- わたなべ しげお, やまわき ゆりこ
- もりのへなそうる
あとさきになってしまいましたが、改めて。
渡辺茂男さんが亡くなってしまいました。
この人の場合、「肩書き」は何になるんでしょう。子供だった頃の私にとっては、大好きな本の、ある時は作者だったり、またある時は訳者だったりしました。そういう中の1冊『寺町三丁目十一番地』(昭和10年代、地方都市で写真館を営む大家族の物語です。今やってる「芋たこなんきん」ではありませんが、これもドラマや映画にしたら面白いと思うなあ)の解説を見たら、「児童図書館学が専門の学者」とありました。
図書館学の研究者であり教師であり、また実際に図書館員の経験もあり、児童文学の作者で訳者で評論家、国際児童図書評議会というところの活動もしていて……およそ児童文学に関わること全てをしていた人。
渡辺さんの手になる本を挙げていったら、そのまま、私の子供時代の愛読書リストになってしまいます。
どろんこハリー、かもさんおとおり、「エルマー」シリーズ、「ミス・ビアンカ」シリーズ、名探偵しまうまゲピー……。
どれもこれも思い入れのある本ばかりですが、無理やり1冊だけ挙げるとしたら、これになるのかな。
幼い兄弟が空想で描いた地図を持って探検に出かけ、見つけたのは巨大な卵。しかし次の日には卵は消えてなくなり、そこにいたのは、怪獣とも恐竜ともつかない変な生き物「へなそうる」……図体はでかくても生まれたばかり、たちまち子供達と仲良くなって、3人(!)で遊び始めます。
子供の頃、この童話の中で兄弟のお母さんが作るお弁当の描写がとても好きでした。薄く切った苺と蜂蜜のサンドイッチや、焼きたらこをほぐしてご飯に混ぜ込んだおにぎりや……。
渡辺さん、楽しい時間を過ごさせてもらったこと、本当にありがとう。