2007-10-15 13:51:31

子守歌 (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA

reading


日中がどんなにハードな1日でも、


1日の終わりには、リーディングの時間があって、


ようやく沈みかけた太陽の光を浴びながら、自然賛歌の詩を聴くと、


ああ、やっぱり、アラスカまでやって来て、この荷物担いできてよかったな、と思いながら眠りにつけるのだった。




Learn strength from rocks and wisdom from pines;


the wind can teach you many songs, the starlight sky can be your dreams, the rushing river can be your lullaby.


There is so much to learn and we use our time so quickly. Stand alone and quiet for a moment- until it becomes day.


Seek to listen and to hear; strive to watch and to see.


Wait for wisdom, remember beauty. Feel always the joy of living.


-- Dean Kwansy





AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2007-10-13 22:37:18

道を切り開くのは・・・簡単じゃない(NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA


mapread


(地図読みの章、前回 よりの続き)



弱音を吐いた数日後、私はみごと復活し、メンバーとともに、「どこにいくかは自分で決める」この方式を楽しんでいた。(ははは、立ち直り早い。)


慣れてみれば、こんなに楽しいことはない。目の前全部が道なのだ。どこを通ったって、誰にも文句は言われない。間違った場所を通れば、苦労するのは自分だけれど。


「道がない」自由を知ってしまうと、地球が広がる。どこだって、地図さえきちんと読めれば、私は迷わず進めるのだ。アラスカには、道路と呼べるものはほんの数本しかないけれど、そこから先にだって、私は、どこにだって、進んでいけるじゃん。すごい!


と、我々が自信を深めていくのと反比例するように、最初は先頭に立っていたインストラクターは、徐々に存在感を消していった。10日も経つと、生徒とは同行せず、先に出発してしまう。(もちろん、そのための危機管理は、イヤというほどに行っているけれど。この話は長いので、ここでは省略)


代わりに、生徒が交代で、その日のリーダー、LOD(Leader Of the Day・表の呼び方)(Loser of the Day・裏での呼び方。)となって、みんなを取りまとめる。その日一緒となったメンバー4人で、知恵を出し合い、一番歩きやすくて、迷わなさそうで、遠回りにならなそうな行路を決めていく。



そう、山歩き超初心者の人が、10日後に、道なき場所を、自分でナビゲートできるようになっている。自分が地図読みに自信をもてたのは嬉しかったが、それよりも、超初心者を、短期間でここまで育て上げる、NOLSのプログラムのありかたに、舌を巻いた。


***


ところで。


「アラスカのツンドラを歩く」って、どんなイメージ?



tundra


広い大地を、ムースやカリブーを地平線に探しながら、わすれな草やブルーベリーを足下に、氷河を遠くの山に見て歩く、こんな桃源郷??




ブーーーーー。

 ブーーーーーー。


甘いね。


地球温暖化、恐るべし。

50年前にはツンドラ地帯だった(地図上では、ツンドラとなっている)この場所は、今は、こう。



schwack

背の高さ以上ある、ウイロー。藪。藪。藪。草むらと化していた。


ふっふっふ。現実は、厳しいのだ。道を開いていくというのは、この、どこにも進んでいけそうもない、密集した藪のなかへ、意を決して突撃していく、ということなのだ。せっかく新調した、patagoniaのウールのシャツが、枝にひっかかりすぎて、ボロボロになるほどに、厳しい道なのだ。


