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■ユーゴ内戦の武器密輸と三角貿易
戦火が燃え上がる92年秋、ロシアの外務省は、T-72型戦車 UralVagonZavod T-72 を8台購入したいという注文を南米のボリビア Bolivia から受けた。
アンデス山中のボリビアでは戦争がなく、この国には旧式の戦車しかない。兵器を使うと言っても、麻薬カルテル〔※Kartell(独):企業間で競争を避け協働し、価格や生産数量、販売地域などを取り決める協定〕とのゲリラ戦に必要な軽量兵器やヘリコプターであり、ボリビアの軍事予算は年間1億2000万ドル位である。ところがT-72型戦車を8台購入すれば、その2倍近い2億ドルになる。
不審に思ったロシア外務省がこの注文の確認を取る為、ボリビア政府に問い合わせたところ、実は、ボリビア政府がその注文を知らなかったのである。そしてこれが、92年から93年にかけてユーゴ内戦 Yugoslavia Civil War(1991~1995)に送り込まれてきた兵器密輸の巨大な動きの一端であることが判明した。南米諸国が全世界の兵器商人のトンネルとなって、激しい内戦地帯のクロアチア・ボスニア・セルビアに、殺人兵器を輸送してきたのである。
一方、92年初め、同じ南米のチリ Chile では、国営兵器会社FAMAE(Fábricas y Maestranzas del Ejército de Chile)がクロアチアに11トンの小型兵器を送り込もうとしていた密輸スキャンダルが発覚した。その密輸額は20万ドルに過ぎなかったが、その後に計画されていた海上輸送の全てを合計すると、実に600万ドルにも達する大掛かりな兵器貿易だったのである。
ノリエガ将軍 Manuel Noriega(1934-)と麻薬問題、そして太平洋と大西洋を結ぶ世界戦略の要衝運河で知られる中米のパナマ Panama を巡っても、密輸事件が起こっていた。93年8月に、チェコ Czech とオーストリア Austria から「パナマ向け」の機関銃、ピストル、弾薬など2100万ドル相当分が船積みされようとしていた。
しかしパナマは、89年12月に“ノリエガ将軍逮捕”を口実に行われたアメリカの無差別爆撃によって町が焼かれ、多数のハイテク兵器 High-Tech Weapons の殺人実験場として使われた結果、多数の市民が殺されていた。それだけではなかった。ノリエガを逮捕するというのは国際的な体面上の名目だけで、実はこの不法な侵略によって、パナマ軍を解散して運河を完全支配することが米軍の目的だった。
パナマは93年現在、こうして無力化されてしまった国家である。「パナマ向け」の兵器が存在するはずがなかった為、これもまた密輸される直前に発覚した。この大量の兵器の目的地が、やはりユーゴ内戦のボスニア Bosnia だったのである。
南米ボリビアを利用した武器密輸事件は、93年9月現在迄に判明しているところ、総額3億ドルに達することが検察の調査で明らかになり、輸出した兵器メーカーは、西ヨーロッパのオーストリアからロシアまで広がっていた。チェコやオーストリアは、かつてのハプスブルク帝国 Haus Habsburg(英:House of Habsburg)〔※『赤い楯(文庫版)』【系図83―ドイツとハプスブルク帝国の歴史的なロスチャイルド一族】〕であり、ロシアはロマノフ帝国 House of Romanov〔※【系図15】、『赤い楯』より【系図39】〕であるから、先程の3大勢力と合致していた。その密輸は、かなりのものが成功していた。モスクワ・マフィアの正体がこれだったのである。
これらの何れも、中南米を利用した典型的な三角貿易 Triangular Trade である。では、ボリビアの誰が兵器密輸に関わっていたのか。
そこに有力な政党「革命左翼運動」が関与し、事件から浮かび上がってきた武器密輸の容疑者の中に、カルメン・ペレイラ Carmen Pereira(1937-)の名前があった。92年、同党の幹部として業者に外交官のパスポートを発行して推薦状を書き、ウィーン Wien にあるボリビア大使館宛てに送っていた人物である。
容疑者ペレイラは、同党の会計を預かる幹部であり、その一族は、紛れもなくそのウィーンを都として700年王朝を築いたハプスブルク帝国の宮廷ユダヤ人、言うまでもなく現在ロスチャイルド家 Rothschild Family の血族であり、かつてはロスチャイルド家が台頭する前に、その基礎を築いた世界一の金融ファミリーであった。
93年8月に就任したボリビアの新大統領サンチェス Gonzalo Sánchez de Lozada(1930-)は、国内最大企業コムスル COMSUR のオーナーだった人物で、「武器密輸事件を極めて深刻に受け止めている」と発言したが、同じ穴のムジナであった。
