番最初にキャスト発表を聞いた時には、「ちょっと美男子過ぎるのだけは玉に瑕」と思った主演俳優でありましたが。

確かに福山雅治自身が二枚目であるのは事実なんですけれども、テレビ画面で彼を見ている人間の目に格好良く・きりっと・締まって・美しく・凛として見えるについては、演じている役の印象というものも多分にあった訳なんですよね。

このドラマの龍馬を、スタッフは格好いい男に描こうなどとは微塵も思っていない(何だ龍馬なんか格好良過ぎるじゃないかと反発を感じていた三谷幸喜でさえ、気がついたら「新選組!」の龍馬をそりゃもう飄々として格好いい男に描いてしまっていた訳ですが)。しかもドラマはまだ序盤で、この段階での龍馬はまだ何事を為そうという決意すらできておらず、全くもうただの頼りない青年その1、でしかありません。

見事に、バカっぽく茫洋として見えるんですよ、龍馬の顔が。

龍馬というのはめっぽう女性にモテたとのことですが、そりゃあこんな二枚目ならそうでしょうよ、とは思わないんですよね。

加尾も佐那もこんな天然バカに惚れるとは物好きな、ひょっとして「バカな子ほど可愛い」ということかな? なんて思えてくる。

いやあ、いいです、福山龍馬。しかも体格はがっちりしているし。

スタッフの慧眼、お見それいたしました。


ところで今回は吉田松陰のアメリカ密航失敗が描かれた訳ですが。

幕末ものはほとんど同時期のことを繰り返しドラマにしていることになる、と前回書きましたが、最近の幕末もの、「新選組!」でも「篤姫」でも吉田松陰への言及はなかったということに、今さらながら気がつきました。

松陰って、確かに端役では出演させにくいところがあるんですよねえ。若い頃には全国を歩き回っていた人ですが、いよいよ時代が「動乱の幕末!」という雰囲気になってきたところで、国許で牢屋に入ってたり自宅軟禁のような状態だったり、ということになってしまうので。

そういう状態になる直前、今まさに密航を実行しようとしているところに龍馬を立ち会わせる、という形でしか、登場のさせようはなかったでしょうね。

『風雲児たち』愛読者としては、そうそう!とほくそ笑みたくなってしまう、見事なまでに情熱的で行動的で楽天的で理想家肌で、そして暑苦しく傍迷惑な松陰先生でした(爆)。

その訳の判らないエネルギーにあてられ、かつまた「自分はこれをするんだ!」と迷わない姿が羨ましくて、ついて行きたくなってしまった龍馬。しかし松陰先生、バカだけど(爆)ただのバカとは訳が違う。今会ったばかりのこの青年が、自分の迷いや悩みの手っ取り早い解決を外部に求めているだけだということをすぐに見てとります。

続く鉄拳制裁と説教の場面、『風雲児たち』の桂小五郎と松陰初対面のくだりを思わせました。相手が誰でも、いついかなる場面でも、真正面から正論と理想をぶつけてくる松陰の迫力に、はっと目を開かされる青年達。……その中の1人に、実は龍馬も混じっていたということでいいじゃないかと思わされました、確かに。


と思えば、目を開き損ねた人もいる訳で……。

武市半平太と吉田東洋の対面は、残念ながら、これ以上ないほどの最悪な物別れに終わってしまいました。

いかめしく威圧感のある風貌から受ける印象とはいささか異なって、東洋は実はかなり柔軟で開明的な視点を持った人物です。

尊皇攘夷思想に終始する半平太の意見書を、主張の内容はともかく、藩主への忠誠心は本物だというところをよしとする。肝心の殿様は、下士から忠義を尽くされたところで歯牙にもかけてはいないのですが。

そうして殿様が放り捨てた意見書の主である半平太を、思想的には自分とは違うと承知した上で、それでもわざわざ呼び出して会ってみようとしたのは何故だったか。

述べている主張は生硬な攘夷論でも、この書き手は決して愚か者ではない。人並み以上に聡明で知性のある男だ──そう見込んだからに他ならなかったでしょう。

今は観念的な攘夷論に凝り固まってはいても、それは江戸から遠いこの土佐にいて、現実に疎いというだけのこと。アメリカと日本、彼我の差を正確に認識することさえできれば、きっと攘夷論の不毛さに気づく筈──。

しかし、半平太の頑固さは東洋の想像以上でした。

唐突ですが、田辺聖子さんの初期作品「感傷旅行」に戯画化された共産主義者の青年(つまり、思想に生きる人)が出てきます。彼は何かというと「~するべき」と言うのですが、それは単に口癖というんじゃないんですね。作者は彼の言う「べき」にわざわざ傍点を振って、その頭でっかちを強調しています。

東洋からアメリカの圧倒的な文明の力を指摘されても、それが現実だということを認められない半平太は、傍点つきの「べき」でものを喋っているようでした。

期待していた分だけ、東洋の失望は大きい。相手がこうも頑なな観念論者では、何を言っても平行線、噛み合わないままになるのは目に見えています。早々に対面を打ち切ろうとしますが、半平太にはその理由すら正しく理解することができません。

自分と東洋の、主張の中身が、抱いている思想が、相容れないのだということが彼には判らない。

上士であり藩の重役である東洋が、下士である自分を見下しているから。そのせいだとしか思えない。

間違った思い込みの結果による屈辱と憤怒を噛み締めた半平太の、眼差しの暗さが胸に残りました。第1回の時は、まだこんな風ではなかったのに。この男は一体どうして、こんな暗い目をするようになってしまったのか……。

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