手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
高野 寛
土曜ソリトン サイドBリターンズ

この前、京極夏彦『魍魎の匣』映画化の話を書きました。で、久しぶりにこの小説のことをつらつら考えてみてるうちに、ふっと思い出したのです。
これについての京極さんインタビューの載ってる本が、うちのどっかにあった!
捜したら、本棚の奥にありましたよ。NHK教育テレビで95年4月から1年間やってた「土曜ソリトンSideB」のまとめ本です。
この番組、決して熱心に観てた訳ではなかったのですが、たまーに観てしまうことがあると結構面白く、終わった時には大して観てなかったくせにがっかりしたものでした。で、その後たまたま書店でこの本を見つけた時は、もう中身も確かめずに即買い!だったのです(余談:まさか10年も経ってるテレビ番組の本が、アマゾンにデータがあったとは……しかも「ユーズド価格7,980円より」! 買った時1,400円ですよー)。
「96年1月20日放送」と記された京極夏彦インタビュー。多分これを読んだのが私にとって最初の「京極体験」です。このブログを読んで下さってる方はお気づきだと思いますが、私、「流行ってる本」を避けて通るという癖があるんですよ(苦笑)。で、この時にはまだ読んでなかったんです、1冊も。凄いらしいという評判だけは前から聞いてはいたんですが。
さて、このインタビューの中で、『魍魎の匣』について司会者からこんな質問が出てるんです。実は結末が3パターンくらいあって、救いのない結末というものもあったと伺っていますが、と。それに対して京極さんの答え。


 結末は同じなんですが、文字の並べ方とか、台詞の順番とか、語彙がちょっと違ってたり、ストーリーとしてはまったく同じなんですけど、そういう調整で読後感がどれだけ変わるだろうと思いまして、実験的にちょっと二つ三つ作ってみたんですよ。一番後味の悪いパターンっていうのも書いて、魍魎がすっかり払い落ちないようなね、そういう読後感というのもできないだろうかと思って。実際に編集者に読んでいただきまして、案の定“最悪! もう生きていたくない”というような感じになったという。本を閉じても朝まで気持ちが悪くてしょうがない、その気持ちが悪いというのも“おばけが怖い”とかいうのではなくて“やりきれない”という感じだって言われまして。“ああ、成功した”みたいな(笑)。


うげげげげ(汗)。
「結局は、きれいにオチのある形の、一番読後感のいいものを選択して」とおっしゃってますが、京極さん。いや、あれだって別に読後感が「いい」と言い切れるかというと物凄く疑問の余地が(爆)。
一体、どんな代物だったんでしょうか、その怖いほうのバージョン。ストーリーとしては全く同じでありながら読後ひと晩経っても気持ち悪さが残るって、一体どういうことになってたんだ(冷汗)。「禁断のディレクターズカット」として発表する気はないかと聞かれた京極さん、「フロッピーを消してしまいました(笑)」とあっさり……えーいっ、だったら最初っからそんなん書くな読ませるな、テレビで言うなッ。余計気になっちゃうじゃありませんか。
さて、今となっては信じられないようなことですが、そういえば当時は「あまりの執筆量の多さとスピード」だったんですよねえ(苦笑)。何人かで分業して書いてるから速いんじゃないかという京極夏彦複数説まで流れたそうですが、これについてもご本人はいとも簡単に、


 プロットを作るのは、僕の場合非常に簡単な作業で、何分とか何時間でできてしまうんですよ。


あ、そ、そうなんですか(汗)。


 それで、それを物語にしていく上で肉づけをしなければいけないんですが、それもそう時間のかかるものではないんですね。


……ははははは。もう笑うしかない!
『魍魎の匣』なら「匣」という部分、これがストーリー或いはプロット、だそうです。この小説で描かれるのは「匣」という事件。そして小説の中で妖怪を甦らせるために、その妖怪が湧き出すような言葉を選び、妖怪が出てくるような環境を作る、それが「魍魎」という部分。


 この“匣”という事件で“魍魎”を湧かせようというわけで、これは変えようがない。この時点で、もう決まってしまう。つまり、タイトルを見ればほとんど中身が分かってしまうという(笑)。


判るかい!!
いやそりゃね、1冊丸ごと読んじゃってからなら、ああそうかと得心がいきますよ。『鉄鼠の檻』はまさしく「檻」という事件だったし、『塗仏の宴』も非常に不愉快で悪趣味な「宴」という事件でした(「あの男」は、楽しいことだからするのだ、と言い放ちましたっけ)。どれも皆、なるほどそれ以外にあり得ないタイトル。
でもそれが判るのは、読んでからです、あくまでも!(笑)
次回作は、『鵼の碑』。
「碑」という事件の中で、「鵼」が湧く、という話。
……と、言われても(爆)。

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