手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
司馬 遼太郎
アームストロング砲

昨日に引き続き、『幕末百話』の話です。
鳥羽伏見の戦いの後で官軍が、幕府方が大坂城内に残した地雷火をチェックするのに市民に踏ませて試していたというヒドイ話(汗)。司馬遼先生の「侠客万助珍談」にも取り入れてありましたが、他にも小説で読んだ話を見つけました。
第58話「銀座評判 松田の二人斬り」。「侠客万助珍談」と同じ短編集『アームストロング砲』収録の「斬ってはみたが」でした。
銀座の料理店「松田」で、鏡心明智流桃井道場の師範代・「小天狗」の異名をとる上田馬之助が酔漢2人に斬りかかられ、またたく間に返り討ちにした事件。
実話のほうは、事件の当日に騒ぎを聞いて現場に駆けつけた人の話。だからこの人は事件そのものを目撃してはいないんですが、周囲の大騒ぎについての記憶は鮮明です。


……女子供を連れた松田のお客は逃げ惑い、泣きわめく。私が横丁の所へいった時に、同家の屋根から番太の屋根へ、飛下りて逃げ出した武士のお客などもありました。これは関係を恐れたのでしょう。


江戸時代の人にとって「かかりあいになる」のはもう絶対避けたいことだったというのは知ってますが、それにしてもサムライが屋根から逃げるなよ情けない(泣)。
松田の2階で、酔っ払いを避けて座につこうとした馬之助さん。避けられた酔っ払い達が腹を立ててからんできたので、事が面倒になる前にと帰ろうとしますが、相手はいよいよ逆ギレして梯子段を降りようとする彼の後ろから斬りかかってきます。そこを一刀のもとに逆袈裟でなぎ倒したという、さすがは桃井道場の師範代!
斬られた2人のほうがそもそも悪かったということで、馬之助はお咎めなし(正当防衛、ってことですね)。


けれどもその時の奉行が上田に向って、「その方は桃井で小天狗とも言わるる身でありながら、酔っているものを斬らずともよかったろうに」と言われたので、上田は赤面したとの風聞でした。


という、いかにも剣豪!なエピソードなんですが。
これが司馬遼さんの小説になると、全ッ然印象が違ってきます。ここの馬之助、強くない。
いや、師範代ではあるんですよ。でも、「道場ではもっとも古い。/古いわりには上達せず、師範代といってもおなさけの待遇で、初心者の稽古ばかりつけさせられている」ということになってます。
稽古では師匠も手に余る程の技を披露するくせに試合となると必ず負けるとか、いつまで経っても塾頭になれないとか、「弱さ」ばかりが強調されます。という設定だから、小天狗という異名も勿論出てはこない。
そういう、どこか「一本抜けている」男が、その喧嘩の一瞬だけ、無心の境地で真剣の勝負に勝った。ただ、後にも先にも生涯ただその一度きりだった……という話になっています。
司馬さんに限らず、一昔前の歴史小説家諸先生方は、実在の人物を書く場合でも平気でオリジナルの設定を付け加えて、しかも澄まして全部が史実ネタであるかのような振りをすることがありますからねえ(笑)。この「斬ってはみたが」も、そうかー上田馬之助とはそういう人だったのかと頭から思い込んで今まで読んでいましたが、何かやにわに信用できなくなってきました(爆)。
もっとも、小説としては確かに、こうでなきゃならないんですよね。文句なしに強い男の文句なしに強いエピソード、じゃ小説にはならないんだよなあ。

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