まだ事件の全貌は解明されていないが、ボリビアの国防省から偽の公文書が発行されてクロアチアに軽量兵器と重兵器の輸送が行われ、この取り引きの裏に、莫大な金銭の取り引きがあったことも明らかにされた。これらの文書には、「兵器供給に関わるコミッション(手数料)は10%」と記されていた。
彼らの目的は何であったか。
ここで我々の前に浮かび上がる最大の謎は、誰がこれだけの莫大な兵器購入費やコミッション Commission を軍需産業に支払ってきたか、である。大量の兵器が流入した。しかし分裂したユーゴスラビア全土は恐るべきインフレ Inflation で、通貨のディナール Dinar〔※アラブ諸国(現在は内9カ国)で使われている通貨。ローマ帝国の銀貨デナリウス Denarius が語源〕は国際的に通用しない状態になっていたはずである。
93年末には、ついに500億ディナール紙幣が発行されたが、50,000,000,000と印刷され、これが日本の千円札1枚と同じ価値しか無かった。93年におけるユーゴスラビアの物価上昇率は、10億%に達したからである。買えないはずの兵器が購入されてきたという大きなミステリーがある。
更に93年1月、南イタリアの港ターラント Port of Taranto〔※重要な軍港と商業港を有し、製鉄所、石油精製工場、化学工場、戦艦造船所、食品加工工場がある〕で、ユーゴ内戦向けに大量の地対地ミサイルを積んだ輸送船が摘発された。2月にはトリエステ Port of Trieste〔※イタリア海軍の基地が置かれている〕で、やはりユーゴ内戦向けに弾薬及び大量の兵器を積んだ輸送船が摘発された。
そしてこれらの事件を追跡した結果、チェコ製の弾薬などがマフィアの総本山シシリー Sicily(伊:シチリア Sicilia)〔※『赤い楯』より【誰が頭取を殺したか】〕で発見されたのが4月だった。既にイタリア当局が前年の92年に摘発したのは、400件に上る“戦争用兵器”と238個の爆弾とミサイル、1.3トンにも上る弾薬だったが、イタリアの目の前、アドリア海を渡った向こう側が、ユーゴスラビアである。調査官によれば、「必要とあらばここでは核兵器も手に入る」というマフィアの世界が動いたのである。
≪≪ユーゴなど東ヨーロッパでは、経済の崩壊によって警察力が殆んどゼロになってしまった為、シシリアン・マフィア Sicilian Mafia がその真空地帯に進出して、自由に活動してきた。では、イタリア政界を揺るがすマフィア・スキャンダルとこうした密輸事件の間には、何の関係も無かったのか。
実は、イタリアでは大物政治家と大物実業家が次々と逮捕されながら、最大の黒幕であるフィアット FIAT の支配者アニェリ兄弟〔※Giovanni “Gianni” Agnelli(1921-2003)&Umberto Agnelli(1934-2004)〕だけが、94年6月現在、まだ自由の身で活動しているのである〔※『赤い楯』より【系図75―“バチカンのゴッドファーザー”アニョリ家】〕。
兄のジョヴァンニ・アニェリ Giovanni “Gianni” Agnelli(1921-2003)からマンションを与えられていた愛人が、クリントンを大統領にしたパメラ・ハリマン女史 Pamela Beryl Harriman(Pamela Churchill Harriman 1920-1997)〔※【図2―ロスチャイルド家の金融・メディア・軍事・政界支配構図】、『世界石油戦争(2002年版)』より【系図6―チャーチル家の中東石油閨閥】〕――現代のフランス大使――であった。
パリにおけるパメラ女史の政治的な役割は想像する以上に大きく、前述の伝記で暴露された彼女とシナトラ Frank Sinatra(Francis Albert Sinatra 1915-1998)の関係は、誰もが知るマフィアとシナトラの関係とも決して無縁ではないはずだ。クリントン大統領 William Jefferson “Bill” Clinton(1946-)が、彼女から選挙資金を貰って弱みを握られていることは間違いない。
このアニェリ兄弟の友人が、パキスタンのイスラム教イスマイリ派の指導者カリム・アガ=カーン4世 Kharimn Agha-Khan Ⅳ(1936-)である。イタリアでローマ・グランド・ホテルなど大きなホテル・チェーンを経営し、競走馬では世界的なオーナーとして知られる大実業家である。その伯父が、国連の“陰の大統領”と言われてきた副高等難民弁務官のサドルディン・アガ=カーン Sadruddin Aga-Khan(1933-2003)だった。
ここに、国連 United Nations が姿を見せてくる・・・・・・
