2007-12-25 18:57:38

来年につなげる

テーマ:NOLS ALASKA

Self-Leadership Tasks


Take respnsibility for yourself.


Take responsibiliy for your own learning.


Risk saying wht you think.


Own what you say.


If it needs doing, do it.


If you don't understand, ask.


Enjoy your surroundings.


Maintain a sense of humor.


Help others learn and succeed.


Be kind.


Push yourself.


Admit your mistakes.


If it is not safe for the group, don't do it.


Participate and observe.


Learn from your experiences.


***


ふむー、鼻息荒い、日経Associeあたりの記事みたいだけれど、これはNOLSの教科書から引っ張ってきた文章で。


と同時に、2008年の手帳、最初のページに記した、来年の自分の指標です。



***


「私はこれからどこへ行けばいいの?」

「それは、どこへ行きたいかで違うさ」


ルイス・キャロル, Lewis Carroll
ふしぎの国のアリス ― Alice's adventures in Wonderland 【講談社英語文庫】





AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2007-12-25 13:25:04

Likelihood X Consequence

テーマ:NOLS ALASKA

Likelihood

NOLSでは、見渡す限りの青空の下で、リスクマネージメントの授業も行われる。そう、ここは、アウトドア学校であると同時に、リーダー養成学校でもあるのだ。山を登る、とか、嵐に遭う、とか、原野で生きるとか、机上でなく、生の体験からこそ、身につくことはある、という。


判断を間違えれば、それは同時に、「崖から落ちてビバークする」「びしょ濡れになる」「眠れない」「体調不良になる」「怪我をする」と、自分が不快・危険な目にあうことを意味するから、イヤでも真剣にならざるを得ないのだ。


***

物事へのリスクは、上の4つの枠で捉える。

likelihood = 可能性

consequence = 困る結果 


たとえば、

HIGH L X LOW C ... 天気の悪化

LOW L X LOW C .... 足首の高さまでしかない川で溺れる

HIGH L X HIGH C ...夏の山の中で低体温症になる

LOW L X HIGH C ... 熊に襲われる



もう少し詳しい例を挙げると


「あんまり起こらないとは思うけど(LOW L)、もしそれが起こったら、超やばい事態だ(HIGH C)」というのに、


「添乗で海外にいくときに、パスポートを忘れて成田に向かう」というのがある。うぅぅ。考えただるだけでも肝が冷える。


以前いた旅行会社では、でも、それは可能性ゼロではないから、と、対策を取っていた。見送りヘルプ社員は、必ずパスポート持参で、空港に行くのだ。そして実際、同僚は、先輩添乗員の代わりに、1泊3日で、カナダに向かったことがある。着の身着のまま。



そう、肝が冷えるリスクは、減らしていかないといけなくて、減らすには、以下の4つの方法がある。


a) avoid... 回避する(常に4人行動で声を出し、熊を近づけない)

b) mitigate... 緩和する (岩場は、落石を避けるためにヘルメットを被る)

c) retain.... そのままやりつづける 

d) transfer... 委譲する (難しいデナリに登るので技術あるガイドを雇う)




昼間のハイキングだけど、日が暮れても困らないよう、一応ヘッドランプ(と、正しいサイズの換えの電池)を持って行く、とか、


毎日続く忘年会、二日酔いを緩和するために、予め牛乳飲んでから参加する、とか、


朝5時起きしてでかける仕事は、「寝坊」を a) avoid するために、目覚まし5個かける、とか、いや、いっそ寝ずにいる、とか。 いや、b)mitigate で、4時半に起きて、1本早い電車に乗る、電車が少しくらい遅れても、集合時間に間に合うように、とか。


まあ普段から、意識せずとも、皆やっていることなのだけれど。



***


なんで、こんな話が出てくるか、というと、自分の失敗談を書きとめておきたいからだ。

戒め戒め。


先週、スライドショーのために、googleのプレゼンテーション・ツールを使って、プレゼン資料(写真100枚なので重たい。googleのサーバに保存されている)を用意した。家の最新パソコンと高速ネット環境では、何の問題もなく、作れた資料だ。


