手当たり次第の読書日記

新旧は全くお構いなく、読んだ本・好きな本について書いていきます。ジャンルはミステリに相当偏りつつ、児童文学やマンガ、司馬遼太郎なども混ざるでしょう。
新選組と北海道日本ハムファイターズとコンサドーレ札幌のファンブログでは断じてありません(笑)。


テーマ:
京極 夏彦
陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)
これ、前に記事にしたことがあるように思ってたんですが、してませんでしたね。
『姑獲鳥の夏』について書いたときに、それと絡めてちょこっと名前を出しただけだったんでした。
という訳で、改めて。
これの初刊行時、広告のコピーが確か「あの“夏”の衝撃が甦る」とかいうものでした。夏とは京極夏彦デビュー作『姑獲鳥の夏』を指していることは明白。ほほう、ということはあの作品に似ているというか、通じるものがあるということ? 内容が?
と思って読み始めたら。
そういう意味か……!
ええと、未読の方の興趣をそぐことになってしまったとしたら申し訳ないんですが、もう3年近く経ってる作品ということでご容赦を。前にもちょっと書きましたが、この作品って、「信用ならざる語り手」レトリックの発展形です。『姑獲鳥の夏』では事件のいわば「目撃者」がそうでしたが、今回は何と……! まさかこういうのが可能だったとはねえ。
しかもこの作品の凄いところは、ミステリのフェアプレーを通り越して、最初っから読者の前に真相を提示していること。何しろ小説の開始早々、関口巽が主要キャラのひとりについて「この人の論旨には瑕がある」と気付き、「そして、その瞬間、私は凡ての真相に到った」となるんですから。更には念の入ったことに漢字使いの巧みな京極氏、作品の鍵となるある言葉について、話者によって漢字を使い分けています。この言葉は作中で繰り返し出てくるので、読んでるうちにどうしたって「何でこの人の台詞だけ、この言葉はこの字になってるんだろう……?」と疑問を抱かずにはいない。そうすれば真相の一部はもう目の前です。
そう、一部なんですよね。誰が「信用ならざる語り手」なのか、誰が事件の「犯人」なのか。それは見当がつく。でも、なぜこの「事件」が起こることになったのか、そこまではやっぱり見抜けない。謎解きの場面では、予期していた結末を待ち受ける緊張と、想像もできなかった真相への驚愕を、両方味わうことになります。
レトリックについてだけで延々長いこと書いてしまいましたが、「あの“夏”」との共通点はまだありますね。事件の中心人物の、親との関係。
『姑獲鳥の夏』には、亡母の願いを歪んだ形で引き継いでしまった人物が登場しました。そしてここでは、父。本作の事実上の主人公は、亡父から「世界だけを渡されて、世界が動く仕組みも、動かす仕組みも、何も教わりはしなかった」にもかかわらず、心から父親を尊敬し、全てを父に倣って(というつもりで)生きてきた人物です。その自分の理解と認識に瑕があることには全く気付かないままに……。
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