ユーゴ内戦にイタリアのマフィアが兵器を供給した事件の発覚に続いて、93年4月、あろうことかサラエボにある国連の難民高等弁務官事務所 Office of the United Nations High Commissioner for Refugees(UNHCR)から出てきた人道援助の物資を運ぶトラックで、大量の弾薬が発見されたのである。“国連による武器密輸”が遂に発覚した。
更に3カ月後の7月、人道援助の目的でユーゴ内戦地に送られてきたコンテナー Container に、大量の兵器が入っていた。自動小銃、弾丸、ロケット弾とその発射装置、迫撃砲、地雷・・・・・・これらはアフリカから空輸されて来たものであった。これも、三角貿易 Triangular Trade だった。イギリス大使がその物資運搬の支援を行っていた事実から、国家ぐるみの犯罪であるという疑いが濃厚である。
サラエボにある国連の難民高等弁務官事務所で重要な役割を務めてきたのが、ファブリツィオ・ホーホシルト Fabrizio Hochschild(-)である。決して緒方貞子(1927-)ではない。日本人は何も知らずに、いつでも利用されるようだ。ホーホシルトは Hochschild と書き、ロスチャイルド Rothschild とそっくりだが、そっくりではなかった。同じファミリーである。
一族の先祖がマウリツィオ・ホーホシルト Maurizio Hochschild(1881-1965)というドイツ・オーストリア系ユダヤ人で、南米のボリビアに渡って巨大な金属財閥を形成し、この一族が本家ロスチャイルド家と共にドイツの金属財閥メタルゲゼルシャフト Metallgesellschaft AG〔※現・GEA Group AG〕を創業したのである。
更にホーホシルト家は、アメリカで非鉄大手のアマックス Amax Chemical Corp. を創業し、南アではローデシア・セレクション・トラスト Rhodesia Selection Trust(RST)を支配してアパルトヘイト Apartheid〔※南アフリカ共和国で行われてきた、白人支配者層による有色人種に対する人種差別・隔離政策〕を進めてきた。
証券取引所では、戦争が起こると何処の国でも「カネヘン景気」と言って金属会社の相場が上昇する。戦争で最も潤うのが、鉄・金・銀・銅・錫(すず)などカネヘンの製品を扱う金属業者だからである。
先程のボリビア・コネクションによる武器密輸事件は、この支配構造がそのままユーゴ内戦に利用されたわけである。87年にドイツで発覚したパキスタンの秘密原爆工場への核物質密輸事件、いわゆる核スキャンダルで登場したのが、やはり、このファミリー系列の企業であった。忘れてならないのは、ホーホシルトがユダヤ人で、原爆工場が発見されたパキスタンはイスラム教徒の国家だということである。
ロスチャイルドがユダヤ人の指導的ファミリーで、アガ=カーンがそのパキスタンでイスラム教に最も忠実なイスマイリ(イスマイル)派の指導者だということである。イスマイリ派は、一般に過激なイスラム教徒とさえ言われてきた〔※1094年、シーア派の一種・イスマイリ派はニザール派 Nizari とムスタアリー派 Musutaari に分裂。アガ=カーンはニザール派の指導者〕。結局、仕掛け人にとって、宗教や民族は無関係である。“民族紛争 Ethnic Conflict”という言葉は、人間の五感に響き易いので、最も悪用される危険性が高い。
アガ=カーンと極めて近い関係にあったのが、ジョージ・ソロス George Soros(1930-)と組んで世界の金投機を動かしたジェームズ・ゴールドスミス James Michael Goldsmith(1933-1997)〔※『赤い楯』より【系図2―ロスチャイルド家とJ・ゴールドスミスの系譜】【ジェームズ・ゴールドスミスのトンネル】〕であった。近いと言うのは、女性関係である。
このようにユダヤ教徒とイスラム教徒が裏で手を組んだ“民族紛争”は、説明の付かない話である。ユーゴ内戦はユーゴスラビア民衆とは何の関係も無い全世界の軍需産業と国連と金融マフィアに仕組まれた民族同士の殺し合いであった。
こうした不思議な事実の脈絡は、恐らく新聞には1行も出てこないように感じられるだろう。ところがよく見ていると、新聞から発見出来るのである。直接の答は勿論書かれていないが、少なくとも英文紙に目を通し、それを手掛かりに調べてみれば、答は出てくる。
私が、ロスチャイルド財閥を作り上げたメカニズム Mechanism〔※機構、構造、仕組み、仕掛け、装置〕について調べていた時である。様々な企業家の伝記を何十冊も読む内、南米の貧しい民衆がこれらの鉱山財閥に苦しめられてきた歴史を知り、或る書物に出ていた鉱山の写真が頭に焼き付いて離れなかった。
そこにボリビアや、コロンビア、ペルーなどの麻薬問題の源があることが分かり、アメリカとの悪しき関係が浮かび上がってきた。ちょうどその時期に、92年だったが、激しくなるユーゴ内戦の記事の中に、この鉱山財閥の一族ホーホシルトと同じ名前が登場してきたのである。やがて93年には、武器密輸のボリビア・コネクション Bolivia Connection が英字新聞各紙で報道されるようになった。全て、報道されてきた公知の事実から糸が解(ほぐ)れた。
