皆様 

まだ、未曽有の危機と災害は少しも立ち去ったわけではありませんが、しかしこのへんで、真の再生のための動きを始めなくては!と前回のメールで少し提案した、里山の復興のための人のつながりをつくりだしてゆく活動、という原点に立ち返って、現時点でやるべきことを考えました。

東北の多くの美しい歴史と自然の豊かな漁村や町や村が、尊い数多くのともに一瞬にして飲み込まれてゆきました。また人間が作り出した悪夢のような巨大破壊技術により、東京や大都市に電力を送るためにつくられた原発が、放射能をまき散らしながら、音をたてて崩れてゆきつつあります。

ここで、壊滅的破壊を受けた東北の人々のなかから、家族の安全が確認され、なおかつ家も畑も漁船も失ってしまった、、、というような人たちを対象に、主として西日本を中心とした過疎高齢化の地域への暫時受け入れ、と長期移住の仲立ちをしていってはどうかと考えました。名付けて「里山ルネッサンス」運動。

東北の方々の農林漁業のすばらしい技術と、人間性の美しさ、これらをもって、やはり別の意味で危機に瀕している農山村に新たな力を与えていただく。それによって、被災した方々自身も、大きなコストなく、新たな生活の場や生産の場を得て、里山が豊かになる。我々はそれが、生業として、あるいはビジネスとして成り立つためのお手伝いをする、、。そうした一連の人のつながりをつくりだす動きを、「里山ルネッサンス」と題して、CRECの当面の活動の焦点としてはと考えました。もちろん、その一環に「ジビエビジネス」もあります。

東北は、まずは、安否の確認や被災地への食糧支援、ライフラインの復旧などが最優先ですが、現地の復興が難しい中、住宅や農地の再建はその場では非常に困難です。人々はそんな過酷な現実に、絶望感にさいなまれています。なによりも、そうした人々に、「一緒に農業やりましょう!」とか「果樹園の後継者がいないけれど手伝ってもらえませんか?」とか、そういう呼びかけの輪をつくりだして、生きる場所への新たな希望があることを感じてもらえれば、それは生きのびることと同様に重要ではないかと思います。すぐに移住の決意がつかなくても、とりあえず、簡易避難的に身を寄せて、可能性を探る。

深尾葉子

注)CRECというのは、私たちが立ち上げたNPOです。https://sites.google.com/site/crecsatoyama/