自由とは、イバラの道だ。

これは、何かの比喩じゃなくて、人生論を述べているわけではなくて、本当に、イバラなのだよ。



それでも何だか、この藪漕ぎ、ブッシュワッキングが嫌いじゃなかったのは、この憎らしい草むらが突如消え、



moose


こうやって、桃源郷が現れるから、なんだな。





AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2007-10-13 16:49:05

道は切り開くものなのだ (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA

maptalk



来週のレース に向けて、奥多摩通い続く。


奥多摩は、楽だなー。トレイルはきちんと整備されていて、道標も、至る所についている。目指す山の名前さえ知っていれば、地図いらないじゃん。


そう、今まで、私にとっての「山」というのは、すでに存在する、トレイルを歩くことだった。アラスカで、あれを経験するまでは。

***


コース2日目。


「では、今日は、5マイル先の、Yanert川と、モンタナ・クリークが合流している地点でキャンプしましょう。今日からは、生徒4人と、インストラクター1人の、5人1チームになります。3つのチームに分かれて、10分ずつ時間をおいて、各自で考えながら歩いてください。15人が一緒に歩かないのは、自然への負担が大きすぎるからと、チームとして大きすぎて、意見がまとまらなくなるからです。では、僕のグループが先にいきます。キャンプ場で待ってますね。」


と、インストラクターのロブは、にっこりと微笑んだ。昨日、道路から最初の2マイルは、「ハイキング道」が存在していたが、ここから先は、ただの川と崖と藪しかない。


最初のグループが出発して10分、次のグループが出発して10分、彼らが完全に姿を消すのを待って、私たち最後のグループも、出発だ。


出発だ、といっても、何しろ道がない。ええっと、どこに?私たちはどっちに進むの?と、訝しがる我々生徒たちに、インストラクター・クリスチャンは、おもむろに、USGS (United States geological Survey)の地図を取り出す。


「等高線って知ってる?この地図は、100FTごとに線が引いてある。この、線が込んでいるところが、崖ね。これがリッジ(尾根)で、こう、▽になっている部分が谷でしょ。この形がサドル。ここがピーク。このピークは、実際にはどの山か分かる?」


と、マップリーディングが実践で始まる。生徒は、地図と、目の前の地形を照らし合わせながら、彼女の説明に必死についていく。


「今日のX(エックス)にいくためには、川沿いに進むのが一番いいよね。右岸?左岸?どっちをいく? 徒渉(川を渡ること)はイヤだから、このまま右岸を行きたい? でも、ほら、このままいくと、すぐに崖でしょ。ちょっと、荷物をおいて、スカウト(下見)しに行くのもいいかもしれない」


基本的に、インストラクターは、答えを言わない。地図を見て、ヒントを出し、生徒たちに考えさせ、何故その選択をしたか、理由を聞く。それが、危険すぎない場合は、遠回りであっても、ちょっと面倒くさいルートであっても、生徒の意見を尊重して、そのまま進む。


が、一方の生徒側は、ほぼ初心者だ。多少の山歩き経験がある私だって、そこまで地図読みに長けているわけではない。(だって普通は、トレイルを歩いているんだから!)一緒のメンバーには、「出発3日前に靴を買いました。キャンプはじめてなの~」という、都会っ子お嬢様もいる。


そんな我々が、このアラスカの巨大な原野にほっぽり出され、地図を渡されたからといって、最短のルートを選べるわけはなく、こっちに進んでは引き返し、あっちに進んでは引き返し、と、案の定、道歩きは難航する。


時に現れる、「トレイルらしきもの」は、ムースやグリズリーがつけたゲームトレイルで、これらは、必ず、水場へと導かれる。とはいえ、原野初日の我々がそれを理解できるはずもなく、歩くのに100倍ラクチンなこのトレイルを選んでは、Xから遠ざかっていく。




bushwack


ああ、慣れない110L・30キロのバックパックが重い。


雨が降ってきて寒い。


今日のお昼ご飯は、とっくの昔に食べ尽くした。


背の高さもある藪をかき分け歩き続けるのに疲れてきた。


ケリーが、履き慣れない靴で足が痛いと唸っている。


が、歩いても歩いても、景色は全然変わらない。


アラスカの夏は夜がこないから暗くはならないけれど、私たち、そういえば、朝から、ちょっと歩きすぎじゃない?と、時計を見ると、すでに夜8時。10時間以上歩いている。


5人の他、周囲には、誰もいない。何もない。


Xは、辿り着かないといけない、そのXは、いったい、どこなんだろう?


