Angelinaの独り言

日常の小さなことを少し…


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嫌いなものが突如として好きなものに変化することもある。

人間なんていい加減なもんだ・・・。(って思うのは自分だけか(笑)。)


ロバート・マクスウェルの『引き潮』


確か、映画音楽として有名になったハープ曲である。(まぁ、他の楽器、ピアノなどで弾かれることも多いだろうが。)


映画音楽特有のロマンティックさの漂う軽めの曲である。


クラシックの厳格な雰囲気とは一線を画す代物。そんな言ってしまえば不真面目な曲想がどうも馴染めずに、長年嫌いな曲の代表格をなしていた。

意外にこの曲を弾くことに憧れてハープを始める人が多いのだとか・・・。


(正直言うならば、『くそくらえ』と思っていた節があるのである。)



そんな曲を聴く機会に数週間前出くわした。


聴いてみて、これまでの印象が180度変わった。非常に美しいのである。そして、曲の構造が意外にしっかりしていることに驚いた。


ただのムード音楽の一つと思っていただけに、自分の中でのその驚きは尋常ではなかった・・・。


ここで、とりあえず、その『引き潮』という曲がどんなだかを紹介しておこう。


葵美妃(Aoi Miki) : 引き潮(ebb tide)


やはり、一回聴いただけでは、"ムーディ"な曲だと感じるだろうと思う。しかし、よくよく聴いてみると、意外にしっかりした作りが見えてくるのである。



では、自分がどのようにこの曲を見たかをご紹介。


まず、3分程度の短い曲であるにも関わらず、前奏が付いている。(最初から26秒までがそれにあたる。) このように短い曲に導入があるというのはよく練られているなと感じた。この本テーマに入る前の一味違った旋律が魅力的であり、聴き手の注意を引くのである。


そして、ゆったりとした主題のメロディが奏でられていく。


曲全体としては、メロディライン単位で数えて、一まとまりの部分が二回演奏され、短いフィナーレ部分があり終了となる。


この本題にはいってからがまた凄い。非常に少ない音であるが3部構成が見受けられる。まず、メロディライン、そして、小節の始まりで与えられるバス音(伴奏音)の一音、そして、装飾部分となるアルペジオ。


メロディは、"ソーミ・シー ドレシー ドレミー ファソミファミ ・・・"と続く。(これ以上、表現方法がない。あしからず。) 最初は単音にて、その後和音へと変化する。


このメロディライン、音が少ない(ハープは和音のアルペジオでメロディが構成されることが多いので、それに比べるとなのであるが、) にも関わらず、よく聞こえる並びをしている。こういった少ない音のみで、魅力的な曲になり得るというのが、自分としては感動であった。



伴奏となる低音はひたすら一音である。


上記の演奏では録音ゆえかあまり聴こえてこないのだが、たった一音の低音が全体をがっしりと支えていて、全体を厚みを出しているのである。たった一音の低音がこれ程まで強烈であるということに気が付かされた。


ハープはピアノなどの打鍵楽器と違い、直に弦をはじけるため、大きな振動を与えることが可能である。それによって、長く音を継続させて響かせることが可能となる。(少なくとも自分の見解では。) 大きさこそ、打鍵楽器には負けるが、響きという面、減衰しにくいという面では、撥弦楽器であるハープにも勝ち目があるのではなかろうか・・・と密かに思うのでった。


(まぁ、到底敵わんのだが、あまりにマイナー&勝ち目がない楽器ゆえ、たまに「こっちだってこんなにいいんだ!」と言いたくなったりする自分である・・・orz。)


装飾は華やかな広範囲の分散和音(って言えばいいんだろうか・・・) の部分である。始めは上昇型のみ、その後、上昇下降がセットになった形にと変化する。


これが殺風景なメロディ&伴奏に、多大なる彩を与えると思うのであった。そして、この部分の弾き方によって、色々な表現を付け加えることが可能と確信した次第である。


例えば、あまり強弱を付けなければ、シンプルで切ない雰囲気にある。逆に、強弱を付け、クレッシェンドで上昇、デクレッシェンドで下降といった方法を取れば、豪華で煌びやか、力強い演奏になるだろう。


頂点の音に鋭さを与えるか否かでも、勢いがある曲か優しい曲かと変化させることが出来そうだ。


・・・と、"これは使える!"と感じたのであった。



フィナーレは、それまでの盛り上がりを静めるかのように静かではあるが、しっかりとした和音の響きが最後まで残る。これもまたよく練られた作品だと思わずにはいられないのであった。



そんなこんなの気付きがあり、確固たる構成をしている曲なのだと認識したたために、嫌いな要素がなくなり、好きな曲になってしまった次第である。


今まで嫌って申し訳ない・・・と曲に謝りたい。



さて、こんな素敵な曲を作ったロバート・マクスウェル。一体何者だ?と調べてみたら、どうやら自身がハーピストであったらしい。


参照:Robert Maxwell (songwriter)  (Wikipediaより)


ハーピスト兼ソングライター(作曲家)。代表作は、この『引き潮(Ebb Tide)』と『シャングリラ(Shangri-La)』で、オリジナルの曲は、"ハープのための幻想曲"と命名されているようだ。


1921年ニューヨーク生まれ。両親とも音楽とは無縁。10歳でハープを始め、高校ではジュリアード音楽院の奨学金を獲得し通う。17歳にしてナショナル・シンフォニーオーケストラの最年少メンバーになる。


更に、ニューヨークとロサンゼルスにてソロ演奏を行う。彼が共演した指揮者には、アルトゥール・トスカニーニとセルゲイ・クーセヴィツキーが含まれる。


その後、ハープでのポピュラー音楽の演奏に移行していった模様・・・。


知らない固有名詞ばかりになってきたから、もう止めた。


とりあえず、相当な知識を持った才能ある、しかもクラシック出身という確固たる土台のある人だと分かった。そのような人から、このような曲が生まれたのか・・・。


何だか納得だ。


それに今まで気付けなかったのが残念だが、気付く機会を得てよかった。


次は、『シャングリラ』と聴いてみたいものである。


(注)上記の動画リンクの演奏、最後の方が自分の聴いたものと違う作りをしているので、フィナーレ部分の言及に若干の矛盾が生じる可能性があり。あしからず。

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