手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
アガサ・クリスティー, 榛野 なな恵
チムニーズ館の秘密
最寄の書店の棚を見ていたら、横溝正史『悪魔の手毬唄』のマンガ化作品が出ているのを見かけました。作画は長尾文子。手にとって開いてみたら……ううーん、緻密な画風で、小説の記述にも非常に忠実でしたけれども、個人的好みとしては、大胆な脚色や省略が施されているJET作品のほうがやっぱりいいなあと思ってしまったのでした。印象だけで言ってしまいますが、一方が「お仕事」であるのに対して、もう一方は「原作への愛」、そのくらい違いがある気がしてしまうんです。
とか何とか思いながらぶらつくうちに、今度は翻訳ミステリのマンガ化作品を発見いたしました。
えーっ、クリスティー? しかも『チムニーズ館の秘密』だって。これはまた結構渋い選択で……ん? これ1編じゃない?
『忘られぬ死』と『ゼロ時間へ』も入って計3編のコミックス。わー、ポアロもミス・マープルもトミー&タペンスも出てこないノンシリーズ作品だけで来るとは、なかなかやりますねえ……と感心しつつも一抹の不安が。
これって、3作とも長編なんですが。それが全部入ってコミックス1冊?
読んでみたら、当たり前の話ですが、どれも思いっきりダイジェストしてありました。ここまで大胆に刈り込んであると、却って感嘆させられます。よくもこうすっきりまとめましたねえ、それも本筋は損ねることなしに。巧いなあ!
……とはいうものの、やはり味わいがだいぶ減少しているのは否定できない事実ですね。どうしても駆け足になってしまうので、小説とは読んでる最中のテンポがまるで違ってしまうんです。3作とも、途中は謎の行き着く先が判らずにわくわくし、やがて「もしかしたら……」とはらはらさせられ、そしてクライマックスであっと驚かされる、そんな王道ミステリなので。クリスティーって、読者をミスリードするレトリックが憎ったらしいほど巧みな作家なんですよ。『忘られぬ死』なんか特にそう。意外な真相に驚いて序盤のページへ戻ったら、確かにそう書いてある……でも初読時には全然正反対の印象を持つように、計算し尽くして書かれてるんですよねえ……この伏線の見事さは太刀打ちできる人はいないと思います。通俗の何のといわれても、やっぱり彼女こそがミステリの女王。
という、どんでん返しの醍醐味が、このコミックスでは大幅に薄まってしまっているのが残念至極。絵柄はクリスティー作品にとてもよく合っていると思うだけに……この作者に、短編とか、或いはコミックス1冊で長編ひとつとか、そういうテンポでクリスティーのマンガ化をやって貰えたらなあ。
ここで題材になってる長編3作、いい機会だから再読して近いうち記事にしようかと思います。
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