青子の本棚

「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。


テーマ:
女賊/橋本 治
¥2,100
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うーん、なんとも艶かしく妖しい大人の絵本。



篠井英介丈(【丈(じょう)】とは、芸人の名前につける敬称なんですって。)の為に書かれた一人芝居の長台詞は、江戸川乱歩原作の『黒蜥蜴』。

そして、『天切り松』 シリーズの表紙絵が印象深い岡田嘉夫の絵が豪華に彩ります。



この絵、彫工、摺師の名前もきちんと入っていて、レトロな雰囲気が香る作品です。

背景のグラデーションの色使いも素敵。恋の矢

なんだか、すこしばかり時代を遡り、ワープしちゃったみたい。




『黒蜥蜴』は読んだことはないのですが、超有名な作品だから、な~んとなくは知っています。



長椅子に押し込められ誘拐される令嬢かさ早苗。

名探偵サーチ明智小五郎。

世界最大のダイヤモンド宝石白「エジプトの星」。

地下のパビリオンに飾られた剥製にされた男達。


そして、女賊とかげ「黒蜥蜴」。



忠実になぞられていると思われます。

但し、ときどき時代背景が現代に。

たとえば、番傘にシャネルのマーク。

地上には、「ゆりかもめ」が走っていたり。



とってもイケナイ叫び雰囲気がぷんぷんです。

いたるところ屈折してます、「黒蜥蜴」さん。

特に恋。

禍々しいですぅ。





本

恋って、恐ろしいものよ。ジリジリと体を腐らせて行く疫病みたいなものよ。

人は、美しいものに恋をしないの。

人は、恐ろしいものに恋をするの。

だから、人に愛されたかったら、醜いものになるしかないの。

どこまでも醜悪で、どこまでも恐ろしくて、もう決して誰からも愛されないだろうと思うぐらいドロドロに崩れてしまった醜いものになるしかないの。





さて、彼女の恋のお相手は?

当然、明智小五郎。




本明智小五郎が生きていた。なんて嬉しいんでしょう。なんて、悔しいんでしょう!




相反する二つの思い。

屈折してるけど、これは解るなぁ。

愛と憎しみは同じ側にあるものだから。

「愛の反対は、無関心」だとマザー・テレサも言ってます。


なんだかせつない恋ですね。



恋は曲者。。。





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