手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
五十嵐 貴久
相棒

この作者のものを読むのは2冊目です。
デビュー作の『リカ』を以前に読んでたんですが、ホラーサスペンス大賞受賞作というだけあって、もう半端じゃなく怖かった! それも「怪談」の怖さじゃない、現代の「ホラー」の怖さなんです。という訳で読了後の本は速やかにブックオフにお引き取り願い(笑)、その後はご縁のないまま現在に至っていたのですが。
新刊広告の宣伝文を見ておっと思い、行きつけブログさん複数で話題になってるのを見かけて更に興味を引かれ、買ってきましたよ、『相棒』。これはミステリ作品です。
といってもあの刑事ドラマのノベライズのほうではないので念のため。こちらは幕末の京都が舞台の時代劇ミステリです。誰と誰が「相棒」なのかというと、何と坂本龍馬と土方歳三! ねっ、この設定だけで、ミステリ好きの幕末好きとしては読まない訳にいかないじゃありませんか。
時は慶応3年10月。薩摩の西郷吉之助と秘密会談を行うために二条城を出た将軍徳川慶喜の駕籠が狙撃されるという事件が起きます。日を置かずして宣言される予定の大政奉還は、佐幕派倒幕派双方にとって受け入れ難いもの。将軍を脅して阻止しようとの企てか。一体犯人は何者なのか?
という訳で、老中板倉勝静と若年寄永井尚志の命により、土佐脱藩坂本龍馬と新選組副長土方歳三がコンビを組んで捜査に当たらされることになります。倒幕派に人脈があり、大政奉還の言い出しっぺである龍馬と、正式に京都の治安を与る立場であり、幕臣である土方さん。なるほど最適の組み合わせ……ではあるんですが、しかしこの2人、そもそも本来は追う者追われる者という関係にある訳で(苦笑)。


 何の因果でしょうな、と土方が皮肉な笑みを漏らした。
「我らが捜し続けていたお尋ね者と共に、上様を狙った不逞の輩を捜さねばならぬとは」
 端正な顔を歪めた。こっちもじゃ、と龍馬が呟いた。
「常ならば逃げまわらねばならぬ、鬼より怖い新選組副長と一緒では片時も安心できませぬ」


という立場の違いだけではなく、見た目も気質も水と油。美男子とあばた面、几帳面と超不潔。龍馬はいつも大所高所から物を見ている、といえば長所になりますが、大所高所から「しか」見ないので、身近な者は振り回されっ放し。一方の土方副長は、敢えて目前のことにのみ思考を集中させ、その他のことは頭の中から切り捨てています。2人とも、実務能力に長け勘が鋭く度胸もある、というところはよく似ているのですが……。
という流れを見ていくと、この紛らわしいタイトルも納得です。実際、あのドラマと同じ発想ですよね。本来ならば相容れない筈の2人がコンビを組む。
更に読み進んでいくと、また別の刑事ドラマも連想されてきます。今や時勢は激動しているというのに、相も変わらず旧態依然の幕府官僚機構。僅か2日間で犯人を見つけ出せと無茶苦茶な要求をしておきながら、1日に何回も呼びつけては途中経過を報告させ、貴重な時間をみすみす空費させた挙句に、犯人逮捕はまだかとせっつく身勝手さ。事件は二条城で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!(爆)
装丁が、刀のイラストをあしらってはいても時代小説らしからぬものになっていることからも見てとれますが、この小説、「幕末もの」ではなく「ミステリ」です。冒頭で事件が起こり、探偵役が関係者の間を次々に聞き込みに回り、クライマックスで二転三転。そしてエピローグ。今時却って珍しいくらいのオーソドックスな構成のミステリですね。なので、お薦めしたいのはむしろ、クリスティーやクイーンなど海外古典ミステリファンに。ポアロものなんかがお好きな方だったら、非常に楽しめると思います。
と言うと、幕末ファンにはつまらないのかと思われるかもしれませんが。いや実はねえ……幕末ファンがこれ読んだら、別にミステリを読み慣れてない人でも、途中で先が読めちゃうんじゃないかと思う訳でありまして(苦笑)。
秋山香乃「新撰組捕物帖シリーズ」などとは違って、物語に組み込まれているのは歴史年表に太字で書かれるような大きな出来事。自ずと登場人物も限られてきますし、事件の骨格を変えてしまうこともできません。オリジナルキャラクターを設定して自由に動き回らせるという訳にはいかない。「史実がこうだから、この話での設定からいって、こう来るか……」と思ったまさにその通りの展開になる、と言っても過言ではないかと。
尤も、別の種類の楽しみ方がない訳ではありません。主人公コンビと周りの人々、沖田総司や陸奥陽之助なんかとのやり取りとかね。私は脳内キャスティング「新選組!」出演陣で楽しみました。「あの」副長がガミガミ言えば、「あの」龍馬がのらりくらりと受け流す訳ですよ。面白かったです!

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