手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
鞍馬天狗〈1〉角兵衛獅子 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)/大仏 次郎
¥670
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この間までやってたNHK木曜時代劇「鞍馬天狗」、最終回には「完」のクレジットが出ましたが、そう言わず是非とも第2弾をお願いしたいものです。原作はまだまだまだまだ残っているようですし、シリーズ化してほしいなあ。

敢えて隙だらけツッコミどころ満載の明るく楽しい時代劇を作れるのは、他局に真似のできないNHKの強みですねえ。たとえていうなら京極夏彦が「どすこい」シリーズを書くようなものです(笑)。「慶次郎縁側日記」や「風の果て」や大河ドラマを作れる人達が、余裕を持ってしかし手は抜かずに全力で遊ぶ、そんな粋なドラマでした。

と、思いっきり楽しんで全8回を観た私ですが、原作小説及び嵐寛寿郎の映画については、これっぽっちの予備知識もありませんでした。

鞍馬天狗、とはどういうものか、というイメージはあるんです。しかし正確なところは全く知らない。

白紙のまま観た今回のドラマは想像以上の面白さで、これは小説のほうも読みたくなってきたなあ、と思い始めたところへ何というタイミングのよさ。最寄の書店がこの文庫を、平積み台に並べていてくれたのでした……もっとも、明らかにドラマ開始に合わせて増刷され新しい帯をかけてるんですよね、この本。何で放送前に入荷しないのかなあ(苦笑)。

というようなことはさておき、読んでみたらば。

事前の漠然としたイメージが、色々と修正されることになりました。


「その1 野村萬斎の容貌風采・雰囲気は小説の描写に非常に近い」

映画を観たことはないと言いましたが、鞍馬天狗に扮した嵐寛寿郎の写真なら雑誌などで見かけたことがあります。木曜時代劇の主演が野村萬斎だと聞いた時、いかにも颯爽としていてよさそうだなあ、でもアラカンとはかなり違うな、などという印象を持ったのですが。

小説を読んでみるというと、こうです。西郷吉之助が鞍馬天狗の人物評をするくだり。


胸にたたえられておる大理想の火が、寸時もやすむことなく外に迸り出て、どちらかといえばあの鋭い剣に似つかぬ華奢な肉体を鞭打ち、人間とは思われぬ働きをさせている。


どちらかといえば華奢……決して偉丈夫ではないんですね。細身なんだ。
で、本人の性格はといえば、別人になりすまして大坂城代に会おうとしながら、こんなことを考えている訳で。


(うむ、尋常に帰るのも面白くない。ひとつ悪戯して城代の荒肝をひしいでやるかな。何がよかろう?)

 大胆にも、こんなことまで考えているのです。

(一緒に宇治まで行くとして、途中で溝へでも投げ込んでやるか。それとも、すこし気の毒だが髷をちょん切って坊主にしてやるかな。そうなったら、みっともなくて、のめのめと役を勤めているわけには行くまい)

 と、庭の泉水に光をあびてたわむれている雀たちの可憐な姿を眺めているうちにも、この男の快活な気性にふさわしい陽気な空想が次々に湧いて来ます。


いや、これは「快活」「陽気」っていうのとはちょっと違う気が(汗)。

萬斎さん、つくづくはまり役だったんだということがよく判りました(笑)。


「その2 鞍馬天狗はいつもいつも頭巾をかぶっている訳ではないらしい」

確かに宋十郎頭巾をかぶって出てくる場面が多いですが、登場してすぐそれを取ってしまうこともまた結構あるんです。

ラスト、近藤勇と立ち会う場面では、「夜風が近藤の袂にふれ、鞍馬天狗の鬢の毛に微かにふれる」とあるんですよね。ということは明らかに、ここでの彼は頭巾なしです。

原作では「かぶっていることがある」程度なのに、映像化の時点で「常にかぶっている」になってしまう……シャーロック・ホームズの鹿撃ち帽みたいなものでしょうか(笑)。


「その3 杉作は子供というより少年だった」

美空ひばりが演じたことがあったなんていうのを聞いていたせいもあって、よほど幼いという設定なんだろうとばかり思い込んでいました。女の子の顔立ちや声で男の子を演じて違和感がない年齢は限られていますよね。

ところが読んでみてびっくり。

「十三や十四の子供に、いまさら何が出来ましょうか」──ローティーン!?

数え年と考えて1、2歳引いてみても、10歳以上には確実になってる訳です。いやあ驚きました。まさかこんなに大きな子だったとは思いませんでした。

もっとも、この子の言動ってあんまり大きな子らしくないんですよね、すぐ泣くし……読んでいて頭に浮かぶイメージは、どうしてももっと小さな子になってしまいます(笑)。


というような小さな発見が多々あった結果、結論として、

「鞍馬天狗は面白い」

ということが判りました!

今回買った小学館文庫からは5冊出ているそうですが、他にもあるようなので、捜してみようと思います。

何しろこのシリーズ、客観的一般的に見て面白いという他に、個人的極私的に大き過ぎるポイントが1つありまして……近藤勇が格好いいんです!

ドラマを観て、緒形直人演ずる局長の渋さ凛々しさには大満足でしたが、小説もその通りでした。鞍馬天狗は勤王方で、新選組は敵役です。実際、「血に餓えた狼たち」だなんて書かれてます。

しかしそれを率いる近藤勇はといえば。


 元来近藤勇という人は主義の上から勤王党にとっては恐ろしい敵でしたが、気性は清潔な、心持の至って清い人物だったのです。


主義主張の上からは紛れもなく敵、しかし魂の奥底で通じ合う友でもある。主人公鞍馬天狗と最終的にはそんな間柄になる、それが近藤勇なんです。局長ファンは必読ですよこれは!

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