まさか、そのファイルが、当日、開いてくれないリスクがあろうとは・・・、作っているときに、一瞬だけ考えたけど、コンピュータの苦手意識と、LOW-L (きっとおこらないだろう)を信じて・・・、面倒くさがっただけ、なのだけれど・・・、そのまま、何の対策も取らずに当日を迎えてしまった。


で、案の定、会場で開けないその資料。サイズが重すぎて、すぐにパソコンが固まってしまう。書面に原稿を落としておく、とか、他のメディアにコピーを落としてもってくる、というリスクマネージメントをしなかった私は、目の前で固まりつづけるパソコンに、自分の頭も、フリーズだ。



ふーむ、写真なしで、話だけで2時間語るのか・・・と、覚悟を決めた瞬間に、まさかの天使が現れ、その状況を救ってくれた。無事復活した資料で、Leave No Traceの話を、来てくださった19名の方々にすることができたのだけれど、


正直、3日くらい、寿命が縮まった。


***


来年の課題: 好ましくない事態の発生に慌てない。理想の「オプションA」がうまくいかないこともある。「オプションB」「オプションC」を考えておくこと!





AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2007-12-12 13:58:11

11000キロを歩いた人が

テーマ:NOLS ALASKA

'Whether it's at home or on the trail, living a simple life lets me fous on the things that really matter -- family, health, God and environment.'


Andrew Skurka

--the first person to complete the 6,875-mile Great Western Loop, by walking an average of 33 miles per day for 208 straight days




6875マイルって・・・11000キロかー。

世の中には、歩くの好きな人って、いるんだなー。


じゃなくて。


街で暮らしていると、情報もモノも人間も楽しいことも、あまりにも溢れすぎていて、

何が大切だったのか、って本質が、見えづらくなってくる。

徐々に徐々に。


今、アラスカで毎日書いていたノートを見直すと、思い出す。


山で感じていたあの「シンプルであること」の美しさを、

そう、

街に戻っても実践しよう、って思ったんだ。



シンプルな美しさ、が、うまく伝わるといいんだけど。18日。






AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2007-12-11 20:32:28

深刻なことは陽気に伝えるべきなんだ

テーマ:NOLS ALASKA

matanusuka


「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ。重いものを背負いながらタップを踏むように」


伊坂 幸太郎
重力ピエロ (新潮文庫)

***



一歩踏み込んだところにあるアラスカの景色というのは、「ああ、私この惑星に生きていてよかったな」と毎度毎度、ため息をつかせてくれて、


だから、誰かにも教えたくて一緒に連れて行きたくてこの仕事をして、


だから、この自然がこの自然のままでずっとずっとあるために自分がすべきことを考えて、


だから、


来週のスライドショーは 、今の私にとって、必要な階段なのです。




いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2007-12-11 18:43:03

約束は守らにゃならん

テーマ:NOLS ALASKA

せっかく出かけた、あったかい南の国で、あろうことか膝を故障して痛々しく戻ってきた東京は、もうせわしない師走モード全開だった。


2008年の手帳は買った?

2007年のまとめは?


***


NOLSの学校では、1ヶ月、街の子にとってはハードコアな野外生活を過ごさせ、最後の3日間で、「この1ヶ月間考えたことを、街に戻ってどう生かしていくか」という授業が行われる。


「いやー、クマに近づかれないように、連れションならぬ、4人連れウンコ、ってのも、終わってみれば楽しい体験だったね」


と、笑い話で終わらせるにはもったいない。せっかく、根幹の考え方と生き方の変化をもたらす経験値を積んだのだから、それを、今後の人生に生かしましょう、と。


で、それぞれが、「こんなことをやります。」と、目標をノートに書き留め、隣の人に宣言した。私は、ケーティに。ケーティは私に。




・なるべく公共交通機関をつかう。自転車大好きになる。

・アラスカで使い倒して小汚い、このネルジン水筒を街でも持ち歩く(ペットボトル買わない)

