■「笑顔の奥へ」  連載開始!   第一話はこちら



■「虹の向こうに」  完         第一話はこちら

青年は、ただひたむきなだけだった。

いつも敦子は、その背中を見ていた。


■「雨上がりの道を」         第一話はこちら

あなたなら、突然に戦争の召集状が舞い込んだらどうしますか。

遠くない過去、今のあなたと変わらない一人の学生が、青い空に消えていった。


■「戦後の台湾編」         第一話はこちら

私たちは終戦後、旧日本軍が引き揚げた後の台湾を知らない。

そこで起こったことから目をそむけてはいけない。


■「日本初の特攻編」休止      第一話はこちら

人の生命をまるでモノのように扱った大日本帝国軍。

初めて南の空に散った彼らの思いを、私たちは忘れてはいけない。

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2009-07-05 19:12:01

「笑顔の奥へ」 第三章 遠くの人(一)

テーマ:小説「笑顔の奥へ」

ユキは、今日も歌う。


熱を帯びて聞いている兵隊さんの心に、自分の声なんて届いていないのに。



ユキは今日も笑う。


笑顔で自分を見つめる兵隊さんの奥に見える、乾いた絶望感を前に。



この青天の大陸で


どしゃぶりの心の兵隊さんたち。



そんな彼らを目の前にすると


ユキは、喉が潰れるまで歌う。


ユキは、顔がこわばるまで笑う。



それが。



明日、死ぬかもしれない彼らに雪ができること。

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2009-06-30 00:10:22

「笑顔の奥へ」 第二章 悲嘆の人(六)

テーマ:小説「笑顔の奥へ」

カンスケの喉は、一気に水分を失った。



何度も、何度も。


唾を飲み込もうとして。


でも。



喉は乾燥して、水分など何にも出てこない。



涙が出そうだった。


ぐっと息をのみこむと。



カンスケははっとして、もう一度振り向く。


しかし、そこにはやはりだれもいない。



カンスケはわかっていた。


振り向いたって、彼女はいないということなど。



これからずっと。

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2009-02-22 09:38:58

「笑顔の奥へ」 第二章 悲嘆の人(五)

テーマ:小説「笑顔の奥へ」

カンスケの心は、ざわざわした。


理由なんてない。

何でかはわからないけど。


わからないけど。


それから先の話は覚えていない。

ただただ、戦争賛美の言葉が並んでいく。


そこには、カンスケが惹かれたあの笑顔などなかった。


そして、閉演した。

暗かった館内が、ぼうっと照明がついて明るくなる。


カンスケは、手に握られた手紙を見詰めた。


そしてんっと口に力を込めると、静かに開いた。

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