しかし国連は、未だに追及されていない。国連が、戦争の最大の黒幕 Mastermind である。次の言葉は注意深く記すつもりだが、1つの事実であろう。
――第2次世界大戦後、地球上で大部分の戦争と紛争を起こして人を殺してきたのは、“ナチズムと大日本帝国時代に戦争犯罪を犯したかつての枢軸国ドイツと日本”ではなく、“連合国だったアメリカ・イギリス・フランス・ソ連”である――
この文章は、後者の“連合国”に意味があるので、前者の“枢軸国”に重点を置いた意味としては引用しないで頂きたい。
国連は、日本では国際連合と訳されているが、これは誤訳に近い言葉である。英語の“United Nations”は“連合国”という意味であり、中国語では国連のことを実際に“連合国(联合国)”と書いている。
93年12月、その連合国が拒否権を持つ国連は、ユーゴの国連保護軍の最高責任者として、日本の明石 康(あかし やすし 1931-)〔※1957年国連入り。広報や軍縮担当の国連事務次長、カンボジアや旧ユーゴスラビア担当の事務総長特別代表などを歴任。1997年末、人道問題担当事務次長を最後に退官〕を任命した。「軍事部門」と「人道援助部門」の両社を指揮するいわば国連総司令官役であり、極めて危険な任務を与えられた。状況を弁(わきま)えないと、日本人を巻き込む危険性がある。
94年2月21日を最後の期限として、「サラエボのセルビア人が重火器を撤去しなければ空爆する」という通告が2月9日にNATO(北大西洋条約機構)〔※【図5―NATOを構成するアメリカ・ヨーロッパ軍需産業】〕から発せられ、明石代表が一時は空爆を命令するところまで事態が進んだが、幸いにもロシア軍の調停活動が大きく作用した形で、空爆は回避された。
この結末は、そのNATO通告前の2月4日に、ロシアの国防大臣グラチョフ Pavel Grachev(1948-)とフランスの国防大臣レオタール François Léotard(1942-)がモスクワ Moskva〔※英:Moscow〕で軍事協力について調印し、その後、アメリカのクリントン大統領 William Jefferson “Bill” Clinton(1946-)とロシアのエリツィン大統領 Boris Nikolayevich Yeltsin(1931-2007)〔※『ロマノフ家の黄金』より【図5】〕が事前に話し合いを進めて計画的に行動したシナリオであった。
実際、サラエボで大戦争に突入する経済力も国民的な支持も、NATO諸国に無かったからである。日本では報道されていなかったが、ヨーロッパの反戦運動は極めて行動的であり、それが政治家を追い詰めていたのである。
軍需産業にとって効果的な航空ショーは、実戦で人を大量に殺してみせることだったが、彼らはヨーロッパ全土に広がる厭戦世論に勝つことが出来ず、市民に敗北した。その中で、せめて「ロシア軍人の誇りの復活」や「空爆回避直後にNATO米軍機がセルビア側と見られる軍用機を撃墜して緊張を持続すること」などを狙う行動に出たが、ヨーロッパ市民にはもはや嫌悪感があるばかりで、NATOや国連は誰からの支持も得られていない。
しかし94年4月10日と11日の両日、NATOが国連の要請でボスニア空爆という危険な行動に踏み切った。空爆の誘導をしたのは、またしてもイギリス特殊部隊SAS(「カンボジア」に地雷を敷き詰め、「湾岸戦争」で米軍の水先案内人を務めた部隊)であった。ヨーロッパでは、激しい反対の声が噴出したが、戦争ゲームはまだ終わらない。戦争を挑発するヨーロッパの政治家は、次の選挙でどうなるか。反戦運動や平和を望む世論が如何に大切であるかを、今日のユーゴスラビア内戦は教えている。≫≫
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http://www.thinker-japan.com/thinkwar.html
〔資料〕日本はサンフランシスコ講和条約で独立国として承認されていなかった!?(苫米地英人著『脳と心の洗い方』より抜粋) - Anti-Rothschild Alliance
http://www.anti-rothschild.net/material/36.html
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http://www.anti-rothschild.net/material/12.html
〔資料〕貧困と飢餓が起こる真の原因構造(世銀が貧困と飢餓を拡大させた) - にほん民族解放戦線 2008年10月2日
http://blog.goo.ne.jp/nanbanandeya/e/21a36493c36282262689f2221bb30bf2
