手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


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先日放送の土曜ワイド劇場原作です。

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ということをしていることからもお判りのように、不肖私、本作品を声を大にしてお薦めさせて頂きます! 名作ですよー、いや、そんなんじゃ言い足りないな。傑作です。これをドラマにしようと思いついたプロデューサーは目が高い。

と言っておいて何ですが、正直ドラマの出来ばえについては観る前から思いっきり悲観的でした。

新聞のテレビ欄の紹介文が、こんな風に始まっていたからです。


 フリーの記者、伊津子(浅野ゆう子)は商事会社社長、北岡(西岡徳馬)と不倫関係にあった。


あらら……また随分と設定を変えてしまってるんだ……。
小説では、北岡早馬は人気俳優、伊津子は映画会社の電話交換手です。作中で2人の年齢は明示されませんが(泡坂作品の特徴ですね)、登場人物の会話から、やや年齢差のあるカップルであること、しかし早馬は中年とはいってもまだ充分に若々しいこと、ということは伊津子はかなり若い娘であること、などが段々に判ってきます。
小説の冒頭、2人の結婚式の時点で、早馬は主演映画「花嫁の叫び」がクランクアップしたところ。脚本を書いたのは元スタントマンで北岡家の居候・大輪田山遊。早馬の役は、自分を熱愛している女を殺そうとしている男です。
という登場人物の設定が実は、小説の中で起こる殺人事件にも密接に関係があるという作品なんですよね。それを変えてしまったら、ドラマの味わいがだいぶん薄くなってしまうんじゃないのかなあ……。
残念ながら、危惧的中でした。
原作の匂いをなるべく残そうとしていたのは見て取れました。ドラマの山遊は売れない純文学作家で、新機軸としてサスペンス小説「花嫁の叫び」を執筆中。原作に出てくる映画の台詞が、小説の一節としてドラマの中にも出てきます。
でもね、意味ないんですよ、それじゃ。


 ──花嫁にとって、夫の家はお化け屋敷だ。いつどこで、何が飛び出して来るか判らない。花嫁は絶えずおののきながら暮してゆかなければならないんだ。


この言葉は確かに、早馬の亡き先妻・貴緒の記憶と戦わなければならない伊津子の立場に当てはまるものであるのですが、ただそれだけのものではありません。この小説の「ミステリとしての部分」にもかかってくる言葉です。そしてそれは、これが映画の台詞として書かれたということになっているからこそ、成立しているんですよ。
その部分の設定をなくしてしまって、言葉だけをドラマの中に入れてもね……ただ思わせぶりなだけ。ドラマの設定でなら、わざわざ入れる必要のない言葉でした。
こんな中途半端さが、あちこちに見られました。三栗達樹と貴緒の、作詞家・作曲家という立場を入れ替えた理由も判らないし、2人が作った曲のタイトルだけをドラマの中に出したのもこれまた無意味です。歌詞にミステリがあったんですから。
小説を知らずにドラマだけを観たとしたら、いかにも2時間サスペンス、いかにも土曜ワイド劇場なメロドラマでしかないでしょうね。それが泡坂ファンとしては何とも歯がゆい!
角川文庫版の解説で日下三蔵氏が書いている通り、「細かいトリックを縦横無尽に組み合わせることによって、一つの大きなトリックが支えられている」「希代の職人作家が、技巧の限りを尽くして創りあげたロマンチックかつトリッキーな本格ミステリの逸品」なんです。
繰り返しますが、この小説に目をつけた番組プロデューサー氏は本当に目が高い。でもわざわざこれを取り上げるなら、このままの設定、このままの構成でつくってくれていたら、どんなにか……。

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