冷たい雨粒が、心細さを呼び起こす。


「あと3つ、小川を渡ったところがゴールっていうけれど、もしその川が枯れていて、見逃したとしたら?私たちがここだと思っている今の場所は、絶対に合っている?」と、最年長48歳の、ケニーが静かにインストラクターに質問する。


「絶対とはいえなけえど、私が地図を読む限り、今いるのは、このあたり。あと1マイルもないから、1時間も歩けばつくはずよ。万が一遭難した場合?大丈夫。私たちは、ちゃんと、テントと、フライと、燃料を、この5人の誰かが持っていることを確認したでしょう?もし、明日の昼12時までに、Xに行かなかった場合は、他のグループが、私たちを探しに来るから。さあ、5分休んで、行きましょう」



翌日の昼12時・・・!?思わず顔を見合わせた。あと15時間もあるじゃん!全員が心の中で思ったはずだ。こんな、寒くて疲れてひもじくて心細い思いをするために、高いお金払ったんじゃない!。NOLS恐るべし。こんなの、ハードコアすぎじゃないか。


それでも、その場所にいつまでも座っているわけにはいかないので、マメのできて歩きにくそうなケリーの荷物を他の人で分担し、景気づけにディズニーメドレーを歌いながら、目指す(と信じている)方向へ、やけっぱちで歩きつづけた。




結局、インストラクターの意見は正しくて、きちんと1時間後に、待ち合わせXポイントへ到着。遠くにテントが見え、みんなの「ヤッホー」(の英語版)という声が聞こえたときは、心底ほっとして、涙がでてきた。


先に到着していた、テントメイトのエヴァンが、お茶をいれてくれる。すでに、美味しそうな、チーズトルティーヤを作って、食べずに待っていてくれた。温かいお茶と彼の気持ちに、疲れがゆるゆるとほどけていく。


夜10時、やっと1日の終わりだ。でも、これから毎日、道もない、こんなハードな山歩きが、ずっとずっと続くのかと思うと、2日目にして、早く家に帰って乾いた服で蚊に刺されずに寝たいよぅ、と、テントでひとり涙する、チキンな私なのだった・・・。



(地図読みの章、終わらなくなったので、つづく)




AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2007-10-12 13:46:30

マイ箸 (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA


myhashi


マイ箸がブームらしい。テレビでやっていた。おしゃれな箸を、おしゃれな袋にくるんで、持ち歩くんだって。


***


アラスカ1ヶ月のキャンプ中、許された個人食器は、「蓋のある容器(タッパ)X1、スプーンX1、マグカップX1」。ーーー以上。不要な荷物を増やさない、不要な汚水をつくらない、ためか。ホットケーキもパスタも、全部、この容器。全部、このスプーンでこなす。


ところが、この貴重な唯一のスプーンを、1週間目にして壊してしまた。無理な力をいれたため、パッキン!、と、真ん中から真っ二つに割れたのだ。


慌てて、アウトドアのジョーカー、ダックテープでつなげてみるが、30秒しか持たない。


がーん。


あとまだ、数週間あるのに。どうしたらいいの?手、手で食べる?誰か、誰かエクストラのスプーンは持ってない!?焦る。ああ、百均ショップが恋しい。




・・・30分後。


「オハシの国の人だものー」と鼻歌交じりに作成された、この、マイ箸が、この後の私の食生活を救ってくれました。この、反り返ってささくれ立った、不恰好な箸が、文化的な食生活に、貢献してくれました。




野外生活で学んだ大きなひとつは、

「ある物は大切に。壊れたら直して使え。または、知恵を使って、自分で作り出せ」、だ。


「買う」以外の方法を考えるようになったのは、本当に、私にとって、大きな変化。

いいね!した人  |  コメント(3)  |  リブログ(0)
2007-10-12 13:00:06

青空授業 (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA

chris


自分の、いちばん好きな場所、落ち着く場所、または、今住んでいる場所を、脳裏に思い浮かべてください。



・そこでは、どこから水がやってきますか?


・その水の質はどうですか?


・そこでは、人間の排泄物はどこへいきますか?


・北はどちらの方角ですか?


・夜は、どんな音を聞きますか?


