手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
巌本 善治, 勝部 真長
新訂 海舟座談 (岩波文庫)

特に何を買うという当てもなく新刊書店をぶらついていて、岩波文庫の棚の前で足が止まってしまいました。
『風雲児たち』ファンごころをくすぐる書名を、いくつも見つけてしまったのです……桂川甫周の手による大黒屋光太夫ロシア漂流聞き書き『北槎聞略』、福沢諭吉の口述による自伝『福翁自伝』、そして勝海舟晩年の談話『海舟座談』!
岩波文庫は1冊が決して安くはありません。さすがに一瞬迷いました……一瞬だけ。
とにかくはっきりしていたことがひとつ。今目にとまったこの時に買わなかったら、多分この先ずっと、これらの本とはご縁のないままで終わるに違いない!
という訳で、果たして全部読了するのはいつのことになるやら判りませんが(『北槎聞略』なんか文語体だし!)、買ってきました『風雲児たち』歴代レギュラーキャラ関連本(笑)。
まず『海舟座談』から読みましたが、前に読んだ『氷川清話』とは似ているけれども違いますね。
この本の原形は1899年(明治32年)の海舟の死の直後に出版された『海舟余波』で、聞き書きの筆録者巌本善治が編集していた雑誌「女学雑誌」連載の「海舟先生談話」を集めたものだそうです。
巌本という人は海舟に深く傾倒していた人で、巻頭にはまず「先生を失うの嘆き」という一文が置かれ、次いで晩年の海舟が自宅で訪問者に応対する様などを描写した「氷川のおとずれ」という短文があり、それから本文に入っていくのですが、これがちょっと変わっています。
時系列が逆になってるんですね。海舟が亡くなる5日前、巌本氏が最後に海舟に面会した日の会話が、まず最初に来てるんです。その後ずっと、明治32年1月から明治28年7月まで、逆にたどる形で談話が並べられているんですよ。こんな本、初めて見ました!
巌本氏に言わせると、最初の頃は自分の聞き書きも下手だったから、新しいものから順に読んで貰ったほうが読者が海舟の語り口に慣れるのにはいい、ということなんですが……うーん、しかしやっぱり読みにくいですよ、これは(苦笑)。
海舟が巌本氏や他の訪問者に向かって、この前のあれは、とか何とか言っていても、その「あれ」が何なのかが読者には判らないんですから。次のページに進んで(実際にはその数日前や数週間前の時点)やっと、何についての話だったのかが明らかになるというような按配。特に、刊行当時の読者にとっては説明するまでもない時事の話題であっても、100年以上後の読者にとっては何が何やら……。
ただ、この本の読みどころは、内容それ自体ではありませんね。海舟の言い回しの中から、彼の気質や心情が読み取れるような気がしてきます。
晩年の海舟の目に、維新後30余年を過ぎた明治の政界は、決して良いものとは映っていなかったようですね。自分と西郷隆盛と大久保利通とで何十年先のことまで考えてやってきたのに、西郷・大久保が死んだ後、伊藤博文なんかが勝手なことをして──そんな風に感じていたようです。
海舟の喋ったことの正確な速記ではなく、巌本氏の記憶による聞き書きとのことですが、人の呼び方などは海舟の口にしたままと見ていいでしょう。読み始めてまもなくあれっと思ったのが、最後の将軍徳川慶喜の呼び方でした。海舟にとっては旧主です。それが、「慶喜は」と呼び捨て(苦笑)。
京都守護職松平容保のことは「殿様は」と言ってるんですよ。なのに旧主に対しては、「慶喜などは、現に自筆で、書いてらあナ」となる訳で(爆)。
好悪の情とは取り敢えず関係なく立場は立場として、主筋の人にはとにかく敬語をつけて言う時代だった筈ですが、さすがは勝海舟というべきなのか何なのか(苦笑)。と思いながら読んでいったら、こんなくだりに出くわしました。


 維新の時だって、そう言ったのサ、「あなたの徳で、善い家来を持ったなどと思いなさるな」ッて。第一、御先祖様が、非常な方であるし、御先代様がお若かったが、大層善いお方で、よほど望みを属されていなすった。それがああいう事におなりなすった。私は、それで、コウいう御奉公をするのであります。あなたに御奉公するのじゃアありませんッテ。それは、ひどく言ったよ。


直参旗本が将軍に面と向かってこの台詞! ほんっとに嫌われてたんですね慶喜さん(汗)。

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