手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
アガサ・クリスティー, 高橋 豊
チムニーズ館の秘密
榛野なな恵のコミックスと比較する形で、『チムニーズ館の秘密』再読です。
これ、一体どういう話なのかというと。
生活のために旅行会社に勤めたものの、おばさんばっかりのツアーの世話にうんざりしている青年アンソニー。偶然再会した友人ジェイムズから頼まれた、ちょっと冒険の匂いのする仕事に飛びつきます。それは、革命が起きた国ヘルツォスロヴァキア(架空の国名ですが、いかにもバルカンの火薬庫って感じのネーミング!)首相の回顧録の原稿をイギリスの出版社に届けることと、イギリス上流階級の人妻が愛人に宛てて書いたらしい手紙を本人に返すこと。一方、ヘルツォスロヴァキアの王政復古派の支援をする見返りに石油利権を獲得したいイギリス政府にとって、どんなスキャンダルが書かれているかも判らない回顧録の出版はありがたくない話。そんな折も折、新国王になる筈だった王子が殺されます。更には王家の宝石を狙う国際的な大泥棒が現れたらしいという情報が入り……。
かくして国際的陰謀と殺人事件の捜査と謎の怪盗の正体探しが三つ巴で展開することになる舞台が、イギリス貴族カターハム卿(新訳では「ケイタラム卿」となってるようですが、うちにある本が古かったもので)の邸宅、チムニーズ館。先代のカターハム卿が派手好きの政治家だったために、個人の邸宅というよりは国家の迎賓館みたいなことになっちゃってるんですね、このお屋敷。現当主はおっとりのんびりしていて政治や陰謀は大っ嫌いなんですが、もはや彼の意思など入る余地はなし(笑)。ロンドン警視庁からもパリ警視庁からも刑事がやってきます。怪盗は変装の名人だというが、アメリカから来ているお客はそういえば何となく怪しいし、回顧録の原稿を持って来た男も怪しいし……。
そう、アンソニーは一応主人公には違いないんですが、しかし、明らかに「怪しい人物」として設定されてるんですね。冒頭、彼が旅行会社の添乗員をやってる姿が紹介されますが、物語が進んでいくと、それ以前の経歴は全く不明であるということが判明する。主人公に感情移入する形で読み進めてきた読者としては、ここで大げさに言うなら足元の大地がぐらつくかのような感じを味わわされてしまう訳ですね(笑)。えええっ、確かにちょっと危なっかしくはあるけどただ冒険好きな青年というだけだと思ってきたのに、ひょっとして信用できない人物だった訳!?
この、「主人公に対する不信」感がコミック版ではちょっと薄いかな? 前にも書きましたが、本筋以外の要素を思い切ってばっさり刈り込んであるので、アンソニーがイギリスに到着早々、原稿泥棒に狙われたり、成り行きで死体隠しを手伝うはめになったりという話が省いてあるんです。なので、「この人やけにこういう局面で落ち着いてるなあ……」という引っかかりを覚えることはなく、途中で彼が警察から疑われても、それほどは心配しないでいられるんですね。
コミック版の脚色でヒットだったのは、チムニーズ館の子供達! 長女のバンドルことレディ・アイリーン(ただ若いというだけで何歳だとも書かれていませんが、彼女が主役を張る『七つの時計』がこの4年後だという設定ですから、ここではまだ10代でしょうね)の下に、ダルシーとデイジーというとんでもない(笑)妹達がいるんです。この2人、12歳と10歳くらいということになってるんですが、コミック版では明らかに双子。自分ちの中で殺人が起ころうが陰謀が起ころうが全く平気、というより大喜び。小説の通りにそのまま描くと、大人達が眉間に皺寄せてる場面ばっかりになりそうなストーリーを、このおちびさん達がうまい具合にほんわかさせてくれてます。
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