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■ユーゴ内戦の武器密輸と三角貿易
戦火が燃え上がる92年秋、ロシアの外務省は、T-72型戦車 UralVagonZavod T-72 を8台購入したいという注文を南米のボリビア Bolivia から受けた。
アンデス山中のボリビアでは戦争がなく、この国には旧式の戦車しかない。兵器を使うと言っても、麻薬カルテル〔※Kartell(独):企業間で競争を避け協働し、価格や生産数量、販売地域などを取り決める協定〕とのゲリラ戦に必要な軽量兵器やヘリコプターであり、ボリビアの軍事予算は年間1億2000万ドル位である。ところがT-72型戦車を8台購入すれば、その2倍近い2億ドルになる。
不審に思ったロシア外務省がこの注文の確認を取る為、ボリビア政府に問い合わせたところ、実は、ボリビア政府がその注文を知らなかったのである。そしてこれが、92年から93年にかけてユーゴ内戦 Yugoslavia Civil War(1991~1995)に送り込まれてきた兵器密輸の巨大な動きの一端であることが判明した。南米諸国が全世界の兵器商人のトンネルとなって、激しい内戦地帯のクロアチア・ボスニア・セルビアに、殺人兵器を輸送してきたのである。
一方、92年初め、同じ南米のチリ Chile では、国営兵器会社FAMAE(Fábricas y Maestranzas del Ejército de Chile)がクロアチアに11トンの小型兵器を送り込もうとしていた密輸スキャンダルが発覚した。その密輸額は20万ドルに過ぎなかったが、その後に計画されていた海上輸送の全てを合計すると、実に600万ドルにも達する大掛かりな兵器貿易だったのである。
ノリエガ将軍 Manuel Noriega(1934-)と麻薬問題、そして太平洋と大西洋を結ぶ世界戦略の要衝運河で知られる中米のパナマ Panama を巡っても、密輸事件が起こっていた。93年8月に、チェコ Czech とオーストリア Austria から「パナマ向け」の機関銃、ピストル、弾薬など2100万ドル相当分が船積みされようとしていた。
しかしパナマは、89年12月に“ノリエガ将軍逮捕”を口実に行われたアメリカの無差別爆撃によって町が焼かれ、多数のハイテク兵器 High-Tech Weapons の殺人実験場として使われた結果、多数の市民が殺されていた。それだけではなかった。ノリエガを逮捕するというのは国際的な体面上の名目だけで、実はこの不法な侵略によって、パナマ軍を解散して運河を完全支配することが米軍の目的だった。
パナマは93年現在、こうして無力化されてしまった国家である。「パナマ向け」の兵器が存在するはずがなかった為、これもまた密輸される直前に発覚した。この大量の兵器の目的地が、やはりユーゴ内戦のボスニア Bosnia だったのである。
南米ボリビアを利用した武器密輸事件は、93年9月現在迄に判明しているところ、総額3億ドルに達することが検察の調査で明らかになり、輸出した兵器メーカーは、西ヨーロッパのオーストリアからロシアまで広がっていた。チェコやオーストリアは、かつてのハプスブルク帝国 Haus Habsburg(英:House of Habsburg)〔※『赤い楯(文庫版)』【系図83―ドイツとハプスブルク帝国の歴史的なロスチャイルド一族】〕であり、ロシアはロマノフ帝国 House of Romanov〔※【系図15】、『赤い楯』より【系図39】〕であるから、先程の3大勢力と合致していた。その密輸は、かなりのものが成功していた。モスクワ・マフィアの正体がこれだったのである。
これらの何れも、中南米を利用した典型的な三角貿易 Triangular Trade である。では、ボリビアの誰が兵器密輸に関わっていたのか。
そこに有力な政党「革命左翼運動」が関与し、事件から浮かび上がってきた武器密輸の容疑者の中に、カルメン・ペレイラ Carmen Pereira(1937-)の名前があった。92年、同党の幹部として業者に外交官のパスポートを発行して推薦状を書き、ウィーン Wien にあるボリビア大使館宛てに送っていた人物である。
容疑者ペレイラは、同党の会計を預かる幹部であり、その一族は、紛れもなくそのウィーンを都として700年王朝を築いたハプスブルク帝国の宮廷ユダヤ人、言うまでもなく現在ロスチャイルド家 Rothschild Family の血族であり、かつてはロスチャイルド家が台頭する前に、その基礎を築いた世界一の金融ファミリーであった。
93年8月に就任したボリビアの新大統領サンチェス Gonzalo Sánchez de Lozada(1930-)は、国内最大企業コムスル COMSUR のオーナーだった人物で、「武器密輸事件を極めて深刻に受け止めている」と発言したが、同じ穴のムジナであった。