・今後、自分が携わる自然ツアーでは、LNTの話をきちんとする

・せっかくトレーナーになったのだから、私の周囲にいる、自然好きな人たちに、LNTを広めるために、スライドショーをする。




この目標がきちんと達成されたか、やっているのか、半年後に、互いにメールで確認をしよう、ということになっているのだ。彼女から。・・・半年後って、今月末じゃん。スライドショー、まだやってないね。



というわけで、今年中にスライドショーをしないと、2007年が終わらないのだ。今年の手帳が片付けられない。私は、律儀なのだ。


***


忘年会シーズンを無視したスケジュールは承知の上で、だから、来週、やります。


来てくださった方が入手できるのは、日本のパン教室の先生びっくりの、「体温でパン生地を発酵させる方法」その他、災害緊急時に生き延びる情報沢山と、1ヶ月人間が生きていくのに必要な持ち物リストと、一度罹病すると、なかなか完治できない「アラスカ病菌」、です。


それでもよかったら、来てください。


「LNT(Leave No Trace)を学ぶ 森のなかでウンコする方法」

■開催日時: 12月18日(火) 19:00~21:00 
■場所: 地球探検隊オフィス

http://www.expl.co.jp/event/yube/index.html#1218lnt






いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2007-12-03 13:25:45

迷わない背中

テーマ:NOLS ALASKA

alaska


荒川土手サイクリング道は、どこまでも平坦で、しかも見える景色は、のどかな工場街と河川敷の野球少年ばかりだ。山を走るのと違って、あんまり外界に気をとらわれない。というわけで、昨日は、走っている1時間59分(←はっはっはー、自慢気)、意識は自分の内へ向かい、いろいろ考えた。


「いろいろ考えた」なかで、かなり唐突だけど、


望ましきリーダーの姿、ってのがある。

ホント、唐突だけど。


リーダーには、「こっちへ行こう、ついてこい」な背中が必要だ。



で、その根拠は、またNOLSに戻るのだが。


NOLSは、どこにテントを張るべきか、という、O=アウトドア技術も教えてくれるが、同時に、L=リーダーシップを学ぶ学校でもあって、それは、毎日毎日、実践で、リーダー養成塾みたいなことをやらされる。自分のことはさておき、他の生徒に目をやれば、面白い人間観察の機会だった。




コース中の毎日というのは、「次のXポイントまで辿り着く」というのが、その日やるべきの一番大きな・・・、というか、唯一の目標だ。最初はインストラクターが、地図の見方と歩き方を教えてくれながら、先頭きって歩いてくれるのだが、徐々に、生徒に主導権が渡される。


4人1組のグループをつくり、その日のリーダーを決め、リーダーがみんなの意見をまとめつつ、1日の戦略を練って、Xまでの道のりを決めていくのだ。


といっても、Xまでは、何の道があるわけでもなく、写真のように、ただ、山と川と森とツンドラが、茫漠と広がるだけな、トホホな場所。地図とコンパスだけが頼りだ。「遠くに見えるサドル(・・・鞍部?)を超え、4マイル先にある川の合流地点から、東の支流に入り、さらに1マイル上流にいった、少し平らになっていそうな場所」Xへ向け、歩きやすそうな道を決め、辿り着かなくてはいけない。



ある日のリーダーは、普段小学3年生にアウトドアを教えているという、カリフォルニアン・エミリー(20代半ば)で、メンバーには、私が見るに、このワイルドな環境がイッパイイッパイ気味で、ちょっと神経質になっている、東海岸からやってきた、イラナ(20代半ば)がいた。


