手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


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司馬 遼太郎
司馬遼太郎が考えたこと〈1〉エッセイ1953.10~1961.10 (新潮文庫)

父親がこのシリーズを買い始めた時、最初は「ふーん」としか思いませんでした。
司馬さんのエッセイ集なら、もう殆どあるんじゃなかったっけ。わざわざ改めて年代順に読まなくても……まあ未刊行のものも確かにあるんだろうけれど……。
ところが。
いやあ驚きました! 所謂「エッセイ」に限らず、とにかく何でもかんでも集めてあるんです。小説の連載予告があり、連載終了の挨拶があり、他作家の作品への書評があり、「オール讀物」誌のグラビア頁に写真が載って、そこに添えた一文があり……1巻目は、筆者名「福田定一」名義のものから始まっています。「小説家司馬遼太郎」ではなく、「新聞記者福田定一」が書いた文章を初めて読みました。記者として受け持っていた分野の関係上、仏教や生け花の雑誌に載せた文章が続きます。
厳密に時系列に添って並べられたこの企画、巻頭に置かれたのは、「福田定一」29歳の時のもの。一人称は「僕」でした。
この青年が、やがて世に知られた「司馬遼太郎」になっていくのか……面白い!
後年のものを読むとそうも感じませんが、若い頃の文章は、司馬さん、濃厚に「大阪」が出てますね。田辺聖子さんのような「浪花中華思想」(笑)とは無縁の人ですが、生まれて育って職に就き住み続けた場所の匂いとでもいうようなものが、特にそのことを書こうとしているのではなくても、自然に滲み出てきています。
昭和36年、「週刊文春」に連載していたエッセイで、「ああ新選組」と題した回があり、


 京の壬生のひとは、いまだに新選組のことをよく思っていない。私は壬生の古老が「なんどす、あのミブロどもは」と吐きすてるようにいったのを聞いた記憶がある。


と始まって、ごく普通に新選組の紹介が手際よくなされています。ところが大坂出身山崎烝の名前が出てきたところで、いきなり話がそれちゃうんですね(笑)。司馬さんの幼馴染に山崎烝の家と親類筋に当たる人がいたそうで、その人の名前も山崎烝。気がついたらいつの間にか、そっちの山崎烝の話になっちゃってるんです。
戦争中、この人が所属していたのが大阪の歩兵第八連隊。「日本最弱の軍隊といわれ」と司馬さんも書いてますが、田辺聖子作品で「またも負けたか八連隊 それでは勲章くれんたい」という囃し言葉の文句を読んだことがあります。この文句、「日華事変のとき、中国兵が、八連隊が進軍してくるとマイクでそうからかったそうだから、国際級の名声があったわけだ」って(爆)。
そういう連隊で歩兵小隊長になった昭和の山崎烝、中国へ出征していきます。部下に近所の家具屋の息子とタバコ屋の息子がいました。この2人は一等兵、山崎小隊長は少尉。しかし幼馴染の感覚のまんまで、「ちょっとタバコの火イ貸してんか」とタメ口きくような部下です(笑)。
そんな彼等が塹壕戦を戦うことになります。「弾の切れ目をみつけて突撃するのが明治以来の日本軍の一つ覚えの戦法であった」という訳で、


 山崎もやむなく軍刀を抜いた。塹壕から半身を乗り出して「突撃イ」といいかけた。
 ところがどうしたことか体が前へ進まない。気づいてみると、タバコ屋と家具屋が必死にしがみついて、引きずりおろそうとしている。
「ススムちゃん、あかんがな」
 眼に誠意をみなぎらせ、息をころし、しかも語気険しくいったものだ。
「いま突撃したら死ぬでエ。お母ンが泣くがな。わいはお母ンにくれぐれも頼まれているのや。辛抱しイ、辛抱しイ」


八連隊、最高!(爆)
で、司馬さんはこのエッセイを「これでは、八連隊が弱かったはずだ」と結んでるんですが……あの、司馬さん、これのタイトルって「ああ新選組」だった筈なんですが、「ああ八連隊」じゃなくて(汗)。

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