手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
小田嶋 隆
1984年のビーンボール

『サッカーの上の雲』が面白かったので、書店で見かけるなり迷わず買ってきました、柳の下の2匹目のドジョウ本(笑)。
と、タイトルだけ見ればこういう失礼なことを思わず言ってみたくなる訳ですよ(笑)。
あとがきで著者自ら、内容的には全ッ然関係ないにもかかわらずどうしても村上春樹『1973年のピンボール』をもじったタイトルにしたかった理由を縷々弁解説明していますが、このネタ元がそもそも大江健三郎『万延元年のフットボール』から来てるんじゃないかと思われますしね。
などと思いつつ本を開いたら、章題でまたしてもパロディが炸裂してました。「清兵衛とヒットエンドラン」「陽のあたるサッカー道」……えーと、これまた勿論言うまでもないことながら、志賀直哉「清兵衛と瓢箪」とも石坂洋次郎『陽のあたる坂道』とも全く無関係でございます(笑)。
装丁が『サッカーの上の雲』と酷似しているところを見ると、版元は今後も小田嶋さんのスポーツコラム集を第3弾、第4弾と刊行していくつもりがあるのでしょうか。ならば面白いからこのタイトルパロディシリーズ、継続を強く希望致します!
さて、前作は書名でも判る通りサッカーのみの話でしたが、今回は、ビーンボールとかヒットエンドランとかいう単語が示すように、野球の話も含まれております。
1999年オフから2002年開幕時まで「週刊ベースボール」に隔週連載されていたのが第1章「清兵衛とヒットエンドラン」の部分なのですが、うわー、当時この雑誌読む習慣まだなかったものなあ。何か非常に損をしてしまったような気がするぞ。リアルタイムで読んでみたかった!
これを読んじゃうと、今現在の連載執筆陣には物凄く申し訳ないことながら、「業界の内輪の人」しか並んでない誌面というのはパンチに欠けるものなんだなあと思い知ってしまったりするのです。小田嶋さんはあくまでも「コラムニスト」であって、「野球ライター」ではありませんからねえ。
と誉めてばかりいないで、具体的に名文ぶりを紹介しようと思ったのですが……どれを選ぶか目移りしてしまって困り果てました。しかしまさか1冊分丸ごと御紹介という訳にもいかないので(当たり前)、取り敢えず、「バッティングセンターの福音」と題された一文を。

書き出しはこうです。


 バッティングセンターが減っている。
 憂慮すべき事態だと思う。
 もちろん、プロ野球選手の育成には関わりのないことだ。高校野球や大学野球の普及にも無関係だろう。というのも、バッティングセンターでバットを振りまわすのは、どっちみち素人(しかも酔っ払い)に決まっているからだ。
 しかしながら、バッティングセンターでマシンのボールを打った経験を持たない素人が増えることは、これはこれでなかなか深刻なことなのである。


というのは、どういうことなのかといいますと。
打てない、というんですね。
素人が打てるのは100㎞がせいぜい、130㎞になれば手も足も出ない、んだそうです。


 ごくまれに、二十球に一球ぐらいの割合で、バットとボールが衝突することがある。
 が、ボールは前に飛ばない。バットが球勢に押されて(軟球なのに!)ポップフライが上がるだけだ。
「おい、これが百三十キロだってことは、プロの投げる百五十キロのタマってのはとんでもない代物だぞ」
「うん。オレは、二度とキダのノーコンを責めない」
「オレもだ。ナカゴミに謝ろう。ヒョロダマなんて言って悪かった」
「うん。オレもカケフをケナすのはよす。あいつはやっぱり天才だ」
 つまり、あのピッチングマシンという機械は、テレビ観戦でわかった気になっている半可通に鉄槌を下す神の鞭であり、プロ野球選手が正しく神の子である旨を宣命する野球伝道師だったのである。


なるほどそうか!と深く頷きたくなる説得力。しかも、この文章はここで終わりではありません。
こんな風に結ばれるのです。


 町にひとつは、バッティングセンターがあるべきだと思う。
 いや、むしろオフィスに一台ずつピッチングマシンを置くべきかもしれない。
 読売新聞社社長室にも。ぜひ。

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