開放的で陽気な西海岸の私と、まじめで根暗な東海岸の人間だから仕方ないのよねぇ、とは、エミリーの弁だが、この二人の相性は水と油で、笑えるほどに気が合わない。小学生を率いるように、何でもすべてを自分だけで決め、1から100まで口を出すエミリーに、イラナは、イライラしてしまうのだ。


この日は、川沿いをまっすぐ歩く、という、比較的楽な行程だった。


エミリーが最初に決めたのは、いくべき方角を見失わないように、と、本当に、川岸を進むことだった。が、すぐに、全く平らなところがなくなり、気づけば、傾斜50度くらいの崖をトラバース、という、あんまり楽しくない道になっていった。


20mほど、この崖を上がれば、平らな場所にでるが、そこは、鬱蒼とした森とコケが広がっており、その藪漕ぎも、楽しくないことにかけては、崖道とイコール、という状況。


どっちもどっちだよ、という選択肢なのだが、後ろでイラナが「こんな危険な崖を選ぶなんて」とブツブツ文句を言う気配を察し、彼女の気持ちを損ねたくないエミリーは、「じゃあ、上の道を行ってみようか」と、茨の道へ入る。


あの藪こぎをしたことない人に説明するのは難しいのだけれど、右も左も前も、木と枝が立ちふさがってて、さらに、足下は、バランス取りにくい、深くて柔らかい苔林と倒木。全然、前へ進めないほどの、ため息がでる道なのだ。


すると、下の方から、崖道を選んだ他のグループが、私たちを追い越していく。それを見たエミリーは、「やっぱり崖に戻った方が早く進める」と言い出して、また、下へと下りていく。


それを何度か繰り返し、河原と、その上の森とを、ジグザグに進む私たちは、この日の到着は、3グループのなかで、最後尾だった。しかも、リーダーなんて信じられないというイラナの不安感と、それを察して、陽気に空騒ぎするエミリーが作り出す不穏な空気に、他のメンバーはドキドキしながら、互いをなだめながら過ごしたため、妙に疲れた1日だったの。




別の日。


その日のリーダーは、大学1年生、一番の年下で、みんなから「ベイビー」呼ばわりされていた、メヨ。彼は、何においても、積極的に首をつっこむことはなかったが、タフな状況に落ち込むこともなく、常に、イージーゴーイングな姿勢を貫いていた。


この日は、「森の中を東北東に3マイル進むと川にでる」という行程だ。時間的には短いが、歩いている3マイルの間は、森で視界が遮られ、自分がどこにいるのか分からない。私がリーダーなら、かなり不安げに、地図とコンパスと首っ引き、になるような森だった。


が、彼は、「こっちだよ」と、どこからでてくる自信なのかは知らないが、何の迷いもなく、楽しげに、ズンズン歩いていく。途中、ブルーベリー畑があれば立ち止まり、川ではのんびり休憩し、さあ、行こうか、と、また地図も見ずに歩き出す。ねえ、本当にこっちで合ってるかな?と私が問えば、


「でもさ、方向が少しずれていても、ゼッタイ、この川にぶつかるから、それまでは心配ないじゃん。大丈夫だよ~」


と、満面の笑みで返してくる。


果たして、我々は、何の問題もなく、次のX地点までたどり着いた。楽しいブルーベリー・ピッキングのおまけつきで。




経験値からいえば、エミリーは、すでに、アウトドア業界で働いていて、メヨよりもずっと上だ。それでも、メヨが持っている、あの「大丈夫だから行こう」な背中は、この状況では、下手な地図読みよりも、休憩だから水飲んで、っていうような心遣いよりも、ずっと重要だった。


メンバーの誰もが分からない未知の世界を進むとき、Xはあっちだから、今いるこの道をまっすぐ行けば大丈夫、という、あのリーダーの背中が必要だ。ゴールをみつめ、迷いを捨てて、真っ直ぐに、突き進めるような、勢いと、潔さ。


