手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
港町食堂 (新潮文庫 お 72-1)/奥田 英朗
¥460
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この人の『野球の国』が滅法面白かったのですが、書店の平積み台で見つけたこの本も、どうやら似た傾向のエッセイ集のよう。という訳ですぐさま購入決定と相成ったのですが、 期待に違わぬ楽しさでした。

「旅に憧れつつ、あれこれ理屈をつけ、行動しない」「誘われれば、不承不承というポーズをとり、嬉々としてついて行く」へそ曲がり、であるという奥田さん。そんな彼が雑誌「旅」から引き受け(させられ)た、船で港に入ってその港町のおいしいものを食べる紀行文です。

この手の「編集部の立てた企画で作家が動く」式のエッセイって、上手い作家が書くと非常に面白くてなかなか好きです。佐藤愛子とか椎名誠とかね。この本の場合、よそへ出かけて食べまくる、という点では田辺聖子『ヨーロッパ横丁たべあるき』の世界に近いでしょうか。

もっとも、読後感はこちらのほうがはるかに強烈です。というのはですね、奥田さんの食べる量が半端じゃないんですよ!

たとえば五島列島ではこんな感じです。初日の夕食、ハコフグの味噌焼き、刺身盛り合わせ、牛のソテー(プラス板さんのサービスでタンの味噌漬け)、てんぷらなど。2日目の昼食、ウニ丼の「倍盛り」。夜は野生の猪のぼたん鍋で、汁がおいしかったからと雑炊も作り、編集者・カメラマンと男3人で完食。

毎回せいぜい2泊3日くらいのものなのに、帰ってみたら2キロ体重が増えていた、というような食べっぷり。名のある料理店ではなく、その辺のドライブインや食堂に入った時でも同じです。カツカレーだのエビフライだの、ボリュームのあるものばかりまあ食べる食べる!

ローマやヴェネチアやパリでのお聖さん一行も随分と大食らいではあるのですが、外国の店で外国の料理を食べてるから、どんなに詳しく描写されていても、生々しさはそう感じないんですね。ところが奥田さんの行き先は高知に仙台に礼文島、食べるのは寿司に刺身にホッケのちゃんちゃん焼きといった按配で、全部、読んでる当方に味と食感の見当のつくものばかり。奥田さんが満腹になるにつれて、こちらまで胸焼けしそうになってきます(汗)。注意! この本、くれぐれも満腹時に読んではいけません(笑)。

と、まず食べることについてばっかり強調してしまいましたが、勿論、それだけが書いてある訳ではなくて。

『野球の国』でもそうでしたが、奥田さんの「旅行者としての目」が何ともいいのです。

初めて訪れた町の景色に目を輝かせ、地元の人々を眺めながら、あり得たかもしれない別の人生をふと想像してみたりする。持ってきた本、旅先で買った本を宿で読みながら、「わたしも小説を書かないとなあ。みんなを唸らせる長編小説を」なんて思ったりする。

ナチュラルハイ、それと同時に所在無い。そんな、「休みの日の気分」が充溢している1冊です。

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