まだ事件の全貌は解明されていないが、ボリビアの国防省から偽の公文書が発行されてクロアチアに軽量兵器と重兵器の輸送が行われ、この取り引きの裏に、莫大な金銭の取り引きがあったことも明らかにされた。これらの文書には、「兵器供給に関わるコミッション(手数料)は10%」と記されていた。
彼らの目的は何であったか。
ここで我々の前に浮かび上がる最大の謎は、誰がこれだけの莫大な兵器購入費やコミッション Commission を軍需産業に支払ってきたか、である。大量の兵器が流入した。しかし分裂したユーゴスラビア全土は恐るべきインフレ Inflation で、通貨のディナール Dinar〔※アラブ諸国(現在は内9カ国)で使われている通貨。ローマ帝国の銀貨デナリウス Denarius が語源〕は国際的に通用しない状態になっていたはずである。
93年末には、ついに500億ディナール紙幣が発行されたが、50,000,000,000と印刷され、これが日本の千円札1枚と同じ価値しか無かった。93年におけるユーゴスラビアの物価上昇率は、10億%に達したからである。買えないはずの兵器が購入されてきたという大きなミステリーがある。
更に93年1月、南イタリアの港ターラント Port of Taranto〔※重要な軍港と商業港を有し、製鉄所、石油精製工場、化学工場、戦艦造船所、食品加工工場がある〕で、ユーゴ内戦向けに大量の地対地ミサイルを積んだ輸送船が摘発された。2月にはトリエステ Port of Trieste〔※イタリア海軍の基地が置かれている〕で、やはりユーゴ内戦向けに弾薬及び大量の兵器を積んだ輸送船が摘発された。
そしてこれらの事件を追跡した結果、チェコ製の弾薬などがマフィアの総本山シシリー Sicily(伊:シチリア Sicilia)〔※『赤い楯』より【誰が頭取を殺したか】〕で発見されたのが4月だった。既にイタリア当局が前年の92年に摘発したのは、400件に上る“戦争用兵器”と238個の爆弾とミサイル、1.3トンにも上る弾薬だったが、イタリアの目の前、アドリア海を渡った向こう側が、ユーゴスラビアである。調査官によれば、「必要とあらばここでは核兵器も手に入る」というマフィアの世界が動いたのである。
≪≪ユーゴなど東ヨーロッパでは、経済の崩壊によって警察力が殆んどゼロになってしまった為、シシリアン・マフィア Sicilian Mafia がその真空地帯に進出して、自由に活動してきた。では、イタリア政界を揺るがすマフィア・スキャンダルとこうした密輸事件の間には、何の関係も無かったのか。
実は、イタリアでは大物政治家と大物実業家が次々と逮捕されながら、最大の黒幕であるフィアット FIAT の支配者アニェリ兄弟〔※Giovanni “Gianni” Agnelli(1921-2003)&Umberto Agnelli(1934-2004)〕だけが、94年6月現在、まだ自由の身で活動しているのである〔※『赤い楯』より【系図75―“バチカンのゴッドファーザー”アニョリ家】〕。
兄のジョヴァンニ・アニェリ Giovanni “Gianni” Agnelli(1921-2003)からマンションを与えられていた愛人が、クリントンを大統領にしたパメラ・ハリマン女史 Pamela Beryl Harriman(Pamela Churchill Harriman 1920-1997)〔※【図2―ロスチャイルド家の金融・メディア・軍事・政界支配構図】、『世界石油戦争(2002年版)』より【系図6―チャーチル家の中東石油閨閥】〕――現代のフランス大使――であった。
パリにおけるパメラ女史の政治的な役割は想像する以上に大きく、前述の伝記で暴露された彼女とシナトラ Frank Sinatra(Francis Albert Sinatra 1915-1998)の関係は、誰もが知るマフィアとシナトラの関係とも決して無縁ではないはずだ。クリントン大統領 William Jefferson “Bill” Clinton(1946-)が、彼女から選挙資金を貰って弱みを握られていることは間違いない。
このアニェリ兄弟の友人が、パキスタンのイスラム教イスマイリ派の指導者カリム・アガ=カーン4世 Kharimn Agha-Khan Ⅳ(1936-)である。イタリアでローマ・グランド・ホテルなど大きなホテル・チェーンを経営し、競走馬では世界的なオーナーとして知られる大実業家である。その伯父が、国連の“陰の大統領”と言われてきた副高等難民弁務官のサドルディン・アガ=カーン Sadruddin Aga-Khan(1933-2003)だった。
ここに、国連 United Nations が姿を見せてくる・・・・・・