***


別の日には、私もリーダーをやった。どきどきしながら。


メンバーの感想(毎晩、その日の反省会をやるのです)。


「あんまりおしゃべりじゃなくても、存在感があるってことができるんだって気づいた」

「みんなの可能性を信じて自由にやらせてくれた」

「アラスカを楽しむ時間をつくってくれてありがとう。今日が一番アラスカらしい1日だったよ」

「このまま、今の自分を信じて精進してください」


アメリカ人は褒めるのがとても上手で、私は褒められ慣れていないため、こういうコメントは、どうにも背中がくすぐったくてしかたない。


***



あ、時間切れなので空港へ向かおう。久々の成田だー。


この続きは、12/18に、(脱線すれば)お話できるかも。忘年会シーズンまっただ中ですが、どうしても「年内」に実施したので、この日程でやります。


「LNT(Leave No Trace)を学ぶ 森のなかでウンコする方法」

@地球探検隊(新宿御苑)



いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2007-11-29 16:21:46

Follow your heart

テーマ:NOLS ALASKA

reena


久々にNOLSネタ。


マウンテニアリングコースのインストラクターだったリーナは、普段はヒマラヤに登るインド人女性で、私より数歳上のお姉さん。(写真右)


英語は、ネイティブほどには流ちょうではないけれど、だからこそ、親近感と信頼感を持っていた。アメリカン・カナディアン・男性陣・白人に囲まれて、どうも微妙にアウェイ感漂う私たちは、かなり仲良くなり、氷河の上では、心身ともに辛く、何度も心折れそうになる私に、時に冗談交えながら、自分の体験談を話しながら、山の素敵さを教えてくれた。



で、この間、氷河でなく、コンクリートの上で彷徨っていた私は、ふと思いたち、彼女に相談を持ちかけた。そうしたら、氷河の上同様、単純明快、素敵なメッセージを送ってくれて、ストン、と、すべてが腑に落ちた。


そう、どうすべきかは、

そう、自分の心に、聞いてみよう。




Follow your heart!!

What does your heart say? If you really want to do it, from the bottom of your heart, the 95% of the decision is made. NO ifs and buts.


After you make up your heart, you can work towards your dream.


胸に手を当てて聞いてみてごらん。

心は何て言っている? もし・・・とか、でも・・・っていうんなら、その答えはNOだし、でも、心底それをしたいと望んでいるなら、あとはそこに向かって走っていくだけですよ!


いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2007-10-25 14:10:04

雹ふる誕生日 (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA

奥歯が痛い。

また虫歯か親知らずか、と、憂鬱な気分で歯医者にいった。


「虫歯じゃないですよ。力いれて噛みしめすぎです。気合いいれすぎじゃないですか」


・・・ふーむ。気合い?


***


さて、NOLS話まだ続く。



katy


Day17、7月18日は、Katy、24歳の誕生日。でも、この夜、こうやって、誕生祝いをするまでには、大変な1日が待っていた。こんな誕生日、一生忘れないってくらいの、大変な。




今日もまた、12キロを歩かねばならない。しかも、ルートは峡谷沿いだ。何回、徒渉が待っているのだろう、と思うと、憂鬱になる。


そう、川を渡る、というのは、楽しそうにみえて、これが全然楽しくない。アラスカの、氷河から始まる川の流れは冷たく速いので、一番気を使う箇所なのだ。まずは荷物を下ろして、一番易しく渡れそうな場所を、徹底的にスカウト(下見)する。時には、下流に1時間、上流に1時間歩くこともあるくらいに、徹底して。そしてようやく決まった、比較的安全そうなその場所も、いざ渡るときには、バックパックのベルトを外し、3人一組になって、ゆっくりゆっくり渡る。もちろん、靴は履いたまま。


時間はかかるし、気は使うし、靴のなかはびしょ濡れになって気持ち悪いし、いいことなんて全然ない。



rivercross



というわけで、朝から憂鬱になっているうえに、昨日から降り続いている雨で、服は全部湿っているし、荷物は水分含んで重たいし、もう、前回の休息日から数日経っていて、みんな、疲れもピークに達していた日だった。



そんな日にこそ、悪いことは重なる。


ようやく何本目かの川を渡り終えたその時、メンバーの一人が、バックパックの横につけていた熊スプレーを誤発射した。プシューーーーーーーーーーーー、と、嫌な音が、川の流れの音より一段高く響き渡り、あたりは刺激臭に包まれる。


逃げろっ!


