手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
トーベ・ヤンソン, 山室 静, Tove Jansson
ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫 や 16-3)

これは珍しい、ムーミンシリーズの中のクリスマスものです。

何で珍しいかというと、ムーミン一家は秋には冬眠に入ってしまうから。クリスマスなんて先祖代々全くご縁がない……筈だったんですが、どこにもお節介な隣人というのはいるもので。

「クリスマスはもう、あしたにもやってくるんだぞ!」と、眠っているところを叩き起こされてしまうんですね。

この作品世界に登場するのは皆、「トロール」──言うなれば広義の妖精や物の怪のたぐいに当たる存在たちばかりです。そこにクリスマスという、取り敢えずは(笑)特定宗教の行事を持ち込む。人間くさく俗っぽくなってしまいはしないか、どうやって違和感なく溶け込ませるのかと思ったら。

宗教色、ゼロでした。

本編のクリスマスに、救い主の誕生日で聖なる日で、なんていう厳かなところは全くありません。ただ単に季節の欠かせない行事というだけで、皆ただひたすらツリーの飾りつけにプレゼントの準備にとてんてこまいになっています。日本人がお正月の準備をする感覚に近い、という印象ですね。やることが一杯あって忙しくて面倒臭くて、でも何もしないなんていう訳にはいかなくて、呑気に構えている人を見ると「おいおい」と思ってしまう、という。

という訳で、何が何だか全く判らないままに、生まれて初めてクリスマスの準備というものを目の当たりにしたムーミン一家の面々。隣人達の様子があまりにも気ぜわしく余裕がないのを見て、根本的な勘違いをしてしまいます。

クリスマス=何かおそろしいもの、だと思い込んでしまうんですね(笑)。


「あんたがたも、とうとう目がさめたんだね。くらくならないうちに、もみの木をとってきたほうがいいですよ」

 と、おばさんは声をかけました。

「だけど、なぜまたもみの木を──」

 ムーミンパパがききかけましたが、ヘムルのおばさんは、

「いまはいそがしいんだよ」

 と、かたごしにこたえたきり、たちまち見えなくなってしまいました。

「くらくならないうちにって、いったわ。だから、くらくなったら危険になるのね」

 と、スノークのおじょうさんが、小さい声でいいました。

「それで、おまもりにもみの木がいるっていうのかな。わからんなあ」

 こういってムーミンパパは、考えこみました。


かくして、もみの木を飾りつけなければならないと聞けば、「おそらくそれは、その中にかくれるためだな。そうやって、危険をどのようにしてか、やわらげるのにちがいない」と納得し、ご馳走やプレゼントを用意するものだと聞けば、お腹をすかしてやって来るクリスマス(もはや擬人化)をなだめるためのものだと思い込む始末。

この一連のドタバタは、勿論、笑うところなのですが。しかし。


 だれもかれもが、自分のもっているいちばんきれいなものをもってきて、真冬のえたいの知れない力を、なだめようとしたのです。


 小さい動物というものは、自然の大きい力にたいしては、いつだっても、とてもとてもすなおでなくてはいけませんからね。


冬至の祭り、一陽来復を祝うという、クリスマスのもともとの姿をあらわしているようにも思えるんですよね。

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