手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


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幽談 (幽BOOKS)/京極夏彦
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夏といえば。

怖い話、ですね。

という訳で、とても季節感たっぷりに、京極夏彦最新刊です。

今回は、京極堂シリーズでも巷説百物語シリーズでも多々良先生シリーズでもありません。妖怪は出てこず、作中時間は現代で、そして、怖い話です。

これまでの京極作品で、怖い話、というのはひとつもなかったと思うんですよ。確かに、猟奇な連続殺人事件が起こったり、登場人物があわや自我の崩壊寸前にまで追い詰められたり、悲劇も惨劇も色々とありましたが、でもそれは、驚くべき話、とか、手に汗握る話、とかいうものだったと思うのです。読み進むにつれ、はらはら、どきどきし、あっと驚かされたことは幾度か。けれども、読んでいて怖い、ということはなかった。

しかし、今度の短編集は……怖いんです。

殺人鬼に襲われるとか、死を呼ぶビデオを見てしまうとか、そこから貞子が出てくるとか、そんなようなことは一切起こりません。身の危険系の恐怖でも、幽霊・祟り系の恐怖でもないんです。これは、ホラーではありません。

それなら、初出の雑誌「幽」が怪談専門誌と銘打っているように、これらの短編も怪談といえばいいのかというと……確かに、それぞれの話の主人公達は、もう死んだ人の姿を見たり、得体の知れないものに遭遇してしまったりしているのですけれども、どうも、だから怪談だと言い切るのも据わりが悪いんですよね。

名前のつけられない、うまくジャンル分けのできない話だという気がします。

そして、それ故にこそ、怖い。

きゃあっと悲鳴をあげてしまうような恐怖ではなく、静かだけれど何だかどうにも落ち着かない、背筋がふっと寒くなる、足もとがおぼつかなくなる、というような。


 厭だでも嫌いだでも哀しいでも怪しいでも不思議でも痛いでも苦しいでも変だでも妙だでも凄いでも驚いたでも訝しいでも畏まるでも虞れ多いでもない怖いものです。


真の恐怖とは何かを追い求める男を描いた「こわいもの」の一節です。

世の中には、怖い本も怖い映画も山のようにありますが、その内容をよく見てみるというと、「厭だ」や「痛い」や「驚いた」止まりであるものが案外多いのではないでしょうか。

そういう安易な凡百の作物に対して、京極さんが静かに異議申し立てをしていると、これを読んだ時に感じました。

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