熊撃退スプレーは、アラスカを旅するときは、手放してはならないお守りのような存在だ。が、唐辛子を原料とする刺激物が入っており、命には別状ないが、相当に強い匂いと、刺激があたりに充満し、目はシバシバ、喉は痛いと、人間にとっても楽しいスプレーではない。


匂いが収まるのを待って、スプレーを被ってしまった服やバックパックやらは、手分けして、川の水で全部洗う。発射してしまった彼は、すっかり意気消沈し、みんなも、ショックで、だんまりになる。


その後も、何度か道を間違えながら、夜7時、疲れ果てて、その日のキャンプ場へ到着した。


と、その瞬間、風が吹いてきて、雷が鳴り始め、そして、雨でなく、雹が降ってきた。バチバチと、パチンコ玉の大きさもあろうかという、雹が。


落雷を除けるためバックパックの上に乗り、その、不安定な30センチX80センチ四方の荷物の上で、かがみ込むように俯せになって、その雹が通り過ぎるのを待つしかなかった。


安全で快適な屋根の下に入りたい、と思ったって、周りには何もない。どんなに疲れ果てていても、自然は笑っちゃうくらいシビアに、容赦なく、疲れた体に雹を叩きつけてくる。何ができるわけでもなく、ただただ、バックパックの上で小さくなっているしかないのだ。


目の前で縮こまって雹に打たれている、誕生日ガールのKatyを見ながら、自然のあんまりの無慈悲な仕打ちと、人間の小ささに、笑うしかなかった。パチパチと雹にあたりながら、人間の、小ささと無力さに、何故か感動していた。


その雹は、結局30分降り続き、そして、雨雲は、また足早に去っていった。





rainbow


厳しい嵐もあるけど、だからこそ、見える虹がある。



疲れ果てた1日だったのに、散々だったね、と慰めた誕生日だったはずなのに。何故か今は、ニヤニヤしながら思い出す。味わおうと思ったってなかなか味わえない、相当、素敵な誕生日だったんじゃないか、と思うのだ。


あのケーキも、あの虹も、

そして、みんなからのハッピーバースディ、の歌も。





いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2007-10-19 17:54:59

キャンプといえば焚き火、は正しいか (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA

firepit2

「風呂は入れないけどさ、キャンプの後は、焚き火のスモーキーな匂いが服について、それがまたいいんじゃない?」


と、前回の記事を読んだ方から、メールをいただいた。


「キャンプ」という言葉から、連想ゲームをしたら、


1.焚き火

2.飯盒炊さん

3.酒


が、ベストスリーだろう。


うんうん、キャンプといえば、焚き火だよね。マシュマロを枝に刺して焼いて、ボテっと落として、あら、がっかり、だよね。


***


ところが、NOLSは、エコでヒッピーな学校だ。そんな、環境にダメージの大きいことは、残念なことに、そう簡単には、許してくれない。



NOLSで徹底的に教えられることのひとつが、「Leave No Trace  (LNT)なキャンプ方法」。なるべくなるべく、自然に負担かけないやり方でキャンプをしていく。


LNTには、7つの基本の掟があるのだが、そのひとつが、「Minimize campfire impact」・・・キャンプファイアは最小限に!だ。不必要な焚き火は、土壌を痛め、景観を損ない、燃やさなくていい木を使ってしまうことになる。だから、焚き火はできるだけしない。料理はストーブで行い、火を熾さなくても寒くないよう、十分な上着を持って行く。


どうしても焚き火をしないといけない場合は、河原の砂地に、小さな穴を掘って、そこをファイアピットとする。使っていい木は、腕より小さな枯れた枝のみ。木は必ず燃やしきり、灰は、川にばらまく。次の人が来ても、そこで焚き火をしたとは気づかれないように、後片付けすること。余った枝は、もちろん元に「ばらまき」戻す!


