手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
高田 恵子, シャーロット・マクラウド
にぎやかな眠り (創元推理文庫)

クリスマスの時季といえば、最近ますます増えてきているのが、一般家庭のイルミネーション。うちの近所にも何軒もあります。
ニュースなんか観ていると、ご町内殆ど全部がやっていて、見物客がひっきりなしなんていうところもあるみたいですね。という訳で、そういう町が舞台のミステリを。
アメリカはニューイングランド地方のとあるド田舎(笑)、バラクラヴァ郡にあるバラクラヴァ農業大学の名物はクリスマスのイルミネーション。観光客目当てに学生達が屋台を出したりして、すっかり「伝統の祭り」と化しています。
しかし教職員の中でたったひとりだけ、静かなクリスマスが好きなシャンディ教授(56歳、独身)だけは、がんとしてイルミネーションに参加しません。教授が住んでいるのは「雪をかぶった常緑樹にふちどられた赤いレンガ造りの小さな家」で、まさに絵に描いたようなクリスマスらしさ。


 あれこれ干渉されたりしなければ、ピーター・シャンディも少しくらいならよろこんで協力していたにちがいない。玄関のドアに、モミの枝でつくったリースかヒイラギの小枝を飾り、暗くなってからは、客間の窓に白く太いロウソクをともしたことだろう。


しかし入れ替わり立ちかわり説得され苦情を言われ、あれこれと飾り物を押しつけられるのでは、余計に意固地にもなろうってもんです。
教授の好きなクリスマスの過ごし方は、いとこの家を訪ねてクリスマスディナーをご馳走になり、帰宅後、シェリーを飲みながら読書、寝る前には戸外に出て夜気を楽しむ、という静かなもの。しかしイルミネーション委員会が打ち上げ花火をやり出したために、それすらも台無しになりかかっています。
ご近所と戦い続けること18年、ついに反攻に出たシャンディ教授。業者を頼んで、初めて我が家に飾りつけを施すと、旅行に出かけてしまいます。


 バラクラヴァのクレッセント通りでは、レンガ造りの家の屋根にのっている八頭の実物大のトナカイが、投光ランプの光に照らし出されているはずだった。そして窓という窓は、グリーン、オレンジ、ブルーと色の変わる三十六個の電球でふちどられ、十六の窓のすべてから十六のサンタクロースの顔が流し目を送り、その顔のしたにはそれぞれ、赤三つと紫ふたつの電球をつけた作り物のロウソクが、派手に輝いていることだろう。
 シャンディはちらりと腕時計に目をやって、頭のなかですばやく計算した。いまこの瞬間には、トウヒの木につけた七百四十二個の大型の赤い電球が、二万八千八百回めの点灯時間にはいっているはずだった。すなわち、合計で二千百三十六万九千六百回めの点灯というわけだ。そしてアンプはこれまでに、『ホワイト・クリスマス』と『サンタがママにキスをした』『クリスマス・プレゼントにほしいのは二本の前歯』を二千五百三十六回演奏し、いまは、二千五百三十七回めの『だれでもいいからあのトナカイをうちの屋根からおろしてくれ』の十七小節めをがなりたてていることだろう。


照明の点滅は6秒間隔、アンプのボリューム最大、スイッチは鍵のかかるボックスの中!
公害ですよ(爆)。
というところまでを、作者は昔、短編として書いて雑誌に送ったのだそうですが、見事にボツ(笑)。その後、これを第1章として長編ミステリを書きました。
シャンディ教授が旅行から帰ってきてみると、自宅に死体が転がっているのを発見してしまいます。同僚の口やかましい妻が、飾り付けをいじろうとして転倒、頭を打った、かのように見えましたが……教授を探偵役とする、バラクラヴァ農大シリーズがここにスタートしたのでした。
ところで、言うまでもないことながら、教授がこの凄まじいイルミネーションを我が家に施したのは、ご近所に協力するためではなく妨害するため。ところが帰ってきた教授に向かって、たとえば大学の警備主任はこんな風に言うんですね。


「そうですね、教授の気持ちを傷つけたくはありませんが、このあたりの住人のなかには、これはやりすぎだと考えている人間もいるみたいですよ。教授が自分だけ目立とうとしていると言ってね。わかるでしょう?」
 シャンディは、自分の怒りの爆発について周囲がどう考えるかということをあれこれ予想してはいたが、これは、思ってもみなかった反応だった。


少数派の魂というものは、孤独を強いられるものなのですねえ!

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