・そこからみえる植物の名を5種類以上挙げてください。







campalaska


では、今、このアラスカの原野で、同じ質問を投げかけます。答えは、どう?

あなたの好きな場所と、今住んでいる場所と、このアラスカと、何が同じで、何が違いますか?


***


NOLSは、現代のヒッピーか。


インストラクターは、「正しいウンコのしかた」を教え、理想的なリーダー像、の授業を行ったその後に、こんな時間をも、作ってくれる。ただし、回答は求めず、各自の気づきに任せるだけなので、生徒たちは、勝手に考え、ノートに書き込む。


いつもは、授業後、にぎやかにゲームを始める仲間たちも、この質問の後は、誰も口を聞かず、10分以上、ただただ、ツンドラの大地に身を任せていた。


皆、何を考えていたんだろう?



***


だから、


だから、東京に戻ってきて、何かボタンを掛け違えているような、気がしてしまうのか。今までの「当たり前」が、なんだか、「当たり前」ではなくなってしまったような。



風の音と、蚊の羽音と、隣の寝袋のイビキしか聞こえなかった、あの時間が、懐かしい。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2007-10-09 14:30:29

トイレットペーパー不要の1ヶ月 (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA

TP


「バラの花びらは、

詩人にとっては美しく、

虫にとっては食べ物で、

クジラにとっては意味なきもの」

マチウ・リカール



では、この、丸い河原の石は?


河原の石は、

遊びにきた親子にとっては投げる対象、

地質学者にとっては研究の対象で、


自然にインパクトなくキャンプする我々NOLSの生徒にとっては、

お尻に優しいトイレットペーパー。



***


この学校のキャンプでは、基本的にトイレットペーパー使用が禁止されている。どうしても必要なら、「全部自分で持ち帰り」を条件として持たせてくれるが、使わない、が原則。


ペーパーが自然に還るのには、あまりに長い時間がかかるし、埋めても動物がすぐに見つけて掘り出してしまう。焚き火も自然へのインパクト大きいのでよろしくないから、燃やせるわけでもない。紙の利用は、自然に優しくない、というのが、この根拠だ。(→ www.lnt.org  )



これを読んでいる文明社会に住む文明人の方々は、「えっっ、トイレットペーパーを使わない?何言ってるの?」と反応しているであろうし、野蛮人扱いされそうでイヤなので予め断っておくが、


最初に自分がこの話を聞いたときも、「ええええええええっっっっっっっっっっっっっっっ。無理、無理、無理!!それはいくら何でも、ハードコアすぎでしょう。」と拒絶反応を示した。


が、実際のところ、埋めるのも、燃やすのも禁じられている以上、使用済みトイレットペーパーを持ち歩くしか方法はなく、1ヶ月分ものゴミを持ち歩くのは、どう考えてもナンセンスなので、腹をくくるしかなかったのだ。




というわけで、初日にみっちり行われた、「正しいウンコのしかた」授業。


howtoshit

1.まず、水場とキャンプ場から、200FT以上離れましょう。


2.ここはクマのいる場所なので、ひとりで行ってはいけません。4人以上で、連れだっていくようにしてください。そう、連れウンコです。行きたくなったら、周りに声をかけること。夜中、トイレで目が覚めても、ひとりで行ってはいけません。クマに襲われたいですか?みんな仲間なのだから、これは助け合いです。


3.いい場所を決めましょう。決めたら、シャベルで、キャットホールを掘ります。そう、猫は、正しいやり方をすでに知っているのです。穴の深さは、6-8インチくらい。


4.この穴目がけて、用を足しましょう。


5.お尻を拭くのは、自然の恵みを利用しましょう。石、枝、松ぼっくり、苔、葉っぱ、雪。まわりを見渡せば、使える物はいろいろあります。世界の人口の半分は、トイレットペーパーなんて使っていないのですよ。


