手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


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という訳で、初めて買いましたよ、「yom yom」。季刊の、文芸誌、ということになるんでしょうね。紙質も体裁もペーパーバックのようで、思いっ切りお買い得な価格になっておりますが。ちょっと厚い文庫本1冊くらいのお値段で、小説エッセイ各10本以上が読めます。しかも畠中恵だ恩田陸だと豪華な顔ぶれです。さすが「文芸出版の新潮社」!

といっても今回の私の購入目的は、ただ1編、小野不由美「十二国記」シリーズ新作「丕緒の鳥」だけなので、他の収録作品は全部取り敢えず後回しです。

読みました。

未読のシリーズ愛読者の方の目に触れても何なので、内容に細かく触れての感想は控えますが、簡単に。

メインストーリーが先へ進んでいるのか、という期待に関していうならば、残念ながら、「外れ」です。

でも。

「十二国記」を読んだ。面白い、良い小説を読んだ。読後にたっぷりとそんな満足感を味わえる、という意味では、「大当たり」!

更に、これはちょっと凄いことだと思うのですが、この作品、独立した短編としても成立しています。

「十二国記」という長大なシリーズを知らない、読んだことがないという人でも、この作品、読めますよ。冒頭ですぐに、古代中国風異世界ファンタジーであることが判ります。この世界の仕組みがどうなっているのか、無理なく理解することができます。そしてごく自然に、この世界で生まれて生きている・この世界しか知らない主人公と、全く同じ目線を共有することになっていきます。


 その山は天地を貫く一本の柱だった。限りなく垂直に近い角度で聳える峰は、穂先を上にして立てた筆のよう、その筆がぎっしりと束ねられて巨大な山塊を形作る。山頂は実際に雲を貫いていた。雲の下にも尖った峰が林立し、その穂先は小波を描きつつ急激に基底部に向かって落ち込んでいった。麓は広大な斜面だった。


これが冒頭部分です。

この描写、見事の一語に尽きますね。まるで実景を言葉にしたかのようです。挿絵は一切ないにもかかわらず、そして読者の日常生活とは全てがかけ離れた古代中国風の異世界が舞台であるにもかかわらず、全編、ありありと情景が目に浮かんでくるんです。

それは登場する人の心の動きについても同じ。

皆、確かに、生きています。固有の顔と、名前と、体温を持って。

最初にこの作品の情報を聞いた時、タイトルの意味を知りたくて簡単に調べてみたら、「丕緒」とは「国家の大業」というような意味でした。

それでどんな話だろうかと色々と想像していたのですが、実際に読んでみたらその想像は全部外れで(笑)、要するに作中における人名だったんですね。

しかし作者は勿論、熟語としての意味を承知した上で、これを人名として選んでいるのでしょう。

と考えると、かなり感慨深いものがあります。こういう人物の名前として、こういう意味を持つ語を選んだ、ということ。そこには作者の、ある「思い」というかある「意志」というか、が確かにあると感じられるのです。

しかし考えてみると、このシリーズで初出がこの雑誌、というのはちょっと面白い気がしますね。既刊は全て講談社から出ていますから。関連作品の『魔性の子』が新潮文庫から出てはいますが、何となく、講談社限定のように思っていました。

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