手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
井上 勝生
幕末・維新―シリーズ日本近現代史〈1〉
こういう本が出たよ、と幕末ファンのブログで知ったのはもう3週間も前のこと。へえー面白そうだ、よし買おっ、と勇んで書店へ向かったものの。
平積みになった岩波新書新刊の山。そのどこにも見当たりません。どこの書店に行っても同じこと。えー何でーっ!?といらつきながら過ごすこと2週間余り、ようやく遭遇できました。奥付を見たら、「2006年12月5日 第2刷発行」──初版分完売しちゃってたんですね。納得。
ストレートな書名そのままの内容です。語られている時代は黒船来航から西南戦争まで。端くれとはいえ私も一応幕末ファン、流れは大体頭に入っている訳で、小説ならともかくも、解説本を新たに買ってまで知ってる内容をわざわざ読んでも面白くないじゃない、と思われるかもしれませんが。
面白いんですよ、これが!
簡単に言ってしまうと、「佐幕派びいきの方、ぜひお読みください」です(笑)。
何しろ最初がまず、ペリーやプチャーチン相手の幕府外交政策の再評価。弱腰、軟弱、卑屈というのが通り相場になってる感がありますが、とーんでもない。自他の国力を冷静に見極めて避戦を図り、どの国とも等距離を保ち、率直に柔軟に粘り強く論議を尽くして巧みな外交を行っていたのだと説かれます。『風雲児たち』愛読者がこぞって頷くところですねー、ここは。
そうかと思えば、思いっきり落とされてる人も。孝明天皇、ボロカスです(笑)。京都守護職・会津藩主松平容保との美しい信頼関係が幕末ファンの心を打つ彼ですが、著者はそんなもん(笑)歯牙にもかけてません。幕府がせっかく現実的で冷静な外交をやってるのに、最後の最後に彼が駄々こねて勅許を与えなかったりするから色んなことがぶち壊し。しかもその理由は「日本は神武天皇の血筋が今まで続いてる世界一すぐれた神州なんだ! 穢れた外国なんかとつきあうなんて絶対ダメだ!」の一点張り、現実性も合理性もまるでなし。実は天皇家の傍系出身なもんだから、却って頑固に「血筋!」って言い張ってんだよねー、バカじゃねーの?って感じで(←思いっきり意訳/笑)。
こんな調子で、幕末ものの「お約束」だったことが次々引っくり返されていくんですが、その様は小気味いいほど。
京都で横行していた「天誅」は、実はお公家さんが薩摩藩や長州藩に依頼して政敵を葬るために起こしていたもの。しかも実行犯達は桂小五郎や久坂玄瑞達にいいように使い捨てにされてました。無理やり切腹させておいて、「攘夷の赤心」を吐露して自決したと宣伝したりとかね。
高杉晋作の奇兵隊も、実態は決して「みずからすすんで志願した者ばかりだから、志がちがっていた」(司馬遼太郎『街道をゆく』より「長州路」)なんて綺麗なものじゃありません。足軽ですら着けていた防具もない、使い捨ての近代歩兵。訓練の厳しさに耐えかねて大規模な脱走事件が起きましたが、全員、わざわざその故郷で斬首。後発国の貧しい民衆に最新鋭の武器を与えてつくられる、社会から突出した「近代軍」。著者は現代の中南米諸国の軍隊にたとえています。
と紹介していけばお判りでしょうが、著者は明治政府に対して相当に批判的です。その成り立ちを支えた思想も、その思想に基づいて行われた政策も、そしてその政策実行のために維新以前の社会と文化が一様に劣ったものだと喧伝されたことも。
倒幕派ファンの方が読んだら、或いは腹が立つかもしれませんね、これは。でも逆に、佐幕派ファンは溜飲が下がることうけあいです(笑)。
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