ユーゴ内戦にイタリアのマフィアが兵器を供給した事件の発覚に続いて、93年4月、あろうことかサラエボにある国連の難民高等弁務官事務所 Office of the United Nations High Commissioner for Refugees(UNHCR)から出てきた人道援助の物資を運ぶトラックで、大量の弾薬が発見されたのである。“国連による武器密輸”が遂に発覚した。
更に3カ月後の7月、人道援助の目的でユーゴ内戦地に送られてきたコンテナー Container に、大量の兵器が入っていた。自動小銃、弾丸、ロケット弾とその発射装置、迫撃砲、地雷・・・・・・これらはアフリカから空輸されて来たものであった。これも、三角貿易 Triangular Trade だった。イギリス大使がその物資運搬の支援を行っていた事実から、国家ぐるみの犯罪であるという疑いが濃厚である。
サラエボにある国連の難民高等弁務官事務所で重要な役割を務めてきたのが、ファブリツィオ・ホーホシルト Fabrizio Hochschild(-)である。決して緒方貞子(1927-)ではない。日本人は何も知らずに、いつでも利用されるようだ。ホーホシルトは Hochschild と書き、ロスチャイルド Rothschild とそっくりだが、そっくりではなかった。同じファミリーである。
一族の先祖がマウリツィオ・ホーホシルト Maurizio Hochschild(1881-1965)というドイツ・オーストリア系ユダヤ人で、南米のボリビアに渡って巨大な金属財閥を形成し、この一族が本家ロスチャイルド家と共にドイツの金属財閥メタルゲゼルシャフト Metallgesellschaft AG〔※現・GEA Group AG〕を創業したのである。
更にホーホシルト家は、アメリカで非鉄大手のアマックス Amax Chemical Corp. を創業し、南アではローデシア・セレクション・トラスト Rhodesia Selection Trust(RST)を支配してアパルトヘイト Apartheid〔※南アフリカ共和国で行われてきた、白人支配者層による有色人種に対する人種差別・隔離政策〕を進めてきた。
証券取引所では、戦争が起こると何処の国でも「カネヘン景気」と言って金属会社の相場が上昇する。戦争で最も潤うのが、鉄・金・銀・銅・錫(すず)などカネヘンの製品を扱う金属業者だからである。
先程のボリビア・コネクションによる武器密輸事件は、この支配構造がそのままユーゴ内戦に利用されたわけである。87年にドイツで発覚したパキスタンの秘密原爆工場への核物質密輸事件、いわゆる核スキャンダルで登場したのが、やはり、このファミリー系列の企業であった。忘れてならないのは、ホーホシルトがユダヤ人で、原爆工場が発見されたパキスタンはイスラム教徒の国家だということである。
ロスチャイルドがユダヤ人の指導的ファミリーで、アガ=カーンがそのパキスタンでイスラム教に最も忠実なイスマイリ(イスマイル)派の指導者だということである。イスマイリ派は、一般に過激なイスラム教徒とさえ言われてきた〔※1094年、シーア派の一種・イスマイリ派はニザール派 Nizari とムスタアリー派 Musutaari に分裂。アガ=カーンはニザール派の指導者〕。結局、仕掛け人にとって、宗教や民族は無関係である。“民族紛争 Ethnic Conflict”という言葉は、人間の五感に響き易いので、最も悪用される危険性が高い。
アガ=カーンと極めて近い関係にあったのが、ジョージ・ソロス George Soros(1930-)と組んで世界の金投機を動かしたジェームズ・ゴールドスミス James Michael Goldsmith(1933-1997)〔※『赤い楯』より【系図2―ロスチャイルド家とJ・ゴールドスミスの系譜】【ジェームズ・ゴールドスミスのトンネル】〕であった。近いと言うのは、女性関係である。
このようにユダヤ教徒とイスラム教徒が裏で手を組んだ“民族紛争”は、説明の付かない話である。ユーゴ内戦はユーゴスラビア民衆とは何の関係も無い全世界の軍需産業と国連と金融マフィアに仕組まれた民族同士の殺し合いであった。
こうした不思議な事実の脈絡は、恐らく新聞には1行も出てこないように感じられるだろう。ところがよく見ていると、新聞から発見出来るのである。直接の答は勿論書かれていないが、少なくとも英文紙に目を通し、それを手掛かりに調べてみれば、答は出てくる。
私が、ロスチャイルド財閥を作り上げたメカニズム Mechanism〔※機構、構造、仕組み、仕掛け、装置〕について調べていた時である。様々な企業家の伝記を何十冊も読む内、南米の貧しい民衆がこれらの鉱山財閥に苦しめられてきた歴史を知り、或る書物に出ていた鉱山の写真が頭に焼き付いて離れなかった。
そこにボリビアや、コロンビア、ペルーなどの麻薬問題の源があることが分かり、アメリカとの悪しき関係が浮かび上がってきた。ちょうどその時期に、92年だったが、激しくなるユーゴ内戦の記事の中に、この鉱山財閥の一族ホーホシルトと同じ名前が登場してきたのである。やがて93年には、武器密輸のボリビア・コネクション Bolivia Connection が英字新聞各紙で報道されるようになった。全て、報道されてきた公知の事実から糸が解(ほぐ)れた。
