手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
大盗禅師 (文春文庫)/司馬 遼太郎
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望外の喜びです。今頃こんなものに出会えるとは!

司馬遼太郎の長編です!!

全集未収録とのことですが、単行本や文庫本も殆ど出回っていない作品のような気がするのですけれども、どうでしょう? 今回書店で見かけるまで、この題名自体知りませんでした。

いずれにせよ、何かの理由で作者自身から「ボツ」を食らったに等しい小説、ということになる訳なんですが。ではこれは失敗作?

素人の感想ですが、そうは思いませんでした。初期の密教幻術ものや戦国ものが好きな方、これはおっもしろいですよ! 何と司馬さん、由比正雪の乱と国姓爺合戦をドッキングさせるという力業をやってくれちゃってます。愉快痛快、奇想天外な娯楽大長編ですよ。司馬さんといえば一つ覚えで『坂の上の雲』、「司馬史観」だ国民的作家だという人が読んだら、たぶん目が点になるような気がしますけれども(笑)。

しかしどっちも司馬遼太郎なんです。これと『坂の上の雲』と、何とほぼ同時期に執筆していたというんですね。

片や、近代の実在の人物が主人公で、緻密に厳密に史料を駆使した端整な寄木細工のような「歴史小説」。

片や、舞台は300年の昔、史実と空想ないまぜの、何でもありのびっくり箱のような「娯楽読み物」。

こんな2つを同時進行させて、どちらがどちらに引きずられることもないなんてねえ……一体どうやって頭を切り替えていたんでしょう?

この小説の面白いところは、主人公らしい主人公がいないところです。冒頭から登場する青年・仙八がそうかと、最初は思わされるんですよね。彼は江戸初期の剣客で、晩年に独自の兵法を創始して、などという説明がなされているのを読むと、ははあこれは彼の一代記というような体裁になっているのかな、と。

しかし読み進むうちに由比正雪が登場し、彼と仙八が京から江戸へ向けて旅立つ辺りで、仙八は「この物語にとっては副主人公」と記されています。おや、それじゃあ正雪が主役なのか、と思って読んでいくと、100%そうだという感じでもない。仙八が単独で活躍するシーンも結構多いんです。

仙八の運命を動かす怪僧・大濤禅師も、1巻の物語の中で何度も印象が変わります。人心を操り外法をよくする正体不明の危険人物、かと思いきや、ただの誇大妄想狂でしかないようにも見えてくる。

仙八も正雪も禅師も、皆「小さい」人間なんですね。作者の掌の中で、物語のために動かされ、転がされています。これは長編ですが、司馬さんの代表作とされるような長編作品の数々とは、ここが決定的に違っているような気がします。主人公に据えたキャラクターに対する作者の目線は、同じ司馬作品でも、短編でのそれに近いんじゃないでしょうか。

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