5.よくコンポストされるように、枝で十分にかき回し(この時点では、シャベルは使ってはいけません)、土をかぶせ、何もなかったかのように、地面をきれいに戻します。


6.サニタイザーで、きちんと手を洗いましょう。石けんを使う場合は、水場からやっぱり200FT以上離れるように。



***


驚いたことに、生徒全員が・・・、何でもこい!な男の子から、キャンプなんてほとんど初めて、という21歳のカワイイ女の子まで、嫌がらず、楽しそうに、このトイレ・システムを、すんなりと受け入れた。


最初の3日間、食事の後は、「何がトイレットペーパーに最適か」という議論が盛り上がっていた。人によって、良いと感じられる natural toilet paper は違うので、議論は白熱する。


授業中、天気についてのクイズ大会が開かれたときには、「ステアライズ(煮沸消毒)した、スムーズな石」が、景品として出されていた。


トイレ行く人ー!というかけ声は、数日後には、「D-train出発しまーす」という符号(D=dump)に入れ替わった。「この電車には切符はいらない。乗りたい人は誰でも乗れる~。シュッポッポー」(・・・ゴスペルに、こんな歌あったよね?)と、歌いながらトイレへでかける楽しい時間となっていた。



・・・と、思い返してみると、全然イヤな記憶になっていないのだ。みんなが、楽しんで、積極的に受け入れていた。そう、一度腹をくくってみれば、ツンドラの景色の中でのトイレというのは、意外にも快適で、ゴミも出ず、河原の石は、とてもお尻にも優しいのであった。


文明社会にいてこういう話をすると、どうしても信じられないけれど、実際にあの場所にいくと、大丈夫なもの。


こちらの世界の常識は、あちらの世界の非常識。



日本ではあまり「トイレのない場所」というのはないけれど、そんな機会が訪れたら、腹をくくって、ぜひ、試してみてください。


自然にローインパクトなキャンプを!


Leave No Trace トレーナーより。



Kathleen Meyer
How to Shit in the Woods
いいね!した人  |  コメント(3)  |  リブログ(0)
2007-10-06 00:05:26

チュガッチ家族に教わるピザ作り(NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA


chugachfamily


「じいさんや、このNOLSの子供たちが、ピザの作り方を教えて欲しい、っていうんだよ」


「そうかいそうかい。彼らは頑張って旅してるようじゃないか。じゃあ、チュガッチ・ファミリー秘伝のピザのつくりかたを、教えてやるかいね。トマトソースと、ホワイトソース、両方つくろうじゃないか」


***


インストラクターは、我々生徒に、テントのはりかた、ロープワーク、地図の読み方、クマの生態から、ファーストエイド、自然と調和する方法まで・・・、毎日毎日、いろんな方法を駆使して、「アラスカのウィルダネスで、自信をもって旅する方法」を教えてくれる。


この日は、飛行機の補給物資のなかに、密かに紛れ込ませていたという、緑のカツラまで使って、スキット(寸劇形式)で、バックカントリー・グルメ・クッキング・スクールが行われた。教室は、そう、アラスカの大自然のまっただなか。


「パール(娘)や、イースト菌はどれだい?」

「はい、これよ、おばあちゃん」

「おお、ありがとう。イースト菌は生き物だからね、増やすには、食べ物が必要なんだよ。砂糖を用意しよう。それから、温かくしてあげないと。そう、このくらいのぬるま湯がいいね」


と、イースト菌の使い方を完璧にマスターさせる。



野外ゆえ、使える調理器具は限られている。計量機器なんてないので、すべては「感触」。ドー(パン生地)の発酵は、ジャケットの下にいれ体温を使う。生地を延ばすのは、フライパンを逆さにした台に、ネルジンの水筒。チーズは、スピチュラ(フライ返し)でカットする。


と、相当野蛮な方法なのだが、



pizza


ああ、何故だか、あまりにも美味しい、ピザが完成してしまうのだ。



小麦粉屋の娘として育ちながら、何とも恥ずかしい限りだが、今までの人生、ピザは「電話してオーダーするもの」であり、生地をつくるなんて、考えたこともなかった。イースト菌って、なんじゃい、ってなくらに無知だった。


