手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


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月曜日の朝日新聞朝刊には、その週発売の「週刊朝日」の小さな予告が載っています。主な記事のタイトルが5、6個、短く並んでいるだけの簡単なものですが、今朝見た今週の予告の中には、こんなのがありました。

「龍馬伝に三菱ブーイング」

記事の内容を読まなくても、あらかた想像がつくような気がしますね(苦笑)。

三菱の創始者である岩崎弥太郎。このドラマでの、彼の描かれ方が気に入らないというのでしょう。

貧困と低い身分に負けまいと片意地を張り、ろくでなしの父親に絶望し、自分ほど頭のよい人間はいないと公言し……そんな自分とは正反対に、裕福な家に生まれて家族の庇護のもと何不自由なく育った龍馬が、憎たらしくてたまらない。

確かに、ここまでの弥太郎は、どう贔屓目に見ても人好きのする人物とは言い難い存在です。

主人公である龍馬の引き立て役として、殊更に卑小な人物として描かれているのではないかと、彼に肩入れする立場の人から見れば、そうも思われてしまうのかもしれません。

しかし、弥太郎の偏屈や刺々しさは、本当に、彼個人の人間性だけに帰することでしょうか。

低い身分の貧家に生まれたことも、父親が甲斐性なしであることも、弥太郎自身には何の責任もありません。

自分ではどうしようもない悪条件のもとに最初から置かれた状態で人生をスタートさせなければならなかった者が、その辛苦に押し潰されることなく生き抜こうと決意したら、これはどうしたって、いささか圭角の多い人間になるのはやむを得ないことでしょう。

自分の足を引っ張る全てのものを乗り越えて、やがて弥太郎は成功者となっていくのです。これは賞賛されることでこそあれ、恥ずかしいことなど何もない。

そして、そんな彼だからこそ、いや、彼でなければならなかった、このドラマでの重要な役割があります。

龍馬の、批判者であること。

通行手形を偽造するという大それたことをしてまで、江戸へ剣術修行に出る龍馬を追おうとした弥太郎。自分のほうが出来のいい人間だと思っているのに、ただ生まれ合わせの違いだけで、どんどん龍馬と差がついていくようなのが我慢できないのです。

しかし手形の偽造が発覚すればただではすまない。何とか思いとどまらせようと、龍馬は弥太郎と胸襟を開いて話し合おうとするのですが……貧富の差はあっても、将来が見えないのは2人とも同じだと言う龍馬に、弥太郎はすぐさま返します。おまえは飢えたことがあるか、と。

今日食べる食物が本当に何もないという経験。極度の空腹で動くこともできないという経験。明日の朝目覚めたら、家族の誰かが息を引き取っているのではないかという恐怖感の記憶。

どれも、龍馬には想像もつかないこと。自分達は同じなどではない、という弥太郎の激しい反発に、龍馬はそれ以上言う言葉を知りません。

おおらかさ、明るさ、人懐っこさ……龍馬の長所のうち一体どれだけが、環境の影響を受けていない彼個人の、本当の生来のものでしょうか。物質的にも愛情の上でも、全てにおいて恵まれた家庭に生まれたという運の良さが、真っ直ぐに生い立つことを可能にしただけ。そうではないと、本当に言い切ることができるのか。

光に影が添うように、この先ずっと弥太郎は龍馬の行動を、決して崇拝者にはなることのない眼差しで見続けていくのでしょう。そして、光がなければ影はなく、影のない光もないように、2人ともが互いに相手の存在によって、より陰影の濃い人間としてこのドラマの中で「生きる」ことになるのだと思います。

それは、関係者の誰も怒らせることのない単純な偉人伝などよりも、対象に対して実は遥かに深い興味と敬意を持っていなければ、できないことなのではないでしょうか?

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