手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
鮎川 哲也, 日本推理作家協会
マイ・ベスト・ミステリー 5 (5) (文春文庫 編 17-5)

なかなか大型書店に行けないもので、こんなアンソロジーが出ていたなんて、まるで知りませんでした。文庫は昨年秋ですが、単行本に至っては、4年前の出版だったというのに……不覚!
「こんなアンソロジー」とは一体どんなのかというと、文庫裏表紙の紹介文はこうです。


練達の書き手であると同時に読み手でもある彼らが選んだ「最も好きな自作短編」と「最も好きな他人の短編」は何か?


ねーっ、こう聞いただけでいかにも面白そうでしょう? これはそそられますよ!
という訳で、ずらりと並んだ全6巻、普通に考えるならばまず第1巻から手にとるべきところなのでしょうが、迷わず第5巻を最初に買ってきました。
顔ぶれがこうだったんです。鮎川哲也・泡坂妻夫・北村薫・北森鴻・東野圭吾・山口雅也!
もちろん他の巻にも、柴田よしきだ高村薫だ横溝正史だと御贔屓筋の名前があるんですが、鮎川・泡坂・北村と、お三方が1冊の中に揃っちゃってるのは何しろ強力でした。
しかも買って帰って本を開いてみたら、泡坂作品が2編収録されていることが判明。というのは、北森鴻セレクトの「最も好きな他人の短編」が泡坂さんのものだったんです。
通して読んでみると、厳密な意味で「最も好きな」作品を選んだ、というのでもなさそうですね。たとえば北村薫セレクトは、自作が「ものがたり」、「他人の作品」は木々高太郎「永遠の女囚」。
「ものがたり」は、受験のため上京して姉の家に泊まっていた少女が、帰る日の朝、自分が考えたという時代劇のストーリーを義兄に話して聞かせる、という話です。北村さんの自作解説は、


 画家が絵を描くのも、作家が小説を書くのも、結局のところはそれを通して自己を語っているわけです。《何らかの思いを抱きつつ、作中人物が創作した話を語る》という設定に妙味を感じます。《作中の物語》と想いが二重になる上に、本質的に物語自体がそういうものなので、その意味での二重性もあるからでしょう。


とのことですが、この作品に続けて「永遠の女囚」を読むと、誰でも、あっと思うでしょう。北村さん自身、「ある時、《ああ、あれは形を変えた「永遠の女囚」だな》と思いました」と書いています。といっても「永遠の女囚」は、「何らかの思いを抱きつつ、作中人物が創作した話を語る」話では全然ないのですが、でも、同じ構図があるんですね。


 実はわたし自身、ある作家の方から《誰も気づかないけれど、わたしの○○という作は、あなたの○○を自分なりに書き直したものなのですよ》といわれたことがあります。作品から作品が生まれるというのは、あることですね。今回のような企画は、「永遠の女囚」と、わたしの作品を並べて読んでいただく、よい機会かと思います。


今までどれだけ大量の本を読んできたか見当もつかない北村さんのこと、「好きな作品」はきっと山のようにあるのでしょう。ただ、自作と並べてアンソロジーに収める1編は、この「永遠の女囚」でなければならなかった訳です。
山口雅也セレクトは、自作が「割れた卵のような」、「他人の作品」が夢野久作「卵」。これはもうタイトルを見ただけで判りますね、最初から関連付けて選ばれてます。
そもそも山口さんときたら、


 今回、「割れた卵のような」を自選短編として挙げたのは、先ずは、単に他のアンソロジーに選ばれていない作品という理由からだったが、


って、こらちょっと待てっ。「最も好きな自作」という縛りはどこ行った!(笑) いや、今までアンソロジーに選んで貰ったことはないけれど、作者としては自信があるんだよということですね、うん。そうに違いない。そう決めた(笑)。
という訳で、このシリーズの紹介文、私ならこうするかな。
ミステリ作家達の、「特に思い入れのある自作短編」と、「それと併せて読んで貰いたい他人の短編」。それらを集めたアンソロジーです。

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