手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
別冊 花とゆめ 2007年 02月号 [雑誌]

小説やマンガを読んでいると、そのストーリーそれ自体とは直接関係のないものが読み取れてくることがあります。

『仮称タマの安穏な日々』(高瀬美恵)では、唐突に出てきた「蘚だって恋する」という文句にニヤリとさせられました。この作者は尾崎翠の「第七官界彷徨」が好きなんだな!というのが判ります。そうかと思えば、北村薫の「覆面作家」シリーズでは、ミニチュアの箪笥が可愛いということをいうのに、「上に乗って動きたくなくなるような」などという表現がわざわざ使われていたことがあって……うげげっ、半村良の「箪笥」だあっ(←個人的にこの世で一番怖い短編/汗)。

これらは作者の「好きな作品」をさりげなく織り込んだというものでしょうが、「好き」なのか「単なるギャグ」なのか判然とし難いことも。『邪魅の雫』(京極夏彦)で、いかつい刑事の木場修太郎が、最近じゃ「武士」のぶっさんなんて呼ばれてる、とぼやくシーンがあるのですが、この後に続く彼の言葉というのが、これ。「死にそうだろうが」……ぶっさんと呼ばれてたら死にそうだって、そりゃ「木更津キャッツアイ」ですがな(汗)。

或いはまた、その作品の構想・創作・発表当時、世の中の注目を集めていたこと・社会的関心事だったこと、が透けて見える場合もあります。これはTVドラマですが、2004年NHK大河ドラマ「新選組!」で、近藤勇が医師松本良順から幕府による長州攻めの愚を説かれるくだり。明らかに、アメリカのイラク攻撃の愚を指摘する言葉としてもそのまま通用する言葉でした。

小説やマンガの連載が単行本になり、ドラマや映画がDVDになって、後からそれを読んだり観たりする人にとっては、あまり意味のないことかもしれません。でも、「現実」の出来事に依存することのない純然たる物語世界を構築している作者が、その物語世界に「現実」をわざわざ反映させようとする時、そこには、どうしてもそうせずにはいられない切実な意志があるように思います。

名作『ぼくの地球を守って』の続編にあたる「ボクを包む月の光」。今発売中の「別冊花とゆめ」2月号掲載分は、番外編のような感じです。主人公の少年・蓮がまだ赤ん坊だった頃の話。「生まれる前の記憶を持っている新生児」というのを最近よく聞きますが、蓮の場合、彼の誕生前の記憶とは、両親の前世の記憶なんですね。

蓮の両親の前世は地球を調査に来ていた異星人。父・輪の前世・紫苑は、親も故郷も知らない戦災孤児でした。赤ん坊の蓮は、紫苑がどこかにある筈の理想の故郷を思い描き、そこに「帰りたい」と願い続けていたことを「憶えて」います。

しかし日々成長していくとともに、誕生前の記憶は失われていく(「メアリー・ポピンズ」シリーズなんかでも定番の設定ですね)。泣き続ける蓮をあやしながら、幼い息子が自分達の前世を「憶えている」とは夢にも知らない父と母……昔からの読者にとって、ほほえましいような、もどかしいような、切なくもあたたかなサイドストーリーになっています。

という、この物語全体というジグソーパズルの中にきっちりとおさまる1つのピースに、しかし、作者はさりげなくこんな蓮のモノローグを入れていました。


 ボクが生まれた新しい世界は 戦争の無い世界では無いけれど

 偶然にも 戦争をしない 他国を攻めないと誓った国だった

 そう それはきっとお父さんが願った 帰りたかった『ドコカ』

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