手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
司馬 遼太郎
街道をゆく〈36〉本所深川散歩・神田界隈

調子に乗って、芥川龍之介連想ネタの続き。
そういえば司馬遼さんが、「街道をゆく」シリーズの中で芥川の話をしてなかったっけ、とふと思い出したのです。
確か東京が舞台の時だった、と「本郷界隈」やら「赤坂散歩」やらを読み散らかし、発見。「本所深川散歩」のラスト部分でした。


 やはり、本所深川は、噺のなかの世界がいい。
 私は界隈を歩きつつ、実景よりも円朝のことや、芥川龍之介(一八九二~一九二七)のことなどをおもった。


と始まって、芥川の実父は長州人で、「戊辰戦争のときに奇兵隊とはべつの諸隊に志願した」なんていうことを紹介してる辺り、いかにも司馬さんらしいです。
 生まれは長州でも、赤ん坊のうちから母親の実家に引き取られて旧幕臣の家の後継ぎとして育った龍之介くん。生家のおじさんから長州はいかに偉大かという話を聞かされたりもしたそうですが、右から左へ聞き流してたらしいですね(笑)。
司馬さんの「散歩」が進むにつれて目に映る風景が移り変わるような感じで、芥川が愛した隅田川の話→両国橋の話→橋から少し離れた回向院の話→境内にある鼠小僧の墓の話、と進みます。そして当時の鼠小僧人気について触れたところで、


 芥川はこの境内に鼠小僧の墓があることは少年のころから知っていたようで、大正八年、二十八歳のとき、『鼠小僧次郎吉』という短編を書いた。


と、芥川の作品の話に着地させるんですね。うまい!
更に作中の江戸ことばが見事だということから発展して、全編登場人物の台詞だけで構成されている「藪の中」についての言及になります。芥川の言語感覚も見事ですが、司馬さんの語り口もまた見事です。流れるような、とはこのことかと。

ところで、芥川の話になる直前が、滅びようとしている深川芸者の話なんですが。
ついでに読み返してみたら、ここでまたいかにも司馬さんらしい比喩が連発されていて笑ってしまいました。
たった3人になってしまった現役の芸者衆のうち2人と、お座敷の女将さんに会って話を聞いた司馬さん。


 なんだか、深川の色町も辰巳芸者も、歴史がおわろうとしているようで、つい酒の座の話も、二人の身の上ばなしになった。大瓦解のあとの新選組の生き残りのようなものである。


 辰巳の灯が消えようとしている、という話題になり、女将さんもそのことをなげき、なにやら五稜郭の孤塁を守る土方歳三といったぐあいになった。


更には、担当編集者氏のことを評するのに「喧嘩早くて情にもろくて、五稜郭がそこにあればやみくもに籠りそうな気配の人物」と。
芥川の話をするのに幕末史ネタが出てくるのも芸者衆を新選組にたとえるのも、司馬さん以外に誰が、っていう気がしますねえ(笑)。

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