手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
レイ・ブラッドベリ, 北山 克彦
さよなら僕の夏

読みました!
『たんぽぽのお酒』は、12歳の少年ダグラスの夏の物語でした。この『さよなら僕の夏』では、ダグラスは14歳になろうとしています。季節は、秋。
12歳のダグラスは、夏の最初の日、「子供」から「少年」への1歩を踏み出します。目の前が開け、世界は輝きを増し、自分は今確かに生きているのだと実感する……まぶしい、輝かしい、成長。
1年後の夏の終わり、ダグラスの「成長」は次の段階にさしかかっています。もう、新たに判ってくることの全てがまぶしい訳でも輝かしい訳でもない。
そしてダグラスと仲間の少年達は、もっと幼い子供の頃には夢にも思わなかったに違いない思いを抱くことになるんですね。
大人になるのは、嫌だ、と。


ぼくたちはいまほど恵まれていることは二度とないだろう! 大人になれば強盗になって射殺されるか、悪くすると、やつらに上着とネクタイを着せられて、ファースト・ナショナル銀行の真鍮の格子のなかにおかれることになるんだ! ぼくらはいまのままでいるべきだ! いまの年齢のままに。大人になるだって? ふん! そのあとすることといえば、金切り声で言いたてるだれかと結婚することくらいさ! どうだ、反撃するか?


こうして「戦争」が始まります。少年達と、教育委員会の尊大な委員長クォーターメイン老の間で。少年達にとって、年老いたクォーターメイン氏は、彼等が抗おうとする「時間」そのものですし、ダグラスの自転車に衝突して怪我をしたクォーターメイン氏のほうでも、こんな子供達を野放しにしておくなどとんでもないこと。双方がムキになってぶつかり合いますが……これはつまり、どういうことになるのかといえば。


あんたはあの少年を傷つけていたわけではない。じっさいは、あんたがしようとしていたことがあの少年を成長させたのさ。あんたたちは二人ともしばらくのあいだ間違っていた。いまは二人とも勝つところだ。


少年が大人になる、というのは物語のいわば定番のテーマですが、この小説では、特に何か決定的な出来事が起きる訳ではありません。親が死ぬとか衝撃的な恋をするとか、大事件に巻き込まれるとか、そんなようなことは一切起こらない。それでも、この夏の終わりの日々がダグラスにとってとても大事な経験になったのだということが判ります。

大人になるのは嫌だと思っていた少年が、諦めとともにではなく、ごく自然に素直に、それを受け入れていけるようになる。子供時代は確かに輝かしいものだけれど、それが全てという訳ではない。

子供時代の終わりを、後ろ向きの感傷や未練はなしで描いた佳作です。さすがブラッドベリ!

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