手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
新選組 幕末の青嵐 (集英社文庫)/木内 昇
¥860
Amazon.co.jp

文庫になってくれたので、やっと読めました。

新刊で出た時から知ってはいたんです、幕末ファンのブログ等で。しかし、①単行本だ(高い、場所をとる) ②書店で発見できなかった の理由により購入を躊躇しておりました。興味のわいた本を何でもかんでもアマゾンも駆使して買っていたら、もう収拾のつかないことになっちゃうので(汗)。

で、今頃になって初めて手にとってみた訳ですが。

……うーん、待たされた分、正直、期待が大きくなり過ぎちゃってたのかな、という感じです。

これは作者の第1作だそうです。若書きの部分があるのは仕方のないこと。中堅・ベテラン作家の円熟の筆致と比べるほうが間違っています。

と、重々承知してはいるのですが……個人的に「時代もので遭遇したくない言葉ワースト3」が全部出てきてしまったりすると、作品世界に入り込むのは非常に難しくなってしまうんですよねえ。「面子」「牛耳る」「立ち上げる」……3番目は大まけにまけて地の文だからと思うにしても、最初の2つは会話の中で出てきてしまってました。

ストーリーは、試衛館に集った若者達が、浪士組に応募して京都へ向かい、やがて新選組となってゆく経緯を時系列に沿って描いており、特にオリジナルの設定が付け加えてある訳でもありません。オーソドックスといえばこれ以上ないくらいオーソドックスな新選組小説なのですが、独特なのが、叙述の仕方です。短い章ごとに視点となる人物がかわるんですね。

なのでたとえば同じ近藤勇でも、佐藤彦五郎の目に映る姿と土方歳三が見る姿では微妙に印象が異なる。京都は風景までもが洗練されているという山南敬助の感じ方は、土方歳三にしてみれば愚の骨頂ですし、江戸が大好きな永倉新八は京都にはどうしても心底からは馴染めないでいます。

という群像劇の面白さは確かにあるのですが、狙いを活かしきれていないような気がしました。

章がかわって視点人物が交代しても、「お話かわって」感があまりない。

どうしてなのかと考えてみましたが、文章が全体に説明っぽいからではないかと思うんですね。

これは秋山香乃『歳三往きてまた』の時にも感じたことですが、やはり第1作というのは気負うものなのか、あれもこれも全部書こうとしてしまってる気がするんです。この当時の幕末史の流れ、特筆すべき事件・出来事は、全て網羅していなければいけない。特に知識のない人がこの小説だけ読んだのであっても、何が起こったかを全て把握できるようでなければならないと、そんな意気込みでもって書かれたかのよう。

そうやって事件・出来事を詰め込み過ぎたのに引きずられてしまったのか、人物の心情や感情の描写まで、「説明」になっちゃってるところが多々あるんですよね……「誰々はこういう人間であり、このことについてはこのように考えている。」式の文章が珍しくない。

全体に、余情、余韻というものがあまり感じられない文章になってしまっているんです。1しか言わないことでかえって10も20ものことを読み取らせる、というのがない。

すると題材がなまじ新選組であるだけに、どうしても司馬遼太郎や中村彰彦や池波正太郎や、そうそうたる顔ぶれの作品と比べてしまうんです。史料で調べたこと全てを詰め込もうとはせず、文章にも余白の美というものがあるのだと感じさせてくれる作家達と。

とまあ、身の程知らずにも言いたい放題言ってしまいましたが(汗)、決して、つまらない作品ではないんです。他の作品も読んでみたいなと思わせる、感じのいい書き手です。

ただ、紹介文にあった「新選組小説の最高傑作」というのは、これは誇大広告が過ぎるなあ、と……。

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