しかし国連は、未だに追及されていない。国連が、戦争の最大の黒幕 Mastermind である。次の言葉は注意深く記すつもりだが、1つの事実であろう。
――第2次世界大戦後、地球上で大部分の戦争と紛争を起こして人を殺してきたのは、“ナチズムと大日本帝国時代に戦争犯罪を犯したかつての枢軸国ドイツと日本”ではなく、“連合国だったアメリカ・イギリス・フランス・ソ連”である――
この文章は、後者の“連合国”に意味があるので、前者の“枢軸国”に重点を置いた意味としては引用しないで頂きたい。
国連は、日本では国際連合と訳されているが、これは誤訳に近い言葉である。英語の“United Nations”は“連合国”という意味であり、中国語では国連のことを実際に“連合国(联合国)”と書いている。
93年12月、その連合国が拒否権を持つ国連は、ユーゴの国連保護軍の最高責任者として、日本の明石 康(あかし やすし 1931-)〔※1957年国連入り。広報や軍縮担当の国連事務次長、カンボジアや旧ユーゴスラビア担当の事務総長特別代表などを歴任。1997年末、人道問題担当事務次長を最後に退官〕を任命した。「軍事部門」と「人道援助部門」の両社を指揮するいわば国連総司令官役であり、極めて危険な任務を与えられた。状況を弁(わきま)えないと、日本人を巻き込む危険性がある。
94年2月21日を最後の期限として、「サラエボのセルビア人が重火器を撤去しなければ空爆する」という通告が2月9日にNATO(北大西洋条約機構)〔※【図5―NATOを構成するアメリカ・ヨーロッパ軍需産業】〕から発せられ、明石代表が一時は空爆を命令するところまで事態が進んだが、幸いにもロシア軍の調停活動が大きく作用した形で、空爆は回避された。
この結末は、そのNATO通告前の2月4日に、ロシアの国防大臣グラチョフ Pavel Grachev(1948-)とフランスの国防大臣レオタール François Léotard(1942-)がモスクワ Moskva〔※英:Moscow〕で軍事協力について調印し、その後、アメリカのクリントン大統領 William Jefferson “Bill” Clinton(1946-)とロシアのエリツィン大統領 Boris Nikolayevich Yeltsin(1931-2007)〔※『ロマノフ家の黄金』より【図5】〕が事前に話し合いを進めて計画的に行動したシナリオであった。
実際、サラエボで大戦争に突入する経済力も国民的な支持も、NATO諸国に無かったからである。日本では報道されていなかったが、ヨーロッパの反戦運動は極めて行動的であり、それが政治家を追い詰めていたのである。
軍需産業にとって効果的な航空ショーは、実戦で人を大量に殺してみせることだったが、彼らはヨーロッパ全土に広がる厭戦世論に勝つことが出来ず、市民に敗北した。その中で、せめて「ロシア軍人の誇りの復活」や「空爆回避直後にNATO米軍機がセルビア側と見られる軍用機を撃墜して緊張を持続すること」などを狙う行動に出たが、ヨーロッパ市民にはもはや嫌悪感があるばかりで、NATOや国連は誰からの支持も得られていない。
しかし94年4月10日と11日の両日、NATOが国連の要請でボスニア空爆という危険な行動に踏み切った。空爆の誘導をしたのは、またしてもイギリス特殊部隊SAS(「カンボジア」に地雷を敷き詰め、「湾岸戦争」で米軍の水先案内人を務めた部隊)であった。ヨーロッパでは、激しい反対の声が噴出したが、戦争ゲームはまだ終わらない。戦争を挑発するヨーロッパの政治家は、次の選挙でどうなるか。反戦運動や平和を望む世論が如何に大切であるかを、今日のユーゴスラビア内戦は教えている。≫≫
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〔資料〕日本はサンフランシスコ講和条約で独立国として承認されていなかった!?(苫米地英人著『脳と心の洗い方』より抜粋) - Anti-Rothschild Alliance
http://www.anti-rothschild.net/material/36.html
〔資料〕如何にして富が世界に貧困を齎すのか By Michael Parenti - Anti-Rothschild Alliance
http://www.anti-rothschild.net/material/12.html
〔資料〕貧困と飢餓が起こる真の原因構造(世銀が貧困と飢餓を拡大させた) - にほん民族解放戦線 2008年10月2日
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