そういえば、アラスカに来て、家や家具をはじめ、何度、「ああ、買う物じゃなくて作るものなんだ!」という驚きを味わっただろう。


そして今回、人生三十数年にして初めて、キッチンでなく、アラスカの山奥で、私は料理の基礎を習ってきたのだった。



<野蛮なピザをつくってみたくなった人はこの本↓>


Claudia Pearson, Claudia Lindholm, Mike Clelland
Nols Cookery (National Outdoor Leadership School)

いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)
2007-10-05 23:33:50

野生の恵みに頼る(NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA

blueberry


食事の話はいくらでも続けられるなー。食欲は、人間の三大欲求のひとつだからか。単に私が食いしん坊なだけか。



いくら考えられた食糧をもっているとはいえ、絶対的に不足するものがある。


新鮮な野菜・果物。


ドライ・オニオンを水で戻す度に、ビタミン錠剤を飲む度に、メンバーと会話したものだ。

「町に帰ったら、超~新鮮なサラダを、思い切り食べたいー」「いや、パリっとしたレタスが挟んであるハンバーガーじゃない?」



が、その夢は、町に戻る前に、少しだけ叶った。


フィールドにでて2週間すぎた、7月半ば。ようやく、ブルーベリーが実をつけはじめてきた。


まだシーズン初旬で、実は小さく、酸っぱかったけれど、ブルーベリー・フィールドをみつけると(それは、だいたいにおいて、ツンドラの南斜面だった)、背負っているバックパックを放り投げ、心ゆくまで、その酸っぱさを味わった。食べきれない分は、水筒にいれてキャンプ地まで持って帰り、パンケーキに投入した。


ブルーベリーは、単調な食生活が続く我々にとって、救世主のような存在だった。


そう、7月、私の体内のビタミンCは、日本からもってきた錠剤と、酸っぱいブルーベリーによってのみ、形成されていたのだ。




そしてやっぱり、町に戻り、1ヶ月ぶりに口にした、バナナとオレンジと人参の、あの口にいれた瞬間のジューシーな感触と喜びは、あまりに衝撃的だったことも、加えておこう。



berrypicking

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2007-10-04 23:04:33

週に一度のハレの日は(NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA


resupply


238キロ ÷ 15人 = 一人あたり16キロ の食糧は、一度には持って行けない。他に、テントやら寝袋やらストーブやら鍋やら防寒着やら教科書やら救急セットやら水やら、があって、すでに荷物は110Lのバックパックいっぱいなのだ。持って行けるのは、最初の1週間分。


で、週に一度、ブッシュパイロットがやって来て、次の1週間分の食糧と燃料を補給してくれる。


与えられる食糧は、毎日メニューが決まっているわけではない。3人一組に対し、1週間分の材料がまとめて渡されるので、その袋の中身をみて、何をいつ、どう調理して食べるか、1週間を計画的に過ごさないといけないのだ。


ところが、1日中動いているせいで、24時間お腹を空かせている私たち。食欲のままに食べ続けてしまうと、最後の1,2日は、めぼしい食べ物がなくなってしまう。


残っているのは、ドライオニオンと、アップルサイダーと、乾燥ビーンズが一袋、というような、絶望的な組み合わせで、あと1日を過ごさないといけないグループ。彼らは、他のグループから余った小麦粉をかき集めてつくった、味のないトルティーヤを囓り、ピーナツバターの容器に直接スプーンを突っ込みながら、この補給日を、飛行機の音がするのを、首を長くして待つ。


新しい食糧と、大リーグの最新の試合結果、そしてメンバーでない人間と話せる唯一の機会であるこの補給日は、正月と盆が一緒にやってきたくらいのハレの日で、パイロットは、まさにヒーローだった。「次の補給日re-rationまで、あと何日」、が、日付を数える正しい方法だった。


大歓迎を受け迎え入れられたパイロットから、世間と文明の臭いをかぎ終わると、早速、配給物資の仕分けにとりかかる。お腹空かせた人間の集まりゆえ、食べ物への不正は争いを招く原因だ。みんなが見守るなか、当番が慎重に、物資を仕分けする。