そんなピリピリと厳しい決まりごとを教わったある日、たった1度だけ、焚き火のチャンスはやってきた。完璧な河原。砂地。教えられた通りに設置した、15人が囲むにしては、ちんまりすぎるくらい小さな焚き火を、全員で、わくわくしながらつくりあげた。そう、なんだかんだいっても、皆、焚き火は大好きだからね。そして、この貴重な火で、ケニーの、49回目の誕生日ケーキをつくった。


もちろん、ダッチオーブンなんて重たいものは持って行っていないが、それでも、ケーキは作れる。蓋の上に、小さな木切れを載せ、上から加熱すればいいのです。



firepit



firepit3


ろうそくを見つめるケニーは本当に嬉しそうで、小さい焚き火ではあったけれど、何だか、実際の火以上に、暖かく感じた夜だった。(写真は暗くないけど、すでに夜10時くらい。そう、アラスカの夏に闇はない。)




ケニーについて。


今回、参加者のなかでは一番年上で、いつも落ち着いていて、スペシャル・コーンブレッドを作るのが上手で、何かというと私の相談相手になってくれた、ケニー。ニューヨークで、たくさんの部下を持って金融の仕事をするビジネスマン。友達とアコンカグアに登ったこともあるくらいのベテラン・アウトドアマン。


そんな彼が、まだNOLSに参加するのは何でなんだろう。


「NOLSはね、15年ごとにきているんだ。ティーンの頃、30代、そして今回・・・。学ぶことはいつだって沢山ある。いくつになってもね。これを機に、地域の子供たちにキャンプを教えたいんだ。そうだ、今度は、息子に参加させようかな」


アラスカで、彼の節目の日を、一緒にお祝いできて、よかった。




いいね!した人  |  コメント(5)  |  リブログ(0)
2007-10-17 18:54:05

臭い・・・匂いに関する一考察 (NOLS)

テーマ:NOLS ALASKA

whattobring


<1ヶ月に必要な服(着ているものも含めて)>


(下半身)

ソックス4ペア

雨具

ウインドパンツ

ポリプロ・長ズボン

ハイキング用短パン

下着1-2ペア


(上半身)

フリース

雨具

ウインドシャツ

ポリプロ・長袖シャツ

ポリプロ・半袖Tシャツ


(頭)

毛糸の帽子

ベースボール・キャップ

蚊除けネット


===


「これだけ?これだけですか? 着替えは?」


石ころ・トイレットペーパー問題に加え、出発前に不安だったもう一つの大きな要素は、「着替えない」(風呂に入らない)だった。風呂がない旅は初めてじゃあないが、いくらなんでも1ヶ月っていうのは、風呂好きの日本人として、女として・・・いやいや、文化的人間として、どうなんだろう?


出発前、去年参加したヨシ姉 に聞くと、

「大丈夫よー。そんな小さなことは、どうでもよくなってくるから」

と、答えにならない答え。


出発当日、インストラクターに聞くと、

「僕はねぇ、ソックスは、4ペアじゃなくて3ペアでいいと思うんだよね。人は知らないけれど、僕の場合は、一回も着替えないよ。面倒だから」

と、さらに荷物を減らされそうな答え。


全然参考にならない二人の回答で、さらに不安が増したため、石鹸は(自然への負荷が大きいので)使わないにしても、せめて川で洗濯しよう、と、こっそり、肌につく服・下着は、1ペアずつ予備を持っていった。


