手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
ディック フランシス, Dick Francis, 菊池 光
勝利
書店で平積みになってたのを見つけたこの本。帯に「ファン待望のビッグ・ニュース!」とあります。「詳細はオビ裏へ」──それで本を引っくり返してみたら、単行本新刊の予告でした。6年ぶりの新作、えっ、しかも主人公がシッド・ハレーだって! 「競馬シリーズ」と呼ばれてはいるものの、毎回主人公も設定も違うフランシス作品。しかしこの元騎手の隻腕探偵シッド・ハレーだけは例外で、これで4度目の登場となります。12月上旬発売……うわあ、これは楽しみだ!
浮かれてしまって、その新刊予告の訳者名まできちんと見ていませんでした。本作『勝利』を楽しんで読み、「解説」へ。本作について語られた後、最新作『再起』についても触れられています。夫人をなくした後小説の筆を折ったと思われていたフランシスの、文字通り再起作。そうか、不屈の男シッド・ハレーの再登場には、そういう意味があるんだね……としみじみ思っていたら。
「ただ一つだけ残念なのは、全作品を訳してきた菊池光が亡くなっていることだ」──えっ? 亡くなったの? 6月に!?
……うかつにも全然知りませんでした。「ミステリマガジン」の11月号にフランシスの追悼文が載っていたそうですが、この雑誌、立ち読みで高橋葉介のマンガのとこしか見てないものなー……。
ひとつのシリーズ、ひとりの作家が、必ずしもひとりの翻訳家によってのみ訳されるとは限りません。しかし競馬シリーズは全編菊地光の手によるもので、他の訳者など考えてみたこともありませんでした。といっても、きっと、所謂「名訳」でも「名文」でもないのだと思います。独特な、というよりかなり癖のある文体。ぽきぽきとぶっきらぼうで、だからハードボイルドだったりサスペンスだったりストイックだったりする男の世界を描くのには向いてますが、女子供の会話文を表現するのには必ずしも最適とはいえない。どうかすると「悪文」すれすれのことさえある、流麗とは程遠い文章。
でも、本書の「解説」で指摘されているように、「固有の『文章のリズム』を感じさせるもの」でした。そのリズムが、読んでいてとても快かった。
『再起』の訳者・北野寿美枝さんという人の文章はまだ判りません。でもきっと、口ごもる時は必ず「ええと」ではなくて「えー」、促す時は「さあ」ではなくて「さっ」、そんな癖はないんだろうな。こういう癖のないフランシスの小説を読むのは、少し妙な気持ちがするかもしれません。
競馬シリーズと、トマス・ハリスの『羊たちの沈黙』(新潮文庫)。私にとって、菊池光の「名訳」です。
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