食糧が大量にあるこの日は、久々のごちそうだ。チーズクラッカー、ドライカレーライス、チョコレートブラウニーの、豪華3コースディナーを作り、今度の一週間は、もっと計画的な食糧計画をたてよう、と、誓うのだった。




・・・こんな生活を1ヶ月送った後遺症。

町に戻ってきて、お金を出せばどこでも何でもいつでも温かい食べ物が手に入る、飢えの心配をしなくていい、という状態に、なかなか慣れない。本気でお腹空くことがないこの状態を幸せに、でも、ちょっぴり、あの飢餓感を懐かしく、思う今。


(ごはんの章、まだまだつづく)




*NOLS出張スライドショー可能です。ご希望の方はご連絡を。

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2007-10-03 22:51:10

238キロのゴハン (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA


ration room


あなたは、キャンプにいくとき、何をもっていく?

米?カレールー?インスタントラーメン? フリーズドライのシチュー?


***


今回、「30キロの荷物を背負って日々7ー8キロ歩く15人が、20日間で必要な食糧」は、合計で238キロ(+スパイス一式+燃料沢山)だった。


1ヶ月間、腐らせず、健康を崩さない栄養素(炭水化物と、タンパク質と、脂肪と、その適度な割合)を満たし、財布に優しく(フリーズドライは高いので却下)、それぞれのメンバーの好き嫌いを考慮し、毎日の気まぐれな「今日は何を食べたいか、という気分」を考慮し、飽きないこと、が考慮された結果、



バター、粉ミルク、ココア、茶、コーヒー、アップルサイダー、ピーナツ、レーズン、アーモンド、カシュー、松の実、アニマルクラッカー、ドライフルーツ・ミックス、大豆、クラッカー、チョコレート、プリッチェル、砂糖、小麦粉、全粒粉、コーンミール、オートミール、グリッツ、グレープナッツ、米、ビーンズ、クスクス、ベーグル、ハマス、ハッシュブラウン、グラノラ、ポテトパール、チェダーチーズ、パスタ、パルメザンチーズ、ピーナツバター、スパイスケーキ、パンケーキ、ブラウニー、乾燥野菜・・・



といった、私から見たら、「瓶や箱によく書いてある原材料」または「未知の物体」が、食糧として選ばれていた。



小麦粉なんて、今まで使ったことのない(ほどに料理してない、というツッコミは置いておき)私が、しかも、ニッポン人の私が、この、訳のわからない、洋物の原材料で、1ヶ月を暮らすのか!?どう料理して!?と、ドキドキしたのだが、


人間、窮地に立たされれば・・・お腹がすけば、知恵を絞って、何とかするものなのです。ふふふ。


隣で、やっぱり途方にくれていた20歳のカワイイ大学生、マイケル君も、1ヶ月後には、この材料から、美味しい料理を生み出してくれるようになっているのです。ふふふふふ。






そうそう。これだけの数と量の食材は、1ポンドずつ小分けしてビニール袋にいれていくのだが、数が数なので、いちいち、中身の名前は書かない。


ビニール袋に入った白い粉の中身が、小麦粉か、パンケーキか、ミルクか、ポテトか、チーズか、を推理するのは、初心者には至難の技。触覚、嗅覚、視覚、を駆使して、中身を正確に判断できるようになるまでには、長い道のりが待っていた。


すなわち、この日から数日間は、コーヒーの中に、ミルクでなくマッシュポテトを入れ、この世のものとは思えない味を生み出したり、ココアだと思いこんでチョコレートブラウニーを飲んでみたり、ケーキの元だと思いこんで、アップルサイダー・ケーキという、新しいデザートを生み出したりする、(でも、お腹が空いているし、ゴミ持ち帰りなので、我慢して全部食べる・・・)という、体を張った、イタイ失敗を、何度も重ねていくのだ。


(ごはんの章、つづく)



*NOLSのスライドショーします。お気軽にご連絡を。

いいね!した人  |  コメント(3)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。