数百グラムの重さの負担より、清潔を取るぞ、私は。



***


1ヶ月後の結論。

洗濯も、予備の服もいらないな。


***


フロントカントリーの常識は、バックカントリーでは非常識だ。


フロントカントリーの余韻が残る・・・つまり、シャンプーと石鹸の匂いが、まだ体と服に残る、出発3日目までは、まだ、風呂に入れないことは、不快きわまりなかった。


が、日々、シャンプーの香りがなくなり、(たぶん)野生の匂いに戻るのと比例して、食べることと歩くことと寝ることで、ほぼ頭のなかは精一杯になってくると、不思議と、「きれいだ、きれいじゃない」という観点は、どうでもよくなってくる。


それよりも、今日1日、快適に生きていくためには、服が、「きれいか」じゃなくて、「乾いているか」の方が、よっぽど重要だった。


休息日に、洗濯する機会は何度かあった。が、川でピシャピシャ洗っても、石鹸が使えない以上、汚れに汚れた服が、元通りになる訳でもなく、ただの気休めにすぎない気がした。それよりも、服を濡らしてしまって、翌日までに「乾かない」状態になる方が、ずっと嫌だった。


アラスカの天気は、1日に30回くらい変わる。今、太陽がギラギラと照っていて夏のビーチのようでも、10分後には、雷雨がやってきて、寒々しく風が吹きまくる場所なのだ。そんな気まぐれな太陽を信じて、みすみす、この乾いた服を濡らすなんて、大馬鹿ものだ。


濡れた服というものは、第一に不快だし、体温がどんどん奪われて寒くなり、危険だ。


日中、川を渡って濡らした靴と靴下、雨の中を歩いて湿った服を、翌日までに、どう乾かすか、が、毎日の重要な課題だった。気まぐれな太陽に、少しでも当ててみる。夜、テントの中に干す。寝袋とマットの間に入れ、体温を使う。そうか、一番の乾燥機は、体温か。それならば、少し不快ではあっても、それを着て寝てみる。毎晩、毎晩、トライ&エラーの繰り返しで、私も皆も、「ドライ道」への階段を上がっていった。



そうして、「着替えない」生活を受け入れると、不思議なことに、蚊が、やってこなくなる。3日目まで、清潔が気になる頃までは、蚊除けネットと虫除けスプレーは、必須だったはずなのに。いつのまにか、使わなくなっていた。蚊がいないわけではないので、蚊に慣れたという以上に、多分・・・、寄ってこなくなったのだ。最初ほどには。


シャンプー、石鹸、歯磨き・・・、匂いのつくものは、クマを魅了してしまうため、テント内に入れないというのは、アラスカキャンプの基本だが。蚊も、人工の匂いが好きなのかなー。



そんなこんなで、野生の匂いに戻っていたであろう1ヶ月間の後遺症は、今、東京の人混みに混じると、くさくて我慢できない。電車のなか、エレベータのなか、全部(人工の匂いで)くさい。そして、自分自身も、パフュームが、つけられなくなってしまった。香水好きだったはずなのになー。何でだろう。


***

あんまり、こんなこと書くと、引かれてしまうので、最後に、女性らしい部分も加えておこう。


風呂には、入った。

最高に、気持ちのよい、水風呂へ。


少しだけ太陽が顔をだしていた休息日、女性全員、すっぽんぽん、全裸になって、推定水温10度以下の川に飛び込んだ。(残念ながら写真ないなー)。心臓止まりそうに、気持ちよかった。


そして、歩いている途中、小川を見つけると、水に頭をつっこんで、頭を洗ったっけ。



wash!




そうそう。

バックパッキングの旅のハイライトは、旅を終え、ひっさびさのシャワーを浴びることにこそ、あると思う。


1ヶ月ぶりの温水シャワー、シャンプー、泡立つ石鹸。

あれほど気持ちの良い瞬間は、他に、知らない。




いいね!した人  |  コメント(3)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。