手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
京極 夏彦
旧怪談―耳袋より (幽BOOKS)

夏向きの京極夏彦、その2(笑)。

書名は、ふるいかいだん、とルビが振ってあります。
雑誌「幽」に「旧耳袋」の題で載っていた頃から、時々立ち読みしてはいました。で、ははあ「耳袋」の現代語訳というか翻案ね、なるほど、なんて判ったふりでいましたが、実のところ、私は「耳袋」についての知識は殆どなし。江戸時代に出た実話ネタの(ということになっている)怖い話の本でしょ、というくらいのものでした。
こういう物知らずの読者のために(笑)前書きで京極さんが判り易く説明してくれてます。旗本・根岸鎭衞が「友人や知人から聞いた面白い話、奇妙な話、それから町の噂話、迷信、事件の顛末などをつれづれに書き留めた、備忘録のようなもの」「二百年前の“面白世相雑学メモ”」とのこと。
なので、元々の筆者には、それが幽霊の話や怪異現象の話であっても、読者を怖がらせようという意図は全くない、というんですね。この本、原文が併記されているのでよく判るんですが、なるほど、どれもあまりにもあっさり・淡々・平易に過ぎる記述です。こんな話を聞いた、あんなことがあったそうだ、だけ。その内容が、猫が喋ったとか河童を目撃したとかいうものであってもです(笑)。
ここで小説家・京極夏彦の出番。怪談、としての語り直しです。
オリジナルではなく翻案であるだけに、却って、原文と読み比べることで京極夏彦の語り口、というものがよく判りますね。いわば小学生の作文のように「誰がある日こんなことがあって、それでああしてこうして」という感じでずらずらと無感動に(笑)記述してあるだけの原文を、小説らしく人物像をふくらませて起承転結にめりはりをつけて、だけじゃないんです。
怖い話の、どこが特に怖いのか。奇妙な話の、何が一番不思議な点なのか。
原文の中からそれを目ざとく拾い出し、さりげなく光を当てています。
3日前に亡くなった筈の娘が、奉公先のお屋敷に顔を出していた。手土産の菓子まで持参して──では、この菓子は。作ったのは本当にその娘なのか。この菓子を、そのお屋敷の人は食べることができたのか。
こういうのが、怪談の怖さ、なんだと思うんですね。
狂気の殺人鬼が刃物を持って追いかけてくるとか、恨みを受ける覚えのある相手の幽霊が出たとか、そういう怖さじゃないんです。身に危険が迫っている訳でも何でもない。
ただ、何だか訳が判らない。何の変哲もない筈の日常に、唐突にふっとずれが生じて、その理由も経緯も皆目見当がつかない。判らないから、気にかかって、心に残って、落ち着かなくなる。
その、もどかしさと、後を引く感じ。
マンガ『百鬼夜行抄』が好きな方、おすすめですよ!

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